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そんなこんなで厨房に戻ると、火にかけていた鍋がすっかり沸騰していた。
そこにトマトの調味料を溶かして味を調える。
鍋をかきまわしながら色々考えてみるが、どうにも引っかかる。
(一体、あの子は誰なんだろう)
調理場の椅子にポツンと座っている、さっきの女の子。
無表情のまま、ボ~っと天井を見ているだけだ。
そもそも、なんでこんな時間に食料を漁っていたのか。
家出、もしくは浮浪少女なのだろうか。
今考えると強盗という可能性も無くはないけど、そんな雰囲気でもない。
(まあ、お腹が膨れれば話してくれるかもしれないし)
そんなことを考えながら、硬くなったパンを四角に切って、油を引いたフライパンで焼いて水分を飛ばす。
鍋のスープを皿に取り出し、カリカリに焼いたパンと細かく切ったパセリを乗せる。
これで完成。
なんとか二人前のスープをこしらえることができた。