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第七話 「隠しダンジョン」

「……隠しダンジョン?」


レインは思わず呟いた。


森の奥。


木々の隙間に、半透明のログが浮かんでいる。



【レアイベント】


隠しダンジョン

《魔喰いの穴》を発見しました。


推奨攻略レベル:15


現在生存率:21%



「低っ!?」


レインは思わず声を上げた。


今の自分はE級冒険者。


レベルだって高くない。


そんな場所へ突っ込めば普通に死ぬ。


だが。


問題はそこじゃなかった。


目の前のゴブリン三匹。


その頭上にも、赤い文字が浮かんでいる。



状態:


【魔力活性】



「なんだそれ……!」


次の瞬間。


三匹が同時に飛びかかってきた。


速い。


さっきの個体よりさらに。


「レイン!」


シエルの叫び。


その瞬間。


レインの視界に大量のログが流れる。



回避ルートを表示します。


左へ回避してください。


成功率:87%



レインは反射的に身体を動かした。


横へ転がる。


直後、ゴブリンの爪が空を切った。


「ギャッ!!」


「っ……!」


さらに別の一匹が迫る。


ログ。



対象の右腕へ攻撃。


成功率:93%



レインは木の枝を振る。


バキッ!!


「ギィッ!?」


ゴブリンの腕が変な方向へ曲がった。


「すご……」


シエルが目を丸くする。


だがレインに余裕はなかった。


頭の中へ情報が流れ込みすぎる。


敵の動き。


当てる位置。


避ける方向。


全部“答え”が見えてしまう。


その時。


一匹のログが変化した。



個体名:


ゴブリン変異種


討伐推奨人数:4



「変異種ぅ!?」


遅い。


次の瞬間。


変異種が地面を蹴る。


普通のゴブリンより明らかに速い。


レインは咄嗟に下がろうとする。


だが。


ログが赤く染まった。



回避失敗予測。


負傷率:82%



「っ!」


間に合わない。


その時だった。


シエルが小さく呟く。


「……右」


「え?」


レインは反射的に右へ身体を傾ける。


瞬間。


ゴブリンの爪がギリギリ横を通過した。


「なっ……!?」


避けた。


今のログは間に合わない予測だったはず。


シエル自身も驚いた顔をしている。


「……見えた」


「見えた?」


シエルは自分の手を見る。


その頭上に、新しいログが浮かんでいた。



ユニークスキル

【星読】


発現率:12%



レインの目が見開かれる。


その瞬間。


変異種が再び飛びかかってくる。


だが今度は。


レインの視界に、今までとは違うログが表示された。



連携可能対象:


シエル


簡易未来共有を開始しますか?


▶ YES / NO



「……は?」


意味は分からない。


だが。


なぜか直感で理解した。


レインは叫ぶ。


「YES!」


瞬間。


視界が広がった。


ゴブリンの動きが“遅く”見える。


いや違う。


次の動きが分かる。


シエルと同じ未来を見ている。


「左来る!」


「分かってる!」


レインは枝を振る。


ゴッ!!


変異種の顔面へ直撃。


体勢が崩れる。


さらにログ。



追撃成功率:98%



レインは近くの石を掴み、全力で叩きつけた。


ゴギッ!!


「ギャアアアッ!!」


変異種が倒れる。


今度こそ動かない。


静寂。


レインは荒く息を吐いた。


「……勝った?」


その瞬間。


ログが弾ける。



レベルアップしました。


【雑務 Lv3 → Lv4】


新機能を解放。



「……え?」


さらに。


別のログ。



隠し条件達成。


スキル進化条件を満たしました。


【雑務】を進化可能です。



レインの鼓動が、大きく跳ねた。

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