可愛い拾い者とご挨拶
ギリギリセーフ間に合ってよかった
話が終わるのを確認して周りを観察するとこの空間にいる人々は大きく二つの行動に分かれていくのが見れた。
「あー,やっぱりそのまま身分証明書を作りに行く奴等と質問する奴らに分かれるっぽいな。俺らはとりあえず質問してる奴等の聞き耳を立てに行くか。」
「そうだな,俺もそれが無難に思う。」
「私は付いていきますよ。」
慎と澪の返事を聞き俺は黙って聞き耳を立てれそうでかつ目立たなそうなところに移動した。
暫く色んな人が質問するのを聞きながら考えて待っているとありきたりの質問が終わったようでまた多くの人が身分証明書を作りに行くのを見ているととうとう俺たちと動く気配もない一人の小学校低学年くらいの男の子だけになった。訝しげに思いながら俺はまず少年に話しかけることにした。
「おい,お前一人でこれからどうするんだ。」
少年は顔をあげて俺の目を今にも泣きそうな迷子のような
しかし,しっかりと理性ある迷いなき目で見かえして
「僕は一人でここにきて元の世界では役立たず言われ可愛げがないと殴られた向こうの世界に戻りたくなんかないけど...
此処にも役立たずで可愛げも面白さも何もない僕の居場所なんかないかもしれない。
だけど、
だけど、
一人は嫌だ。」
俺は,最後には涙があふれて目から流れている少年を見て
(イイ面している面白いじゃん)
と思い笑って
「イイよ,お前。面白いよ
俺らと一緒に来いよ。
俺より役立たずで,可愛げのない奴なんて殆どいないぜ。」
聞いていた慎と澪が苦笑しながら
「そうだな。だけど,俺も可愛げのなさ一点は負けない。」
「じゃあ,私は役立たずって言われた数なら負けませんよ。」
少年が泣き笑いしながらくっついてきたので頭を撫でていると後ろから
「そろそろ,いいかな君たちは何の質問があって残っているのかな。」
苛立ちを含む声に俺は笑いを堪えずに相手の方を向き挑発するように言った。
「もちろん,たくさん質問があり困るんですが最初にお名前お伺いしても。」
これは情報戦気づかず知らずに騙された人の負けだ....
せいぜい楽しい話し合いをしよう
感想ご指摘いただけたら幸いです。