三話 サバイバル検定
よろしくお願いします!
合図が鳴り俺たちのグループはまず自己紹介をすることになった。まず最初にポニーテールで真面目な女の子から紹介することになった。
「初めまして!私は佐々木音琴音です。私の能力は擦り傷ぐらいの怪我を治すことができます。」
続けてショートヘア、黒髪、黒ニーソックスの子が自己紹介を始めた。
「私も初めまして!早乙女黒石暖です。能力は周りの酸素を集めて熱を出せます!ですが集めるにも限界があります。鍛えれば多くの酸素を集めることができます。でも私鍛えるとかあまり好きじゃないんですよ。なんかこの能力を使うと代償が必要になるとか、怖いじゃないですか。」
「確かに!わかる!」
相槌を打った佐々木音琴音が代償について話し始めた。
「でも私の友達は代償とか無いらしいよ。ファクタジアを鍛えていったら代償も少なくなっていったって。」
「へー不思議だね。」
俺はその鍛えた子の話を詳しく聞くことにした。
「佐々木音琴音さん、その鍛えた子の話もっと教えてくれない?」
「琴音でいいよ!その子の名前はね美鳴波留って言う子で雷を使ってた!それ以外わかんないや。」
「そうか、ありがとう。」
「え?なに?狙ってるの?顔も分からないのに。」
「そういうことじゃない。とりあえず戦いは避けて最後まで生き残ろう。」
「そうだね!」
琴音や黒石暖は同意したが剣は違った。
「私は戦いに行くぞ、暇だし人数を少なくしたほうが効率いいからな。」
流石にお前を一人行動させるわけにはいかない。俺は剣と話したくない、なぜかというと怖いから。だがとりあえず説得をしてみよう。
「今は数が多いしとりあえず隠れながら過ごそう。もし違うグループと出会ったらしょうがないけど戦おう。」
「そうか、分かった。」
案外聞いてくれるのかもしれない。俺は少し嬉しげにガッツポーズをした。
あれから、約一時間が経ったぐらいに大きな音がした。サバイバルゲームなので高校生同士が戦っているのだろう。戦う音はどんな場所でもなっていた。すると脳に語りかけている感じに1つの知らせが聞こえた。この声は校長先生の声だと思う。
「3グループ脱落!……8グループ脱落!」
すごいスピードでたくさんのグループが脱落をしていっている。知らせを聞いて俺らは作戦会議を開くことにした。
「よし、今日を乗り切るために作戦を考えるぞ。何か提案はあるか?」
琴音が提案をした。
「じゃあさ、戦っている人の能力を調べに行こうよ!そうすれば最終日に戦ったとしても能力が分かるから戦いやすいと思う!」
「私もそれに賛成です。この三日間何もわからず最後に戦うのは怖いですからね、剣さんはどう思いますか?」
急に振られた剣は困っているようにも見えた。
「わ、私はどちらでもよい。」
「分かった!その作戦で行こう。」
今回は全員同意したようだ。俺らが同意した後に琴音がもう1つ提案をしてきた。
「剣さん!調べに行くとき2対2で別れて調べに行きませんか?全員で動くと見つかりやすいし2人ずつ動いたらいろんな場所を見られる……どうかな?私はさっきの作戦に加えてこの作戦もやりたいんだけど……。」
「わ、私はどちらでもよい。」
「よかった!ありがとう!じゃあペアは私と黒石暖・剣と拳で行こう!」
「おい!ちょっと待て、まだ決まったわけじゃ……」
琴音は俺の話を聞かずに黒石暖を連れて遠くへ行ってしまった。まったく大丈夫なのか?と心配になったが【見るだけ】なので戦いにはならないだろう、もし見つかったら助けに行く手段は持っている。多分「キャー!」とか言ってくれて場所はわかるはず、これしか助けに行く手段はないが大丈夫だろう。俺は二人の安心を願いながら一日目を過ごす。
