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10.ウィテッリウスの章

空気を読む皇帝オトが

どうにもならない困りごとの前に潔く散った、

その後の皇帝は、果たして…?

10.ウィテッリウスの章



西暦69年。

ガルバ帝が倒れ、

オト帝が自害し、

そして北方軍団が担ぎ上げた男がローマへ向かっていた。


その名は

アウルス・ウィテッリウス!

いけいけ僕らの満腹皇帝!


さあて、

楽しいウィテッリウスが皇帝になる時間だ。

どんな美味しい料理がまっているかな?


“一番お腹いっぱいになる皇帝”

ウィテッリウスの章は、

歴史なのにコメディみたいな瞬間が多い。


ウィテッリウス帝、満腹の即位

― 胃袋と国庫と帝国が同時に破綻する話 ―



1. 皇帝になった途端、宴会が始まる


ローマは皇帝を失い、疲れ切っていた。


「また新しい皇帝か。何度目だ?ころっころ変わるな」


市民は安定を望み、元老院は秩序を求めていた。

オト帝が死に、ウィテッリウスがローマに入る。

市民が何を期待していたかはさておき、

この新皇帝がまずしたことは――


食った。

食った。

帝国より先に胃袋が拡張した。


ローマに入城する道中も、

街ごとに豪華な宴席、

大量のワイン、

肉、肉、また肉。


「ウィテッリウス様、ローマで最初に何を?」

『宴だーーっ』


ローマに着く頃には、

皇帝行列というより、

ただの食い倒れツアー。


彼を担いだのは、北方の兵士たちだった。

彼らにとっては気前が良く、酒を共にする“親分”だった。

アウルス・ウィテッリウス

――暴食で有名だが、兵士には好かれていた。



2. 1日何度もフルコース


史書いわく、

ウィテッリウスは 1日4回フル宴会 を開き、

どれも高級食材で埋め尽くした。


 フラミンゴの舌

 マグロの胃袋

 鳥の脳みそ

 海という海を煮詰めた鍋

   つまり、魚の肝、貝の身、甲殻の卵、

   そして“何かよく分からないもの”まで全部。

 そして、ワイン。

 とにかくワイン。


誇張もあるだろう。

だが重要なのは事実かどうかより、

ローマ市民が「そう信じた」こと。

もはや胃袋のローマ制覇。

皇帝のイメージはすでに「暴食」


元老院議員は、無言で顔を見合わせた。

書記は、宴会費の数字を見て震えた…



3. 皇帝としての初仕事 → 財政破壊


ローマの財務官たち

「陛下、金庫が空になります!」

ウィテッリウス帝

『では補充すればよかろう』


貴族の家に踏み込み、

値打ちものを片っ端から没収して宴会費に充てる。


没収。

追徴。

処刑による財産接収。


「え、税金じゃないんですか?」

『うん、直接調達』



4. 政治は?


ウィテッリウス帝

『政治? うむ、もちろんやるぞ』

(一同、安堵)

『その前に……』

『デザート!』

(元老院:誰かこの人を止めて)



5. 空気を読むオトの次に来るのが、

  空気どころかカロリーしか読まない皇帝


ローマ全体が

「オトの死で沈んでいる時期」

なのに、

ウィテッリウス帝

『皆の衆!宴だ!今日は魚だ!』

市民

「……あの、皇帝?」


そのころ、兵士への給金は滞り始めていた。



6. そして悲劇へ


もちろん、これだけでは終わらない。

地方ではすでに“次の皇帝希望者”が挙兵している。


そう、東から来る現実、ウェスパシアヌス。


片や、今日のメニューを考える男。

片や、帝国の明日を計算する男。


勝敗は、もう決まっていた。


ウェスパシアヌスは倹約家で実務家。

ウィテッリウス帝は流されやすい性格で、貴族のボンボン育ち。

「帝国は、果たしてどちらを選ぶのか?」


ええと。

…さあ、どうする僕らのウィテッリウス帝!


『え?来たら帝位譲っちゃえばよくね?

 それよりごはん、ご飯もってきて

 あの美味しいやつ、そうそう、あれ。肉。


とまらない胃袋

とまらないウェスパシアヌス反乱軍


がんばれ優柔不断な暴食皇帝!

行け行け僕らのウィテッリウス帝!

(残酷な)運命なんて食欲で吹き飛ばせ!


だが、やっぱりローマは満腹では統治できなかった…


「皇帝陛下、最後に何か?」

『……水をくれ』

それが、豪奢な宴の果てだった。



終わり


あれだけ食った男が、最後に欲しがったのは水でした。

もっとも、欲しがらなかったとしても、

後々、ティベレ川の水をたっぷり飲むことができたことでしょう。


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