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下山救世録 (Gesan Kyūsei Roku)  作者: Daophong
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第十八章 マ・ドウシの遭難

**下山救度人げざんきゅうどじん**


物語は、大学生 **呂天陽りょてんよう** を主人公とする。

彼は師命に従い**下山**し、

昼は凡俗の学徒として学び舎に通い、

夜は\*\*道士どうし**として真の姿を現し、

**人間界にんげんかい**に潜む数多の**妖異ようい**、**邪祟じゃすい**、

そして**怪変かいへん\*\*へと立ち向かってゆく。


やがて、幾多の試練を経て友を得、

共に世を乱す闇を打ち破らんと誓う。


---


**陰陽両界いんようりょうかい ことごとく収め**

**邪物じゃぶつ現れし時 如何いかに破らん?**

**判官はんがんすらも 人間界に見えず!**


---


呂天陽は一路**下山**し、

天地を震わせる数百の戦いを経て、

**鬼侯きこう**、**仙妖せんよう**、**凶霊きょうれい**、\*\*邪神じゃしん\*\*と渡り合う。


友と共に\*\*六道三界ろくどうさんがい\*\*を突き破り、

\*\*歴劫れきごう**を乗り越えて**証道しょうどう\*\*へ至らんとす。


挿絵(By みてみん)




ディエップ・ホアイアンに別れを告げた後、リョ・テンヨウ(呂天陽)は寄宿舎に戻った。ベッドに寝転びながら少し考え込む。何かが足りない気がする――手掛かりが少なすぎる。カオ・エン(高燕)の言葉を思い出し、霊芝山れいしさんへ一度行ってみるべきだと感じた。

だが、彼はこの京都けいとに来てまだ日が浅く、地理にも疎い。そこでマ・ドウシ(馬童子)に相談することに決めた。


「噂をすれば影」とはよく言ったものだ。ちょうどその時、マ・ドウシが鼻歌を歌いながら部屋に入ってきた。

その声は犬の遠吠えも止め、亀も立ち止まるほどの“殺傷力”であった。部屋に入るや否や、リョ・テンヨウがベッドに寝転んでいるのを見つけ、驚いて言った。


「おお、リョ・ボウズ(呂坊主)!帰ってきたのか?昨日の夜、どこ行ってたんだよ?」


リョ・テンヨウは「ちょっと大事な用があった」とだけ答えた。

マ・ドウシは半信半疑で彼をじろじろ見つめ、その視線にリョ・テンヨウが少し気まずそうに眉をひそめた。


「お前……なんでそんな宇宙人でも見るような目で見るんだ?」


マ・ドウシは何も言わず隣に腰を下ろし、鼻をひくひくさせたあと、納得したようにうなずき、彼の肩を叩いた。


「お前の体から酒の匂いがするぞ?一晩中帰らなかったし……まさか風俗にでも行ってたんじゃないのか?」


「風俗だと!? バカ言え!」

リョ・テンヨウの口元がピクッと引きつる。


ムカついた彼はそのままバスルームへ行ってシャワーを浴び、髪を拭きながら本題を切り出した。


「ちょっと聞きたいことがある」


マ・ドウシはあくびをしながら伸びをした。

「なんだよ?最近なんか体がだるくてなあ……。」


その瞬間、リョ・テンヨウの瞳に金光が閃いた。

彼はマ・ドウシの全身を見て驚く。淡い血気の中に、かすかに黒気こっきが混じっている――つまり、何か“邪”に触れた証拠だ。

彼はまだ核心を言わず、穏やかに尋ねた。


「昨日、どこに行ってた?」


「俺?クラスメイトと一緒に山に薬草を探しに行ってたんだ。頭痛に効く草があるって授業で聞いてさ。結局見つからなかったけどな。」


「その山の名前は?」


霊芝山れいしさんだよ。なんだ?お前も興味あるのか?」


リョ・テンヨウは口元に薄い笑みを浮かべた。

本心を隠して、「ちょっと興味あるんだ。明日一緒に連れて行ってくれないか?」と言う。

マ・ドウシは嬉しそうにうなずいた。


夜が更ける。

リョ・テンヨウはベッドに横になり、隣ではマ・ドウシが豚のようにいびきをかいて寝ている。

しかし彼は眠らず、何かを待っているように静かに目を閉じていた。


外では風が吹き荒れ、冷たい気配が部屋に流れ込んでくる。

マ・ドウシが突然むくりと起き上がった――まるで夢遊病者のように。

両手を前に伸ばし、顔に奇妙な笑みを浮かべている。やがて視線を部屋の中に這わせ、リョ・テンヨウを見つけると、舌で唇を舐め、ゆっくりと近づいてきた。


リョ・テンヨウは壁を向いたまま、指に赤い糸を巻きつけ印を結ぶ。

マ・ドウシがベッドに近づき、豚のように鼻を鳴らし、彼の首筋に噛みつこうとしたその瞬間——


天地てんち帰一きいつ!」


リョ・テンヨウの声とともに、一枚の符が飛び、マ・ドウシの口にぴたりと貼り付いた。

赤糸が首に絡み、彼は両手で印を結び締め上げる。糸がギュッと収縮し、マ・ドウシの膝を蹴り崩して頭を押さえつけ、額に指を当てて「抜魂」の術を発動する。


黒い霊体がマ・ドウシの体から引きずり出され、床に叩きつけられた。

マ・ドウシは地面に崩れ、黒い血を吐きながらうめいた。

「くっそ……なんてこった……!」


リョ・テンヨウは無視して、引きずり出した黒い影を見た。

真っ黒な体、赤く光る双眸、短い尻尾と小さな耳――まるで“豚”だ。


「なるほどな……豚の妖怪が憑いたとは、外見までお似合いじゃないか。」


マ・ドウシは青ざめながら怒鳴った。

「ふざけてる場合か! これは一体何なんだよ!?」


リョ・テンヨウは黒影を見下ろし、静かに言った。

「これは“猪妖ちょよう”。豚が成精して雷劫に失敗し、肉体を失った霊魂だ。本来なら転生するはずが、執念で修行を続け、他人の肉体を奪おうとする。」


彼は膝を折り、黒影に語りかけた。

「見たところ修為は高い。だが天命には逆らえぬ。大人しく冥府へ行くがいい。」


妖怪の“度劫どごう”は常に危険を伴う。

成功すれば位を得て冥府の神となるが、失敗すれば肉体が滅び、魂も散る。

それでも多くの妖が挑む――力を求める欲望は、誰にも止められないのだ。



---

白衣を纏う若き修道士・呂天陽は、天空に立ち、渦巻く雲海の中から押し寄せる万の妖魔鬼怪を正面から睨み据えた。その眼差しには一片の恐怖もなく、ただ正道を貫く決意と燃え盛る闘志だけが宿っていた。

「天師、人間界を守護す!」

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