APENDIX 〜とある読書感想文記録〜
女というのは奇妙な生物だ。
喜んでいるかと思えば、怒っていると言う。
哀しんでると言えば、楽しんでいると思う。
『きいて、きいて、』
嘘の呼吸 一の型 つばきちゃんの話。
『ぎゃああああああ。』
瑣末な会話に耽溺する。
毒が体に回って、吐いてしまう。
そういう刃の一節が、太宰治 女生徒だ。
あらすじ
とある女生徒の1日。朝から晩までの生活を描く。朝起きて身支度して外に出かけて帰って寝る。以上。
短い小説それだけ、そう以上だ。短い以上それだけ、そう小説だ。
感想
なんだこれ。女の頭の中はどうなっているんだ。一文の中に、巧妙な罠があるような気がする。でもわからない。読み返す。わからない。なんだこれ。
私は知っている、表現には解釈がある。
答えが一つに定まらない問題は、感触が悪く、解なし方程式だ。迷子になる。道を見つけて、行き先がわかる。そしてまた見失う。でも、景色はかわる。
例えばこの3文を見てみよう。
『太宰治 女生徒 千歳出版』よりp63から引用
(ページ数が電子版のため書籍と異なる場合があります。)
私たち、いつまでも、恥ずかしいスッポカシをくっているのだ。私たちは、決して刹那主義ではないけれども、あんまり遠くの山を指さして、あそこまで行けば見はらしがいい、と、それは、きっとその通りで、みじんも嘘のないことは、わかっているのだけれど、現在こんな烈しい腹痛を起しているのに、その腹痛に対しては、見て見ぬふりをして、ただ、さあさあ、もう少しのがまんだ、あの山の山頂まで行けば、しめたものだ、とただ、そのことばかり教えている。きっと、誰かが間違っている。わるいのは、あなただ。
構造的に分析する。
①私たち、いつまでも、・・・
②私たちは、決して刹那主義ではないけれども・・・
③・・・わるいのは、あなただ。
テーゼを立てる。
①は、主人公の女生徒だろう。
②は、主人公の女生徒?太宰治?
③は、太宰治?主人公の女生徒?読者?
この視点ずらしが、幾重にも行われていて読んでいて視点が迷子になる。
解を検討する。
①『私たち』、主人公の女生徒とする。
②『私たちは』、主人公の女生徒と太宰自身の2人とする。
③『あなたは』、主人公の女生徒と太宰自身を除いた読者を巻き込んだ人たちとする。
アンチテーゼを探す。
もちろん、矛盾点が見つかる。そしてまた、テーゼを生み出す。
ふと昭和を嗅ぎつけ、出会える、たいむましんだ。
書いて消して、聴いて加えて、悶絶躄地の先に、あなたの独白に出会える。
そうそう、最後に。
かつて、毒女と揶揄された
奇妙な女型ロボットの名前は、
愛だった。
女生徒の独白。完




