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【完結】絶対に私は勇者パーティーに入りません!!~勇者パーティーに入ればバッドエンド確定の不遇なサブキャラに転生したOLの生き残りを賭けた戦いが、今ここに始まる  作者: 楊楊
第六章 勇者と魔王

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94 観察者

~ハイエルフの観察者ディートリンテ視点~


100年ぶりの再会を果たした僕とバーバラだが、積もる話もあるので、バーバラから食事に誘われた。もちろん二つ返事でOKした。バーバラに案内されたのは「ヤマダ食堂」いうお店だった。変わった名前の店だったけど、味は確かだった。バーバラは自慢気に言う。


「どうじゃ、この魔女っ子ランチは?わらわが全面的にプロデュースしておるからのう。それにこのおまけのおもちゃも凄いじゃろう?今日は新作の吹き上げパイプじゃ」


バーバラはタバコのパイプのような物に息を吹き込み、パイプの先にあるボールを空中に浮かべていた。僕も試しにやってみたが、意外に難しかった。強く吹きすぎるとボールが飛んでいってしまう。


「確かに美味しいし、おもちゃも面白いけど、量が少ないね。それが少し不満かな」


「ハイエルフは見かけによらず大食いじゃったのう。よし、久しぶりの再会じゃし、追加で頼んでやろう。

おい!!そこの者、カツカレーとあっさりラーメンの大盛を持って参れ!!」


しばらくして、カツカレーとラーメンがやって来た。これは衝撃的な美味しさだった。一心不乱に掻き込む。そうしていたところ、私をじっと見つめる視線に気づいた。悪魔の少年が私を羨ましそうに見ていた。


「ベビタンも大食いだったのう。お前の分も頼んでやろう」


「バーバラ様、そんな・・・使い魔の身分で・・・」


「気にするなベビタン、お前はわらわの大切な秘書だからな」


そうだ、思い出した。この悪魔のことを聞かなければいけなかったんだ。いくら旧知の仲のバーバラでも悪魔召喚は見過ごせないからね。料理の美味しさで目的を忘れるところだった。僕はバーバラにベビタンと呼ばれている悪魔について尋ねた。


「こやつは可哀そうな悪魔でな、魔界に帰ろうにも帰れんのじゃ。それに偶然とはいえ、わらわの使い魔になってしまっておる。悪さはせん、良い悪魔じゃから大目に見てくれ」


詳しい状況も聞いたが、本当に可愛そうだ。魔王軍の四天王の一人に無理やり召喚され、ぞんざいな扱いをされていたところを保護されたみたいだった。


「一応、里には報告しておくけど大事にはならないと思う。ベビタン君も悪さはしないでよね」


「十分分かっています」


まあ、悪さをしたら討伐するんだけど、下級悪魔じゃ、大したこともできないだろうしね。

そんなことを思いながらも昔話に花が咲く。久しぶりに昔話ができる旧友と会ったのは本当に嬉しい。そんなとき、バーバラが尋ねてきた。


「ところでディートはこの後どうすんるんじゃ?」


「しばらくはここに滞在しようと思ってるよ。特に決めていないけど最低限、魔王領には行かないと駄目かな・・・観察者の義務として、現魔王がどういう人物か見極めないといけないしね。まともな奴ならいいんだけど、ヤバい奴なら対策を考えないとね」


ここで僕は、バーバラから驚きの言葉を聞くことになる。


「魔王か・・・ここだけの話、その魔王とやらは対岸のムリエリアに住んでおるぞ」


「えっ、えええー!!」



★★★


ということで、対岸のムリエリアにやって来ました!!


普段はトンネルを通って行き来するみたいだけど、今日は丁度イベントの日でバーバラが凍らせた海をホバークラフトという不思議な乗物で横断することになった。


「凄い乗物だね。原理は単純だけどよく思い付いたね。魔力が強ければより速いスピードが出せるし」


「気に入ったのなら一つやろう。お主は「空間収納」のスキル持ちじゃから持っておっても邪魔にはならんじゃろうしな」


「本当に!!バーバラは太っ腹だね」


こんないい乗物をくれるなんて、本当に運がいい。と思っていたけど、バーバラから説明を聞いたら理解ができた。頻繁に魔石を交換しないといけないみたいだった。つまり、魔石を定期購入させて利益を得ようという魂胆だった。


「タダより高いものはないということじゃ。本体なんてその辺の馬車と変わらんからな」


「まあでも、ありがとう。旅の思い出になるし、里に戻れば魔石は結構あるからね」


「なんと!!それではわらわが儲からんではないか!!」


そんな会話していたら、すぐにムリエリアに着いた。

まず案内されたのは領主館だった。そこで領主であるロトリア王国のムリエル王女と面会をすることになった。そこで、バーバラがハイエルフの観察者としての任務を説明し、ムリエル王女からムリエリアの成り立ちを教えてもらった。

なるほど・・・一人の女商人がこの町の礎を築いたのか・・・・


「そのクリスなる人物にお会いしたいのですけど、可能でしょうか?」


「もちろんです。クリスお姉様も喜ばれると思いますよ」



★★★


会長室に入って来たのはムリエル王女、バーバラ、エルフの女性だった。

バーバラが言う。


「こちらはハイエルフのディートリンテじゃ。わらわの旧友じゃ。今回はハイエルフの観察者としての任務でこちらに来たのじゃが・・・・」


バーバラからハイエルフの観察者としての任務などの説明を受けた。とりあえず、挨拶をして、用件を聞く。


「ディートリンテ様、ヤマダ商会会長のクリスでございます。今日はどういったご用件でしょうか?」


「ちょっと頼みがあってね。僕を雇ってほしいんだ。昔のバーバラは陰気臭い嫌な奴だったんだけど、久しぶりに会ったら凄く楽しそうで、色んな人に囲まれて羨ましい。それはヤマダ商会で仕事をしてるからだって思ってるんだ。だから僕もヤマダ商会で働きたいなと思ってね。

もちろんタダでとは言わないよ。これをあげるからさ」


ディートリンテが手渡してきた物を見て唖然とする。


「この四つは火、水、風、土のクリスタルだよ。観察者の任務の一つに功績を上げて頑張っている人にご褒美をあげるというのがあるんだ。この町は他種族とも共存しているし、新しい技術も生み出した。それに料理も美味しいからね。普通はあげても1個か2個なんだけど、満点の出来だから4つ全部をあげるよ」


「ディートリンテ様、ちょっとお待ちを・・・そんな高価な物を受け取れません」


「いいよ気にしなくて。それなりに高価な物だけど、3年もあれば作れるからね。それにホバークラフトだっけ?このクリスタルを応用すればもっと凄い物が作れるかもよ?」


そう言われたら呑まざるを得ない。


「分かりました、ディートリンテ様。採用させていただきます。それで早速ですが、依頼したいことがございまして・・・・」


「いいよ。受けるよ。それに様はいらないよ。ディートでいいからね」


どういう訳かこれでクリスタルが全部そろってしまった。

それに超優秀なハイエルフの従業員までついてきた。

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