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【完結】絶対に私は勇者パーティーに入りません!!~勇者パーティーに入ればバッドエンド確定の不遇なサブキャラに転生したOLの生き残りを賭けた戦いが、今ここに始まる  作者: 楊楊
第六章 勇者と魔王

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89 謎の盗賊団

~クリストフ視点~


今日は「謎の盗賊団」の懇親会のため、「居酒屋ヤマダ」にメンバーが集まることになっている。姫様と一緒に夕食をと思っていたのに・・・・・。まあ、姫様も同じ「居酒屋ヤマダ」で会食があるそうで、一緒に店に行くことになったのだが。


思えば、ムリエリアにやって来てヤマダ商会に就職してから、姫様と話す機会がめっきり減ってしまった。バーバラ殿と三人で旅をしていたときは、あんなに頼りにしてくれていたのに・・・。

だから何とか振り向いてもらおうと私も努力した。神官騎士の最高位である「パラディン」に転職し、レベルが30を超えた。しかし、全く振り向いてくれない。

まあ、所詮「パラディン」ごときでは、この場所では目を引く活躍はできない。周りは猛者ばかりだからだ。そんなとき、リル殿とリラ殿から「謎の盗賊団」への加入を勧められた。そんな怪しげな集団になぜ私が入らないといけないのか?

そう思っていたら、こう言ってきた。


「「謎の盗賊団」に入ればアイリスの重要情報を教えてあげるよ」

「そうだ、毎日最新情報が届くぞ」


この二人は馬鹿なのか、優秀なのか分からないところがある。そんなの9割方嘘だと思いながらも、もしかしたらと思ってしまった。最近では姫様と日中はほとんど会わないので、どうしても昼間のことが知りたかった。他の条件などを聞いたが、特に活動は今のところはないし、いつでも辞められるみたいだからと思い、結局盗賊団に入ってしまった。

そこから2~3日は姫様関連の情報を聞けたのだが、それ以後は、


「うるさい!!こっちは忙しいんだ!!」

「そうだ、「斥候」か「盗賊」にでも転職して自分で調べろ」


と言われた。やっぱりと思ったが、「斥候」か「盗賊」に転職して自分で調べるというのはいい案だと思った。私はここでは「パラディン」としての役割は期待されていないし、たとえ戦闘になったとしても、回復魔法と補助魔法さえ掛けていれば特に何も言われないので、転職を決意する。それにここでは、頑張れば2~3日でレベルをそこそこ上げられるので、休暇を利用すれば何とかなる。


まずは、「斥候」に転職し、レベルが20になったら「盗賊」に転職した。

特に情報ももらえないので、こんな組織抜けてやると思ったのだが、クリス会長から盗賊団に対して依頼がある。この依頼には姫様も同行することが多いので、抜けるに抜けられないのだ。それに休日は一日中姫様を監視している。「斥候」と「盗賊」のジョブを経験しているだけあって気付かれることはない。この能力を手に入れることができたのも、盗賊団に入ったからだと思っている。斥候職になって思うのだが、リル殿とリラ殿は普段の態度は別にして、諜報員としての能力は一級品だ。こちらからアドバイスを求めれば親切に教えてくれる。ちょっと「私達は「忍者」だから当然だ」と上から目線で言ってくるのは少し腹が立つことではあるが。


ある日の休日、姫様の監視をしていたところ、一人の女性が姫様を鬼の形相で睨みつけていた。それに魔力が漏れ出ている。まさか・・・姫様をつけ狙う暗殺者か?

しかし、よく見ると見知った人物だった。ミレーユだ。

ロトリア王国宮廷魔導士団の所属で、バーバラ殿に弟子入りして秘書のようなことをしている女だ。


それがなぜ姫様を?


