子どもの性格~ルヴィアーナ・ガウリー~
ラトルワ帝国の宰相補佐執務室。
机の上に山積みにされた書類。それに埋もれながらも机で手を動かす男。
本当にちゃんと確認しているのか疑問に思うスピードで処理をしていく。
「ねぇ。ガウリ―。」
「なんですか?ルヴィ。」
顔も手のスピードも落とさず、それでも優しく答えてくれる夫に微笑みながら続ける。
「ガルドのこと。どう思う?」
「優しい、ルヴィに似た男の子だと思いますよ?」
「やっぱり?」
ため息をつく。
「それが問題でも?」
「問題でしょう?私に似てたら、この国の宰相なんて務まらないじゃありませんか。」
「それは、どういう意味でしょう。」
「ですからー。ガウリ―みたいな腹黒さと狡賢さと卑怯さとこれでもかってくらいに追いつめられる性格の悪さ?が宰相には必要でしょうって言ってるのです。」
「ルヴィ。俺を貶して楽しい?」
「ほらー。いつもはニコニコしてるのに、そのゾクっとするような冷血な瞳とか。必要でしょ?」
正直、そのギャップがたまらいと思っているわけだが、その発言は気に入らなかったらしい。
「ルヴィ。一区切りつきそうですから。休憩にします。」
「遊んでくれるの?」
ガルドは教育係が担当中だし、みんな忙しそうだし。
ちょっと暇だったのだ。
「そうですね。ガウリ―のこともそうですが、あなたの認識も修正しないと。」
「大丈夫よ?今の会話でも、私を睨んだ一瞬しか仕事の手が止まってないガウリ―が大好きだから。」
「それは、あたりまえです。さて。」
あたりまえのレベルがどんだけ高いんだというツッコミを入れたくなったが我慢する。
書類に向けていた目線を外し、立ち上がるガウリ―をみて笑みがこぼれる。
「お茶を入れますが、今日の気分は?」
「マルコポーロ!」
「はいはい。そこに座ってお待ちください。姫。」
ラトルワ帝国第一皇女として生まれて、本来なら、どこかに嫁いでたはずなのに、
運よくガウリ―と幼馴染で、ついでに好きになって。好きになってもらえて。
ずっと大好きな故郷で暮らせることに感謝してる。
「ありがとう。」
だから、たまにはガルドをだしに使っても良いわよね。
なんだかんだで、毎日執務室に入り浸る第一皇女の為に、
膨大な仕事量をありえない早さでこなし、
わざと休憩時間を合わせてるガウリ―のことを知る者はいない。
ラトルワ帝国第一皇女、ルヴィアーナ(28)、宰相補佐、ガウリ―(28)