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【完結】絶対に私は勇者パーティーに入りません!!~勇者パーティーに入ればバッドエンド確定の不遇なサブキャラに転生したOLの生き残りを賭けた戦いが、今ここに始まる  作者: 楊楊
第六章 勇者と魔王

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90 先代魔王奪還作戦 1

セバスが帰還し、報告を受ける。

深刻な状況だ。ミザリーが言う。


「つまりお兄様に会うことができなかったということですか?」


「はい、体調が優れず、治療術士以外はいくら四天王といえども面会謝絶と言われました。こちらも食い下がったのですが・・・・」


「分かりました。セバス、ご苦労でした」


明かにエジルが何かを企んでいるんだろう。


「早めにピエール様を奪還したほうがいいかもしれませんね。戦力的には十分ですが、政治的に少しハードルが高い気がしますね」


「どういことでしょうか?」


「ヤマダ商会としてだけでなく、関係国、せめてロトリア王国、サンクランド魔法国、ランカシア帝国、獣人国ビースタリアぐらいの承認が必要だと思いますね。勇者パーティーを魔王を討伐する目的で編成している手前、先代魔王を保護するなんて寝耳に水でしょうから」


「それはそうですね・・・」


「ここにいるアイリスはサンクランド魔法国の王女ですから、一人の承認は得られていますので、後はサマリス王子とムリエル王女、ライアット皇子、キアラ王女の承認が必要です。この方達を説得するのは・・・アイリス、お願いできる?」


「はい、頑張ります」



★★★


名目上は旧転職神殿復興プロジェクトの臨時会議ということにして関係者を集めた。アイリスが参加者に向かって言う。


「急遽集まっていただきましてありがとうございました。早速本題に入ります。ミザリーさんお入りください。こちらのミザリーさんは、信じられないかもしれませんが、第34代の魔王様でいらっしゃいます」


「「「「はい?」」」」


一同唖然としている。まあ、私も初めて知ったときは、そうだったんだけど・・・・


少し落ち着いたところでミザリーが説明を始める。兄である先代魔王ピエールも自分も人間を滅ぼす意思はなく、友好関係を築きたいことを中心に伝えていた。そして、幽閉されているであろうピエールの救出をヤマダ商会に依頼したい旨を伝えた。

サマリス王子が言う。


「これは流石に自分達だけでは判断できないな・・・かといって、これがそれぞれの母国に伝わったとしても判断ができないだろうけど。何かいい方法はないだろうか?上手く和平協定が成立させられれば、ダグラス兄様に危険な活動をさせなくて済むし・・・・」


ここでアイリスが言う。


「私から提案があります。勇者パーティーが編成されたのは、魔王領から具体的に敵対行為があったわけではなく、神のお告げがあったからですよね。具体的に大規模な魔王軍の進軍などの行為があった場合は連合軍を編成すると思いますからね。

神のお告げで始まった勇者パーティーですから、魔王軍との講和もお告げを利用するんです。言っている意味は分かりますよね?」


ここでライアットが言う。ライアットには事前に根回しをしている。


「ウチの神殿からそれっぽいお告げを出せばいいんですよね?こんなのはどうですか?

『救いを求めて来た敵を愛せ。さすれば本当の悪が姿を現さん』

これなら、曖昧ですが意味は分かります。たとえ悪い結果になったとしても、何とでも言い訳ができますからね」


サマリス王子が答える。


「そうだね。これなら誰も責任を取らなくていいね」


ムリエル王女も続く。


「そのお告げについては、各国にこういうことがあったとだけ先に伝えて、水面下で先代魔王の奪還作戦をすればいいのではないでしょうか?」


最後にキアラ王女が言った。


「この地に来て、少々のことでは驚かなくなりましたが、流石にこれは・・・・この地は何でもありですね。反対する理由はありません」


これで、先代魔王の奪還作戦は承認されることとなった。



★★★


作戦と作戦に参加する人員を選出することになった。

作戦としては、リルとリラを四天王候補として正式に認め、先代魔王のピエールに謁見するということで、リルとリラ、その配下役として私とアイリス、バーバラ、ライラ「謎の盗賊団」が随行するという形にした。これならば、怪しまれたとしても断れないだろう。