私はしばらく、気付かれないようにミレーユを尾行することにした。当初は姫様をつけ狙っていたと思っていたが、彼女が尾行していたのはライアット皇子だった。それにライアット皇子に近付く女性に鬼の形相で睨みつけていた。


なるほどそう言うことか・・・


私は隙を見てミレーユに声を掛けた。


「ミレーユ殿、何をされているのですか?しばらく貴方を尾行させてもらいましたが、一体何の目的でしょうか?」


「そ、それは・・・・」


ミレーユは泣きながら語った。ライアット皇子への気持ちが溢れすぎて、自分でもどうしていいか分からなくなってしまったようだ。私も理解できなくはない。それに彼女のことが心配だ。しばらく話を聞いていたら今度は彼女から尋ねられた。


「ところでクリストフさんはどうしてここに?」


これは答えにくい質問だ。本当は姫様のことが気になって仕方がなかっただけなのだが、少しだけ嘘を付くことにした。


「任務です。姫様を影からサポートしてるんですよ。姫様に安心して生活を楽しんでもらうため、気付かれないように護衛していたのです。そのために「謎の盗賊団」に入り、更に斥候職に転職しました」


「それは凄いです!!私もライアット皇子を影から支えるために「謎の盗賊団」に入れてください」


これは困った。私に判断できないので、とりあえずリル殿とリラ殿に紹介することにした。


「私達を尊敬し、鉄の掟を守れるなら入れてやってもいい」

「そうだな、下っ端からスタートだが」


何か分からないが、すんなりとミレーユの入団が決まってしまった。そこからはミレーユに転職のアドバイスをしたり、一緒にレベル上げを手伝ったりした。それに二人でスキルの使い方をリル殿とリラ殿に習ったりもした。

彼女は純粋すぎるし、恋愛経験もないのだろう。少し、アドバイスをすることにした。


「ミレーユ殿、影ながら皇子の幸せを願うことが大事なのです。目立たず、評価されることもないでしょう。しかし、それでも見守り続けるのが貴方の使命なのでは?」


「そうですね。はい、そうします」


そこからは互いに情報を交換し合うことになった。私は、神官騎士でもあるので神殿長であるライアット皇子と接することも多く、逆にミレーユはバーバラ殿の秘書でもあるので、何かと姫様と絡む機会も多い。お互いが必要な情報を交換し合うのだ。


今も「謎の盗賊団」のメンバーが私達二人以外来ていなかったので、情報交換をしている。


「ミレーユ殿、活動状況はどうですか?」


「今のところ気付かれていません。こちらがアイリス王女の直近の情報になります。ご確認を・・・」


私はミレーユから紙を受け取り、私の情報もミレーユに渡した。


しばらくして、リル殿とリラ殿、新しく入団したギーガ殿がやって来た。


「ギーガ、これで会計はお前に引き継いだからな」

「頑張れよ。四天王に戻ったらこういう仕事もしないといけないからな」


「分かりました。数字とか計算とか苦手ですが、立派な四天王になるため頑張ります」


何やら仕事を押し付けているようだった。

続いてサマリス王子がやって来た。


「ドーラからだが、少し遅れるそうだ。会は始めてくれとのことだ。ここのお代は「謎の盗賊団」の活動資金から出すことになったから、好きに飲み食いしてくれ」


同じ団員だが、特に話すことはないので、私はミレーユと普段の姫様の様子を聞くことにした。



★★★


別室で控えていた私、アイリス、ドーラは仕込んであった魔道具で盗聴していた。


「クリストフはアイリスを影ながらサポートするために入団、ミレーユはクリストフの活動に感銘を受けて、ライアット皇子を影ながら支えるために入団したってことね。ギーガはリルとリラに会計の仕事を押し付けられた感じだね」


「そうだな。アタイがリルとリラに会計の仕事を頼んだんだけど、ギーガに押し付けるとは思わなかったよ。ギーガも乗り気だし、しばらくはこのままでいいかな」


「まあでも、良かったですね。変なことになっていなくて。陰ながら私を守ってくれていたクリストフには感謝です。でもミレーユさんはちょっと・・・・引いちゃいますね」


アイリスは気付いてないかもしれないが、クリストフも似たようなもんだ。二人ともストーカー気質だし・・。

まあ、言わぬが花だろう。


これで、一端は「謎の盗賊団」問題は解決ということにした。

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