第十二章:邪霊の遭難
**下山救度人**
物語は、大学生 **呂天陽** を主人公とする。
彼は師命に従い**下山**し、
昼は凡俗の学徒として学び舎に通い、
夜は\*\*道士**として真の姿を現し、
**人間界**に潜む数多の**妖異**、**邪祟**、
そして**怪変\*\*へと立ち向かってゆく。
やがて、幾多の試練を経て友を得、
共に世を乱す闇を打ち破らんと誓う。
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**陰陽両界 悉く収め**
**邪物現れし時 如何破らん?**
**判官すらも 人間界に見えず!**
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呂天陽は一路**下山**し、
天地を震わせる数百の戦いを経て、
**鬼侯**、**仙妖**、**凶霊**、\*\*邪神\*\*と渡り合う。
友と共に\*\*六道三界\*\*を突き破り、
\*\*歴劫**を乗り越えて**証道\*\*へ至らんとす。
葉懐安は神秘的に微笑んだが、返事はせず、百花酒を注ぎ続けて飲んだ。少し多めに飲んだため、瑕疵のない白い顔はわずかに紅潮した。
その姿は、昼間の高慢な葉懐安お嬢様の姿とはまるで異なり、俗世的でありながらも詩情あふれる雰囲気を漂わせていた。
この発見に、呂天陽は思わず声をあげて笑った。葉懐安は彼が自分を見て笑っているのを見て、不思議そうに首を傾げた。
「何がおかしいの?」
「いや、別に。」
呂天陽は舌を出してごまかし、言葉を濁した。すると突然、掌の内から淡い清光が伝わってきた。呂天陽は慌てて手のひらを開くと、そこには琵琶の形をした光る痕が浮かび上がっていた。
「これは……」
言い終える前に、突如として窓が吹き飛び、一つの人影が飛び込んできた。
青い漢服を纏い、髪に蓮花簪を挿し、腕に一張の琵琶を抱えた女であった。飛び込むなり大声で叫んだ。
「主人様、助けてください!」
続いて二体の姿が舞い込んだ。鬼甲冑を纏い、顔ははっきり見えないが、頭には二本の牛の角が突き出ている。
呂天陽は一目で、彼らの身に**妖気**が纏わりついているのを見抜いた。すなわち妖怪である。しかも濃い赤の妖気は修為の高さを示していた。彼は眉をひそめて問いかけた。
「お前たち、どこから来た?」
「ふん、無知な人間め。余計な口出しをするな。ラオニュウ様が、お前を引き裂いて煮てやろう。さっさとあの女を渡せ!」
呂天陽は冷笑し、カオ・イェン(高燕)の手を背後に引き寄せ、二匹を睨みつけた。
「彼女は俺のものだ。たとえ何をしでかしたとしても、捕らえるならまず理由を言え。」
牛角の妖は激怒し、鐘のような声で叫んだ。
「不遜な人間め! この将軍の事にまで首を突っ込むか!」
「大した度胸じゃないが、一つしかない命だ。とにかく今日は連れて行かせない。」
妖は高笑いした。
どこからか巨大な大刀を抜き放ち、呂天陽の頭上めがけて振り下ろした。呂天陽は身をかわし、片足で刀柄を踏み込み、力を込めた。その大刀は椅子を容易く真っ二つにし、妖は目を見開いた。
一枚の霊符が飛んで妖の顔面に叩きつけられ、霊力が爆発して彼を数歩後退させた。もう一方の妖も黙ってはいなかった。銅製の黒刃の剣を振り払ったのだ。
呂天陽は身を翻して攻撃を避けた。その妖はじっと見据えたまま動かない。しかし大刀を持つ牛妖は違った。連続攻撃を繰り出し、呂天陽はかわし続けた。二人は店内で猫と鼠のように追いかけ合った。
「小僧、逃げ足だけはなかなかだな!」
やがて牛妖は息を切らして疲れたが、呂天陽は平然としていた。幼い頃から師に玄清体術を鍛えられており、持久力は強かったのだ。
彼が反撃しなかったのは、二匹の力量を見極めるためだった。
――人間界はいつからここまで乱れた? 妖怪が勝手に人を殺すようになったのはいつからだ?――
背後から風の音。剣を持つ牛妖が隙を突いて刺突してきた。呂天陽は身をひねってかわし、中指でその手首を一撃した。牛妖は悲鳴を上げ、剣を落として手を抱え、痛みに目を白黒させた。彼はようやく高人に出会ったことを悟り、逃げ出そうとした。
「逃げる気か?」
呂天陽は跳んで戸口を塞ぎ、両手に絡んでいた赤い糸を放った。その糸は二匹の首に巻きつき、締め付けた。瞬時に二枚の鎮妖符を描き、後頭部に貼りつけた。二匹は動けなくなり、恨めしげに彼を睨んだ。
呂天陽は別の椅子に腰掛け、手を払いながら酒を一口で飲み干した。葉懐安もその戦いを見守った後、二匹の妖を調べて頷いた。
「修為は悪くない…位階的には妖霊程度ね。」
呂天陽は彼女の隣に歩み寄り、二匹の妖を見ながら問うた。
「お前たち、今、理由を素直に話す気はあるか?」
剣を持っていた妖はまだ恨めしげに呂天陽を見ながら言った。
「術師よ、我々を放せ。主人が来れば、たとえお前でも相手にならぬ。あの女を渡せば、お前の命を助けてやろう、さもなくば…」
言い終わらぬうち、木製の剣が首元に置かれた。妖は目を見開き、呆然とした表情で呂天陽を見つめた。呂天陽は口元を歪め、低い声で答えた。
「なるほど、背後に誰かいたか。では、その実力を見せてもらおう。」
牛角の妖は大声で叫んだ。
「我らの主人を侮るとは! 王が来れば、お前を粉々にしてやる!」
「そうして俺を煮るつもりだろう? もう聞き飽きた。」
葉懐安はそばでくすりと笑い、呂天陽は剣を回収し、カオ・イェンの様子を見た。彼女の気息は乱れ、顔色も暗く、重傷を負っていることがわかった。
呂天陽は理由を聞く前に彼女を座らせ、自身の**剛気を放って彼女の体内の妖気**を追い払い、カオ・イェンはようやく楽になった。
「主人様、助けてくださり感謝します。」
その後、彼女は葉懐安に目を向け、微笑みながら尋ねた。
「主人様、彼女はお前の彼女ですか?」
呂天陽はすぐに咳払いし、鋭い目で睨みつけた。
「余計なことを言うな。我々はただの同級生だ。」
そして彼は葉懐安を横目で見た。彼女は気にしていない様子で、呂天陽はカオ・イェンに問うた。
「結局、何が起きたのか?」
カオ・イェンはゆっくりと息を吐き、これまでの経緯を語り始めた。
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白衣を纏う若き修道士・呂天陽は、天空に立ち、渦巻く雲海の中から押し寄せる万の妖魔鬼怪を正面から睨み据えた。その眼差しには一片の恐怖もなく、ただ正道を貫く決意と燃え盛る闘志だけが宿っていた。
「天師、人間界を守護す!」
ლ(^o^ლ)




