夏の女王様
ところが
またしても 夏の女王様が塔に入ったままなのです。
これでは作物が収穫できず、このままではいずれ食べる物も尽きてしまいます。
困った王様はお触れを出しました。
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夏の女王を秋の女王と交替させた者には好きな褒美を取らせよう。
ただし、夏の女王が次に廻って来られなくなる方法は認めない。
季節を廻らせることを妨げてはならない。
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それを見た塔の見える丘の近くに住んでいた者たちは ため息をつきました。
どうせなら もっと早くにお触れを出してくれればいいのにと。
勿論 お触れはその日の内に祈りの塔の番人である 塔の猫にも届けられました。
夏の女王様がそっと外を覗きました。
「おっとうっかり 大変 外は たくさんの人であふれてしまう」
それは計画に没頭しすぎて時間を忘れていたからでした。
その時 夏のスコールに乗り一艇の船が塔の窓にたどり着きました。
「初めまして夏の女王様 私は海の国の王子です
あなたを迎えに参りました。季節は廻るのです。どうぞ この手をお取りください」
夏の女王様は春の女王様の事を思い出し考えました。
この手を取ればここからは出られるだけれども
また 世界を巡ることが出来なくなるのではと
「わかりました。私が守ります。あなたの願いを叶えましょう。だから私のきさき になってください。」
夏の女王様は船で世界を巡る自由事を条件に婚姻を受け入れました。
無事に夏の女王様との秋の女王様の交代を遂げた海の国の王子様は
その褒美に夏の女王様を望みました。
一年に一度この国に戻ることを条件に王は許しました。
ぶじ 秋はは廻ってきたのでした。