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「名前、矢羽田静樹。年令16才。守賀屋県立探索者養成学校所属。
成績は 体力 B 反射神経 A 潜在魔力 C 魔法制御 D 運 A
性格 慎重、神経質、ツッコミ体質
回りの評価 守銭奴。バイト野郎。ご飯は三度三度食べた方がいいよ。以上です」
「以上ですじゃねえよ! 何で学校の評価が即ここにあるの? ツッコミ体質ってなんだよ! 飯なんて水で腹を膨らますからいいんです!」
「うむ、見事なツッコミ体質だな」
「そうですね。お嬢様」
借金取りにビルの一室に連れてこられた静樹はそこでスーツ姿の眼鏡美女と社長が座るであろう椅子に腰かける少女の前に立たされて学校の評価を読み上げられた。
「学校の評価はこちらからの問い合わせに快く教師が送ってくれたぞ?」
「個人情報保護法は!?」
「そんなもん企業が求める人材の前では屁にもならん」
「少女が屁って言うんじゃねぇぇぇ!」
「私の事、美少女だってよ」
「言われなくても、お嬢様は美少女ですわ。まさか、口説こうとしてるの!?」
「言ってねえし! 口説かねえよ!」
「打てば響くとはこの事か」
「そうですね。お嬢様」
僕はこぶしを握りしめて怒りをこらえる。そして深呼吸して落ち着き、少女を見る。
「冗談はここまでにしよう。私はこの金融会社を任されている水波凪彩佳だ。親しみを込めてあややと呼んでいいぞ!」
大きく黒い重厚な机に両手をのせて体を揺らしているおかっぱ頭の少女が言った。体が揺れているのは足をブラブラさせているからだろう。
「私は彩佳様の秘書をしています。月影と申します。親しみを込めてマリーアントワネットと呼んでください」
出るとこは出て引っ込むとこは引っ込む。そんなモデル体型の眼鏡美女がどや顔して言った。
「呼ばねえよ! そして親しみ込めんのに何で長くなんだよ! 歴史上の人物か! それと昔のアイドルか!」
「打てば響くーー」
「その下りはさっきやった!」
こいつらボケをはさまないと喋れんのか!
「社長。遊んでないで仕事してください」
強面の借金取りがそう言って話を進める。
「そうは言うがな西崎。こんな子供を雇ってホントにいいのか? 借金2億だぞ?」
「そうは言っても、上に早く探索者を一人でもいいから出せって言われてるでしょ?」
少女は風船みたいに頬を膨らませる。
「他のところは金で頬をぶっ叩いて腕のいい探索者を多く雇ってるんだぞ? そして嫌がらせにこっちの接触した奴も引き抜くし……」
「それでも出さないよりはましでしょうし……」
「怪我したらどうするんだ? 労災?」
「研修生として雇うとして必要ですね」
「そんな金はどこにある?」
「「………………」」
ものすごく重い空気になったんだが……。金貸しだよな?なのに金ないの?
「無理ならバイトから利子だけでも……」
「モテそうにもないし、ホストにするのもな」
「そうですね。トークもダメそうですし……」
「おい、そこの女子二人。何でお前らに評価されなきゃならんのだ!」
「お前をどこに売っぱらおうかって相談だ」
「せめて本人がいないとこでしろよ!」
こいつら……社長と秘書でなかったらぶん殴ってやりたい。
「まあ、いいか。研修期間をお前が義務教育を終えるまでとして、西崎、社員寮は空いているな」
「そうですね。後は学校との兼ね合いは?」
「もちろん、学業優先だ! 猿がバナナを棒で取れるくらいなって貰わんとな」
「僕は猿並みか!?」
「残念ですが、今の学業レベルでは会社が求める人材に箸にも引っ掛かりません」
そりゃ、成績は低空飛行ですよ。それでも赤点は取ってないんだからいいだろ!
「まあいい。来週から研修生として受け入れよう。学校が終わったら直帰するように! 戻ってから2~3時間は迷宮の方に行ってもらうからな。バイトも全部断るように!」
こうして迷宮探索者(仮)として雇われることになった。