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【完結】絶対に私は勇者パーティーに入りません!!~勇者パーティーに入ればバッドエンド確定の不遇なサブキャラに転生したOLの生き残りを賭けた戦いが、今ここに始まる  作者: 楊楊
第六章 勇者と魔王

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99 リルリランドの危機 4

「皆様!!騙されてはなりませんぞ!!すべては魔王ミザリーの策略なのです!!」


ゲマルが言う。

問答無用でこの馬鹿を討ち取ってもいいんだけど、少し話を聞いてやるか。


私はゲマルに質問をする。


「ところで証拠といってもすべて状況証拠で、目撃証言もすべて貴方ですよね?これって貴方が犯人だって言っているようなものではないのかしら?」


「なにを!!そうだ!!ここに人間がいることがその証拠だ。魔族領に人間がいること自体がおかしいんだ」


「だから証拠を出しなさいと言ってるんですけど」


多分、証拠なんて用意してないんだろう。こちらはいくらでも証拠があるんだけどね。


そんなときミザリーが堪りかねて出て来た。


「ゲマル!!見苦しい真似は止めなさい!!魔王である私がリルリランドは無関係だと言っているのですよ」


「何が魔王だ!!卑怯なことをしてピエール様から魔王の座を簒奪したくせに!!おい、みんな騙されるな。このミザリーがすべて裏で糸を引いているんだ。

ああ、嘆かわしい。ここにピエール様がいてくれれば・・・・うっうっう・・・・」


ゲマルは噓泣きを始めた。

周囲を見ると巨人部隊も拘束された鳥人族も微妙な表情をしている。心情的には嘘だと思うけど、嘘と断定するのもどうかといった感じだろう。それに彼らは騙されてここに来ているしね。


そんなとき、城壁から声が聞こえ、颯爽とピエールが姿を現した。どうにか間に合ったようだ。ライラに聞くと上級職の「錬金術師」に転職できたみたいだ。


「我が居ればすべて解決するのか?どう解決するか、教えてもらいたいものだ」


「ぴ、ピエール様・・・なんでここに・・・エジル様の呪いは完璧なはずなのに・・・」


「その口ぶりだとエジルが呪いを掛けたと言っているようなものだな。ただ、正確には呪いではなかったがな」


「し、しまった・・・・かくなる上は・・・」


ゲマルはその場から逃げようとして走り出した。


そんなことはさせないけどね。


私は「ミスリルの鞭」に電撃魔法を纏わせてゲマルの足に引っ掛けて転ばせた。ゲマルは痺れて動けなくなっていた。


「聞くけど、アンタが全部やったんだよね?正直に言いなさい」


「何も知らん。それに・・・」


もうキレた。


私は特別に開発した拷問用の鞭を取り出した。「トゲトゲの鞭」を改良したもので、トゲの先端からライラ特製の傷口に激しく沁みるポーションが噴出するように加工しているのだ。殺傷力は低いが、かなり苦痛を与えることができる。

その鞭でゲマルを滅多打ちにした。周囲にゲマルの悲鳴が響き渡る。


「どう?正直に言いいたくなった?まだ第一段階だからもっと強度を上げられるけどね」


「ヒッ!!正直に言います。許してください」


もう白状するの?少しはギーガを見習いなさいよ。


「じゃあ、卵と棍棒はどこにやったの?」


「あの馬車に入れています。事が終わったら、リルリランドのどこかにこっそり置こうと思っていまして・・・」


馬車を確認すると卵と棍棒が2本置いてあった。鳥人達は大喜びだが、ギガンテス族とトロル族は微妙な感じだ。


「ギーガにもらった棍棒のほうが数段上だな」

「今になって思えば、なんでこんな棒切れを有難がっていたのか・・・」


この棍棒より数段いいものが、適正価格で買えるからね。


尋問は続く。


「偽装用の死体はどこで調達したの?」


「そ、それはエジル様が用意してくれたもので、詳しくは知りませんが、何か人体実験に使った後の死体らしいです」


人体実験ですって!!

