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「今日から迷宮に行ってみようか」
正継さんからそう告げられて、着いていくとそこには有名なスポーツカーと深夏さんが待っていた。
「お兄様、早く行きましょう」
助手席に乗り込んだ深夏さんが正継さんを呼ぶ。そうして狭い後部座席に僕が座ると車が発車した。
「お待ちしておりました」
車で乗り付けた所には不自然にふさふさした髪を持つ高そうなスーツとこれ見よがしにつけているダイヤの散りばめられた時計を着けた初老の男がいた。
「外小石社長自らお出迎えとは恐縮です」
正継さんが挨拶をする。僕は深夏さんと共に背後に控える。
「守建様が来てくださると聞いたので用事を放り出して来てしまいました」
笑顔だが何処か堅いような気がする。
「そんなに気にしなくても……迷宮の方は我々で間引きをしておきますので。新しく探索者を採用することをお勧めします」
「わかっております。今、探索者のリストを取り寄せてアプローチをかけてある所です。急ぎでも二月程は……」
「わかっております。その間が定期的にうちの方で部下を出しますんで」
「お願いします。外に魔物が出たら会社の信用問題になりますから」
「こちらも寄付をしてくださる方に何かあってはなりませんので、お力添えは惜しみません」
最後に正継さんのスマイルにやられたのか正継さんの手を取り何度もお願いしますと言って去っていった。
「よし、こっちだ」
正継さんが案内も介さずに会社の中を進んでいく。そして屋上に着くと隅の方にある鳥居の前に止まる。そこには黒い穴があった。
「さて、ここからは静樹君、一人で行くんだ」
「え? お兄様、私は手伝いじゃなかったんですか?」
「深夏は彼が静樹君が失敗したときの予備だ。必要ないだろうと思うけどね」
そう言ってこちらを覗き込むように見る。
「この中には動物系の魔物がいる。ここの社長は金を渋って探索者に嫌われてね。間引きが間に合っていないんだ」
間引きとは文字通り迷宮内の環境を保つ為に行われる討伐である。増えすぎた場合、迷宮を破壊して魔物が溢れるか、内部で共食いが起こり魔物のクラスが全体的に上がってしまい、さらなる迷宮の複雑化が成される。
前者はとある小国で起こり、国民の3分の2が魔物に喰われて、大国の軍隊によってミサイルの掃射によって収まった。この国は今でも復興の見込みがない。
後者は比較的弱めの魔物がいた迷宮だったが、共食いが始まると軒並み大型化、亜種への進化が起こり、内部の構造もも複雑化し、探索者が逃げ帰る事態になった。今ではその危険度の為に一流の探索者チームしか入ることができなくなっている。
「期間は一月。目標数は150匹で5階層まで。半分は自分の物になるからヨロシク」
半分か……本物の迷宮での稼ぎに期待を寄せて中に入った。




