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その晩から一ヶ月。
彼女は毎日のように厨房を訪れた。
そして、その度にどこからか食材を差し入れ、僕はそれを料理した。
どこで食材を仕入れているのか何度か聞いてみたものの、
「拾った」
としか言わないので、いつしか僕も聞くのをやめた。
というか、一ヶ月近く彼女と顔を合わせているにも関わらず、僕は彼女のことをほとんど知らなかった。
これに関しても、
「秘密」
としか言ってくれない。
僕が知っているのは、彼女がルーシーという名前ということ。
無口だけど、小柄でかわいい女の子ということだった。
(彼女は、一体何者なんだろう)
それが少し分かったのは、ある晩のことだった。