なんて惨いことを・・・


尋問を続けるとある程度の事実が判明した。エジルはどうしても人間と魔族と戦争をさせたかったらしい。理由なんてなんでもよかったようで、手っ取り早いのはリルリランドを襲撃して、その怒りを人間に向けようとしたらしい。


「エジルは何が目的なの?」


「強力な悪魔を召喚するためには多くの魂が必要なようで・・・・それで戦争を起こせば手っ取り早く・・・」


バコーン!!


腹が立って、自分が抑えられず、殴りつけてしまった。

周囲は若干引いているが、あまりにも酷い動機なので、私と同様に怒っている者が大勢いる。

悪魔召喚をするために犠牲となった者が大勢いるし、実験的に呼ばれた悪魔側の被害者がベビタンだ。これをバーバラに言ったら、マジギレするだろう。


そうだ。多分ライラが引退に追い込まれたのもコイツの仕業かもしれない。


「ところで、話は少し変わるんだけど。数年前、レートランド王国であった・・・・」


やっぱりコイツだった。私はライラを呼んで事情を説明した。


「ライラ、コイツのせいでこうなったんだから、好きにやってもいいよ」


するとライラはポーションを取り出し、ゲマルにぶっ掛けた。ゲマルは悲鳴を上げる。特製の傷に激しく沁みるポーションだろう。


「クリス、ありがとう。私はもうこれで気が済んだわ。足のほうも8割方治っているし、魔法薬を飲めば前以上に走れるわ。それにこんな足になったことで、色んな人に巡り会えて・・・・だから、これも運命じゃないかって思ってるのよ。後はピエールだけど・・・」


「今回は我の不徳の致すところだ。個人的な恨みはない。拘束し、然るべき罰を与えよう。その前に詳しく取り調べる。魔王領にも未解決事件はたくさんあるからな」


ゲマルは拘束され、連行された。



★★★


問題が解決したこととピエールの回復を祝って、リルリランドで宴が開かれた。

みんな楽しそうで、勝手に攻めて来たことを忘れ、いい棍棒が手に入ったということでギガンテス族とトロル族は大はしゃぎだ。

ギーガはというと頑張って営業活動をしていた。


「これは「モーニングスター」といってドーラさんが使っている「殲滅の鉄球」の小型バージョンだ。トゲトゲの鉄球の大きさはオーダーメイドで変えられるので、小さな鉄球にすれば女性でも使いやすいよ」


「それなら妹達に買って帰ってやろう。気に入れば追加で注文してやるぞ」


上手くやっているようだった。

しばらくして、鳥人族の女王が血相を変えてやって来た。すぐにミザリーの前に立ち土下座をする。


「魔王様、申し訳ありませんでした。若い者が勝手に暴走してしまい・・・」


言いかけたところで、ミザリーが遮る。


「過ぎたことはもういいです。それよりも早く卵のところに行ってあげなさい。心配でしょうからね」


「ありがとうございます、魔王様。この御恩は必ずやお返しいたします」



それからも宴は続いて、酔いつぶれて倒れている者も多く出てきた。そんなとき、ミザリーとピエールが話をしていた。


「お兄様が回復されましたので、魔王の座をお兄様にお返しします。そのほうが・・・・」


「いや、お前に魔王を続けてほしい。俺はやることができたんだ。こちらのライラとともに錬金術を極めようと思う。錬金術は奥が深い。それに私がここまで回復したのもライラのお陰だ。その恩を返したい」


「ピエール・・・」


あれ?

ライラとピエールっていい感じなのか?


まあ、あんなに付きっ切りで看病されたら惚れるよね。


そんなこんなで夜も更けていく。危険は去ったことだし、そろそろミザリーや魔王軍との関係をどうするか、真剣に考えないといけないな・・・・

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