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【完結】絶対に私は勇者パーティーに入りません!!~勇者パーティーに入ればバッドエンド確定の不遇なサブキャラに転生したOLの生き残りを賭けた戦いが、今ここに始まる  作者: 楊楊
第六章 勇者と魔王

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95  魔王の呪い

ディートリンテに最初に頼んだのは先代魔王ピエールの診察だ。一流の治療術士のクリストフ、一流の錬金術師のライラ、200年以上生きてきた伝説の魔女バーバラが診察しても治療の糸口は見付からなかった。できることは何でもしたかったので、ディートリンテにお願いしたのだ。


「初仕事が先代魔王の診察だなんて、いきなりびっくりだよ。仕事は受けるけど、今の魔王と少し話をさせてもらえるかな?観察者の任務で魔王がどんな奴か調べないといけないし、危ない奴だったら対処しないといけないからね」


「分かりました。すぐに手配します」


私はスタッフにミザリーを呼んで来させた。ディートリンテはやって来たミザリーに対して面接のような質問を繰り返した後にこう言った。


「合格だね。それにハイエルフの血を引いているダークエルフだから親近感が湧くしね。魔王領も進んだと思うね。昔なら「混ざり者のダークエルフが!!」とかいう奴も多くいたんだけどな」


「それは実力で黙らせました。兄も私もハーフや弱小種族が安心して暮らせる魔王領にしたいと思っていますから」


「頑張っているミザリーには応援の意味を込めてクリスタルを二つあげよう。好きなのを選んでいいからね」


そんなにポンポンあげてもいいものなのだろうか?

ゲームでは伝説のアイテムだったのに・・・・


ミザリーとの話が終わったところで、私達はピエールの病室に向かった。病室ではライラが献身的にピエールの看病をしていた。


「じゃあ、早速診察を始めようか」


しばらく、ディートリンテはピエールを触ったり、何やらスキルのようなものを使ったりしていた。


「これは呪いじゃないね。バーバラの話だと呪いや毒の類は解呪したようだけど・・・・それはダミーだね。本命はこっちだからね。いわゆるジョブってやつかな?」


ジョブ?

そんな呪いのようなジョブってあるわけ・・・・あった!!

ゲームのクリスがなったやつだ。たしか「愚か者(フール)」という謎のジョブでテータスが半分になり、魔法やスキルが使えなくなってしまう。


ということは転職で何とかなるのか?


「ディート、ありがとう。すぐにデブラス副神殿長を呼んでください」


ミザリーが言う。


「どういうことでしょうか?」


私は状況を説明した。そのうちデブラス副神殿長がやって来た。

そして、ジョブの鑑定を行っていた。


「これは第三の水晶玉を使ったマイナスジョブですね。それもかなりステータスがおかしくなる「呪い人」です。すべてのステータスが100分の1になってしまい、スキルも魔法も使えなくなるのです。すぐになんとかしてあげたいのですが・・・・・」


デブラス副神殿長が言うには、転職のレベルが足りていないそうだ。マイナスジョブは特殊な設定で、マイナスジョブ同士ならレベル5から転職可能で、一般職に転職するならレべル10から可能らしい。


「アドバイスできるとすれば、「呪い人」からレベルを5まで上げて、もう少しマシなマイナスジョブに転職し、そこから一般職に転職させるという方法がいいと思います。しかし、この状態でレベルを上げるのは・・・・」


するとライラが言う。


「短時間ですが、戦闘に耐えられるような強化薬を飲んでもらえれば可能です。それに移動は小型ホバークラフトで行いますし、時間は掛かりますけど何とかなると思います」


それはそうだ。たとえば「愚か者(フール)」に転職したとしたら、ステータスが半分になったとしても先代魔王のステータスの半分だから何とかなるだろう。問題は今の状態でレベル5に上げることだ。まあ、ライラができるというのならそうなんだろう。


ピエールが言う。


「本当にありがとう。希望が見えただけでも幸運だ。それにライラ殿には感謝してもしきれない」


「何を言ってるんですか!!お礼はちゃんと治ってからでお願いします。それにこの状態でのレベル上げは地獄よりもしんどいでしょうけど」


「先代魔王の意地で何としても耐えて見せるさ!!」




10日後、何とかピエールのレベルが上がった。現在はレベル2だ。レベルが1上がっただけだが、大きな一歩だ。ということで、ピエールの病室でささやかな宴をすることになった。もうすでにギーガは出来上がっている。見かけによらず涙もろい。


「う、う、う・・・ピエール様・・・よかった!!このギーガ、一生付いていきます」


「おい、ギーガ。気持ちは嬉しいが、今の魔王はミザリーだから、四天王としてミザリーに付いていかないとな」


「そ、そうですね。でも本当によかった・・・」


私はライラに尋ねる。


「レベル上げはどう?」


「そうね。ペースが掴めたし、薬の調合も上手くいっているから、これからはペースが上がると思うわ。最初なんて、スライム1匹倒したら1日寝込んじゃったんだから・・・」


「まあでも無理しないでね」


この宴の主役はピエールともう一人、ハイエルフのディートリンテだ。今もミザリーやセバス、ギーガに囲まれて称賛されている。


「ちょっと鑑定しただけでこんなに感謝されるとは思わなかったね。スライム1匹倒しただけで大喜びしたのは初めてだよ。それにレベルが1から2に上がっただけでお祝いしてるのも不思議だ。それも先代魔王だなんて・・・・本当に驚きの連続だ」


ちょっと困惑しているようだった。

私はディートリンテに声を掛ける。


「どう?楽しい?ピエールのことは本当に感謝しているわ。多分、ライラがいるから付きっ切りで見てもらわなくてもいいと思うから、次の仕事を頼もうと思うんだけど・・・」


「もちろん受けるよ」



★★★


ディートリンテを連れて来たのは、竜車やホバークラフトを開発したトルデクさんとトルデコさんの兄妹の工房だ。簡単にディートリンテに二人の紹介と事業内容を説明する。


「ここでホバークラフトを作ればいいんだね?」


「ちょっと違うのよ。実は今開発中の乗物のアドバイザーになってほしいのよ。詳しくはこれからトルデコさんが説明してくれるからね」


今回、ディートリンテに開発のアドバイザーになってもらうのは以前から開発を続けていた魔道リニアモーターカーだ。車両を浮かび上がらせ、魔力を通したレールの上を走らせるのだが、なかなか開発が進んでいない。魔力消費が大き過ぎるのとコストが掛かり過ぎるからだ。一応おもちゃサイズの模型はできているのだが、それでもかなり予算が掛かっている。

お祭りのときに入場料を取って、お披露目をしているが、全く回収できる見込みはない。なので、魔石の扱いに詳しいディートリンテにアドバイスを求めることにしたのだ。


「なるほど、そういうことか・・・・僕でもすぐに解決策を思い付かないな。でもなんだか楽しそうだから、しばらくやってみるよ」


「よろしくね。それと、別で仕事を頼むこともあると思うから、そのつもりでお願いね」


「OKだね」


これで、開発が頓挫していたリニアモーターカープロジェクトが動き出せばいいのだが・・・

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