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その日も、恒例となった深夜の食事会を開いていた。
「今日はどう?」
「……まあまあ」
今日は、羊肉のロールキャベツを作った。
香辛料で味付けした羊肉をキャベツで包み、牛乳ベースのスープで軽く煮込んだもの。
そんなに難しい料理じゃないけど、美味しくできていると思う。
彼女の豊富な食材をどう使っていいかも何となく分かってきたし、
間違いなく僕の腕が上達しているのだろう。
それは、
「もうちょっとスパイス効かせて。羊肉の匂い嫌いな人もいるから」
「なるほど。次は気をつけてみるよ」
という具合で、彼女は僕に料理の意見をくれるからだった。
でも、それだけじゃない。
楽しかったのだ。
料理を作ることが僕は楽しかった。
無口ながらも優秀な『味見役』に料理を作り続けるうちに、
人の為に料理を作る楽しみと、人と食卓を囲む暖かさに僕は気づいていた。
そして、その反面でモヤモヤとした気持ちになっていることにも。
不思議なことに、ルーシーはそれを見透かしていた。