全員がレベル30オーバーで上級職なので、ゲームでも魔王が討伐できるくらいの戦力はある。

簡単に言うとこんな感じだ。


「忍者」  私とリルとリラの3人

「大盗賊」 サマリス王子、クリストフ、ミレーユ

※ 斥候職が6人もいるのでその辺の特殊部隊よりも諜報能力は高い。

「剣姫」 アイリス

※ ケルビンの勧めもあり、剣士職に戻った。


将軍ジェネラル」 ドーラ

「錬金術師」 ライラ

「アイドルスター」 バーバラ

※ ライラとバーバラをメンバーに加えたのはその場でピエールの診察をしてもらうためだ。


これに現役の四天王のセバスとギーガが同行する。四天王の二人がリルとリラを認めているとあれば、エジルも断ることはできないだろうし、このメンバーに勝てるはずもない。


私達は、工作員用の転移スポットを利用して魔王城に乗り込んだ。都合4回転移したが、これは安全上の措置らしい。

魔王城に入ろうとしたとき、リルとリラがまた、狼狽え始めた。


「ど、どうしよう・・・魔王城だ」

「失礼があったら魔王様に・・・」


バーバラが一括する。


「何を今更狼狽えておるのじゃ!!シャキッとせい!!それにもう散々、現魔王のミザリー殿に無礼を働いているだろうが。始末されるなら、もうされておるぞ」


「そ、そうだな・・・大丈夫だ・・・きっと」

「ミザリー様・・・どうもすいませんでした。殺さないでください」


「リル、リラ!!過去のことは水に流しますから、キチンと打ち合わせどおりにやってください」


「「はい」」


魔王城に入ると衛兵の体の大きな魔族達が一斉に敬礼してきた。


「「「魔王様、お帰りなさいませ!!」」」


「ご苦労様です。新しく四天王候補を連れてきました。こちらのリルとリラが新しい四天王候補です。謁見をさせますので、お兄様のところまで案内しなさい」


ミザリーがリルとリラを紹介した。


「うむ、苦しゅうないぞ!!」

「そうだ、私達は「忍者」で幹部工作員だが、そこは気にしなくていい」


リルとリラは立ち直りが早いというか、何というか・・・もうすでに四天王になったつもりで、偉そうにしている。あくまでも四天王()()なんだけどね。


衛兵の案内でピエールの病室に案内された。

部屋の扉の前に小柄な魔族の少年が座っていた。見た感じ、悲しそうだ。

この魔族には見覚えがある。エジルの配下で、ベビーサタンという下級悪魔だ。ゲームではエジルのストレスのはけ口や雑用をさせられていた残念な悪魔という印象だ。


ミザリーがベビーサタンに言う。


「これからお兄様に会わなければなりません。そこをどきなさい」


「そ、それが・・・エジル様より、絶対に誰もこの扉を通すなと言われておりまして・・・もし、通してしまったら呪いにより、私諸共、爆発してしまうのです。矮小な私をどうかお助けを・・・・エジル様が帰ってくるまでどうかお待ちください」


ベビーサタンは泣きながら土下座する。

流石のセバスもこれには何もできず、引き下がったようだった。意外にもセバスは優しいところがあるのだ。


しばらくしてバーバラがベビーサタンに近付いた。何やら鑑定をしているようだった。


「ほう・・・こやつがここを離れたり、扉を壊されたらこやつは爆発する呪いが掛けられておる。解除するのはちと骨が折れるのう・・・まあ、扉以外なら壊しても問題ないようじゃ」


ミザリーが言う。


「ありがとうございました、バーバラさん。ギーガ、やってしまいなさい」


「了解です!!」


ギーガは強大な棍棒を取り出して、思いっきり扉の横の壁を棍棒で打ち付け、壁は粉々に砕けた。


「ミレーユ、流石にこのままではこやつが可哀そうじゃから、呪いを解呪できるかどうか見てやってくれ」


「分かりました」


ベビーサタンの解呪を行うミレーユを残し、私達は部屋の中に入った。

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