あれから30分ぐらいたっただろうか……二人きりになった瞬間俺と剣の中に気まずい空気が流れ、一日たとうとしている。どうにか剣とこの三日間で仲良くしておきたい。俺は剣にもう一度詳しく自己紹介をすることにした。
「なぁ、剣……さん?」
「にゃい!」
「にゃい?」
俺の勘違いか?「にゃい!」と聞こえた気がするんだが気のせいか……。
「剣さん……今のにゃい!ってな……。」
その時、俺は感じた。この感じ、覚えている。それは剣が俺の背中に剣を突きつけながらこう言うんだ……「私にかかわるな。そして今の記憶をすべて消せ!ぶち○すぞ。」
ほらみろ!やっぱりそうだ!しかも今回は前回と違い突きつけるというより少し刺さっている……痛い。だが仲良くなるためだ、自己紹介をしよう。
「剣さん。落ち着いて!今のこと忘れるから!3、2、1、はい!忘れました。あのこれからこの三日間一緒にいるんだから詳しく自己紹介をしようと思いまして、いいですか?」
「そうか分かった。じゃまずお前からだ、言い出したやつから言えカス。」
「はい!分かりました!」俺は剣に名前だけでなく能力のことなど話すことにした。
「俺の名前は十拳だ。男だ。気軽に拳って呼んでくれ。俺には妹が一人と父と母がいる。俺の能力はよくわからないんだ。みんなみたいになんか出して操って攻撃したりできない。唯一分かるのは狙ったところにパンチするとすごい威力そして炎が一緒に出てくるんだ。ほんと今はそれぐらい。お前とは共通点があるんだ!苗字とかなんか似てないか?初めて自己紹介したとき似てるなって思ったんだよ。これからよろしく!」
「はい!次剣の番。」
剣はめんどくさくため息を大きくたて、自己紹介を始めた。
「分かった。私は十剣だ。女だ。一人暮らしで両親はこのキャスティロが来る前に他界。唯一弟が一人いたが、弟が留学中、離れ離れになってしまった。私の能力はお前と一緒でよくわからん。私はこの剣を武器として戦う。お前が言う炎とかっていうやつは出たことがない。眠りから覚めたら私の横にボロボロの剣が隣にあった。こうして二年の間に剣を強化してこのシルバーと赤色の剣を手に入れた。これぐらいでいいか?ってなんで泣いているんだ?」
俺はこの話を聞いて剣の今までの人生たった一人で過ごしたことは俺の場合すごく辛い。
「お前結構つらい人生だったんだな。なんかあったら俺が手伝うよ。」
「いや。私はあまり辛くないぞ。」
「え?」
俺は驚いてしまった。こんなにつらい人生だったのに辛くないとは。
「もちろんつらい時もあった。だがそれより弟が平和に生活しているとこの間知ったから今は安心して過ごしている。まあありがとう。こんなに私の人生に泣いてくれたのはお前が初めてだ。お前とは仲良くできそうだ。これからよろしく。えぇと、何て呼べばいいかな?拳?拳くん?」
俺は泣いた涙を腕で拭いた。腕の服の部分には涙の跡が残った。
「相棒と呼んでくれ!」
「無理。」
即答された。
「じゃあ拳でお願いします。」
「分かった。」
そういえば気づいたことがある。
「そういえば剣って女の子だったんだ、俺てっきり男だと……」
マジでほんとにそう思っていた。だって最初普通に剣突きつけてくるしフードかぶって分からなかったし。
「そうか、拳はそう思っていたのか。フードしてたし分からないか。」
そうして剣はかぶっていたフードをめくり顔を見せた。そこには黒髪で数々に白い毛がありサラサラの髪の毛、しかも美人顔でまるで竜のようなクールな顔立ちだった。かわいいよりかっこいいと言ったほうがいいのか?すこし照れてしまった俺がいる。剣はフードで崩れてしまった前髪を直し改めて挨拶をした。
