14/23
- 13
「……それで、いつまでアナタは奴隷なの?」
僕が皿をシンクで洗っていると、突然彼女が話し出した。
「所詮、奴隷は奴隷でしかない。分かるでしょ」
「……どういうこと?」
僕はシンクの方に顔を向けたまま言葉を返した。
「アナタは、料理人ごっこをしているだけ。夜に料理を作ろうと、
あなたが奴隷であることには変わらない。昼にはまた奴隷に戻る。それで満足なの?」
「満足って……満足じゃないけど、満足してる」
自分でも良く分からない返事。
「じゃあ、もしアナタが奴隷じゃなかったらどうしてる?」
「そんなこと考えても仕方ないよ。僕のカーストカードに奴隷と書いてある限りは、ね」
「……」
急に空気が重くなった。
彼女に目線を合わせていないのに、肌でそれを感じた。
「……今日は、帰る。ごちそうさま」
「あ、ああ」
彼女が席を立って帰る素振りを見せる。
しかし、その晩はそれだけで終わらなかった。
「お前ら! こんなとこで何をしてやがる!」
店長が裏口の戸を開けて現れたのだ。