「これから三日間よろしく。」
俺は剣が少し笑顔になったのを見逃さなかった。よかった、笑ってくれた、改めて挨拶を俺もした。
「あぁ、よろしくな。」
一日目は食料集めと剣との会話を楽しんだ。会話ではこれからどうするかなど話し合った。琴音や黒石暖はまだ帰ってきていない、多分二日目に帰ってくるだろう。そうして俺と剣は夕食を食べ就寝した。
二日目の朝。体内時計では午前8時といったところか。7時半ぐらいから戦っている音がする。まあいい目覚めだ、それと剣はまだ寝ている、起こしてあげよう。俺は剣を起こしに隣まで行った。
「おーい。剣、起きてくれ。今日は戦っている奴らの能力見に行くぞ。」
剣の肩をゆすった途端、半目でこちらを見てくる。半目で見つめた剣が寝ぼけているのか知らんが抱き着いてきた。
「あったかーい……」
すまんが俺は布団じゃないぞ、でもいい匂いだな。うわっ俺キモ過ぎ。頭の中でいろんな感情がぞわぞわと湧いてくる。すると剣は目をぱっちりと開け二度見ならぬ五度見した。ようやく気付いたのだろう。俺に抱き着いていることを。
「キャー!なんで私、拳に抱き着いてるの!?まさか?拳!」
「いや、違うぞ?お前が寝ぼけてたのか知らんが俺に抱き着いてきたんだぞ。」
「え!?嘘つきでしょ。だって私が寝ぼけて拳に抱き着くなんて……ありえない!」
「それが本当なんだ!」
「まぁ、今回は見なかったことにするわ。」
「はい……。」
っていうかこの一日でキャラ変わりすぎだろ……と思った。剣の顔を見ると顔が真っ赤、こういう恥ずかしいところもあるんだなぁ、俺は朝飯を食べる準備をした。っていっても学園から支給された【温めるだけで簡単!これで君も超高級ディナーを楽しめる!ブレット&コーヒー】というものを食べる。実に胡散臭いと思うがそれが意外とうまいのだ。
まず食べる方法として、
ステップ1――周りの葉や小枝を探し出し火おこしをする。
ステップ2――火を起こしたところに支給されたものを置く。
ステップ3――あとは10分待てばオーケー!
では、いただきます!
「ちょっとまって!」
急に剣が止めてきたのだ、ひょっとしたら剣も食べたかったのかもしれない。しょうがない2つあるし1つあげるか……と思った瞬間隠れていたところから佐々木音琴音が勢いよく出てきた。黒石暖は来ていないようだった。
「拳!大変!たくさんの人の能力を見ていたら敵のチームにバレちゃって……全力で逃げてたんだけど黒石暖だけ捕まっちゃってどうすればいい?」
琴音は焦っているように見えた、多分相当気持ちが落ち着かないのだろう。まず俺は黒石暖がどこで捕まったのか、どこにいるのかなど聞いたところ森を奥進んだところに大きく広がった洞窟があるそこに敵のアジトらしきものがあると聞いた。早速行こうとしたが剣に止められた。
「拳、行かないほうがいい。」
「なぜ?行かないと黒石暖が危ない。」
「拳、落ち着いて考えろ。これはあくまでも学校の試験だ、流石に殺しは考えないだろう。ここは一度考えて見捨てたほうがいいと考える、実際三人だけでのクリアも行けるはず、最後まで生き残ればいいのだから。」
もちろんそれもそうだ、だが欠点がある。
「剣、お前の考えはよくわかった。でもチームの一人を見捨てたから減点というのもあるかもしれない、しかも短い時間だったがあの性格じゃファクタジアで攻撃されたとしても黒石暖は降参と絶対に言わない。だから助けに行こう……剣。」
剣は大きくため息をつき了承した。そうして二日目は黒石暖を助けるために動き出す。
もっと活動に力を入れます!




