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【完結】絶対に私は勇者パーティーに入りません!!~勇者パーティーに入ればバッドエンド確定の不遇なサブキャラに転生したOLの生き残りを賭けた戦いが、今ここに始まる  作者: 楊楊
第五章 旧転職神殿復興プロジェクト

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74 説明会

「こちらがカジノになります。普通のカジノに加えて、新しくスロットマシーンを開発しました。細かいルールを覚える必要はなく、レバーを引いて、絵柄が3つ揃えば・・・・」


私は各国の代表に説明会を開いている。ロトリア王国国王、ランカシア帝国皇帝、サンクランド魔法国国王、獣人国ビースタリア国王に加えて、周辺国の王族や代表者も集合していた。今はメインの収入源となるカジノを案内して説明をしているのだ。


「なかなか面白いものだな」

「そうだ、偶には、嵌めを外すのも悪くないな」


評判は上々のようだ。


旧転職神殿の復興プロジェクトは進みつつある。すでにカジノが3店舗、メインスタジアム、宿泊施設がオープンしている。今後は状況を見ながら、建設する施設を増やしていく予定だ。今はメインスタジアムでショーもレースも武術大会も開催しているのだが、ニーズによっては、それぞれの専門施設を建設する話も出ている。

なぜ、復興中なのに各国の要人を招いて説明会をしているかというと出資を募るためだ。

これは国際情勢を鑑みて、出資してくれれば自分達に儲けが出ている間は、戦争を起こさないだろうという考えからだ。

戦争が起これば、このプロジェクトに支障が出る。そうすれば儲けられなくなる。だったら止めようという論理だ。


「それでは皆様、メインスタジアムにご案内します!!」



★★★


要人達がVIPルームに到着すると、見計らったようにバーバラのショーが始まった。バーバラは、今日もノリノリでキレキレのダンスを披露している。今回から新たに結成されたバックダンサー達との息もピッタリだ。流石に毎回私達がバックダンサーをすることは無理だからね。


「凄いわねバーバラは。本当に楽しそうね」

「ああ、あんな方だとは思わなかったがな」


サンクランド王夫妻も楽しんでいるようだった。バーバラのショーの後は、騎竜レースと小型ホバークラフトレースが開催された。騎竜レースはランカシア帝国に所属する選手達が1位から3位までを独占し、小型ホバークラフトレースではサンクランド魔法国の所属の選手が1位から3位までを独占した。

ランカシア帝国の関係者もサンクランド魔法国の関係者も威信を示せたと満足しているようだった。


ここで、アナウンスが流れた。


「それではお待ちかねの武術大会を開催します!!今回は予め予選を勝ち抜いた4名がバトルロイヤル方式で優勝を目指します。出場者はモンダリア騎馬王国の近衛騎士・・・・・」


出場者を見て私は愕然とする。

一人目はモンダリア騎馬王国の近衛騎士トール。

これもNPCキャラだ。勇者が馬車を手に入れるイベントで一時的にパーティーに加入する。レベル15前後の時に発生するイベントなのだが、居てくれたら助かるキャラだ。


二人目はザーフトラ傭兵団のワグネル。

船を入手するイベントで勇者パーティーに一時加入する。そういえば、ダグラス達も船を入手したという話は聞かない。無事、船を入手してくれたらいいけど。

ワグネルの実力はトールとどっこいどっこいかな。


三人目はレートランド王国のゴーダッグ。

第二のチュートリアル男と呼ばれている。レベル10前後で勇者パーティーに喧嘩を吹っかけたことがきっかけで、一時的にパーティーに加入する。トールやワグネルより少し実力は劣るが、登場時期が勇者パーティーのレベルが10前後のときで、ちょっとしたテクニックをいくつか教えてくれるので、仲間にして損はない人物だ。



「そして最後はマリシア神聖国の元神官騎士で、今はムリエリアの訓練所の師範代。優勝候補筆頭の「達人レナード」だ!!」


まあ、普通に考えてレナードが優勝だろうな。

武術大会の運営を取り仕切っているキアラ王女が各国の代表者に説明を始める。


「ルールは簡単です。最後まで立っていた者が優勝です。皆さんは凄い光景を見るとことになりますよ」


しばらくして、決勝戦は開始された。


示し合わせていたかのように一斉にトール、ワグネル、ゴーダッグの三人がレナードに襲いかかる。


多分、1対1では絶対勝てないからそうしたのだろう。それにルール上は問題ない。最初に有力候補を潰すのも戦略の一つで、バトルロイヤル方式の面白いところでもある。

しかし、レナードは軽く三人の攻撃を躱している。


そして、三人が無理矢理押し切ろうとして、攻め続け、息が切れたところにレナードが襲い掛かる。特に珍しいスキルは使っていない。ただ、隙を見付けて、そこを確実に打ち込むだけだった。しかし、それが逆に洗練されていて美しい。


武を誇るランカシア帝国の皇帝も唸る。


「派手な技を使わないことが逆に戦士としての深みを感じる。あれは弛まぬ日々の訓練で身に付けた熟練の技だ。まさに「達人」と呼ぶにふさわしい」


獣人国ビースタリアの国王も続く。


「キアラから聞いておったが、ここまでとはな・・・・。身体能力に頼りきった我が軍の奴らにも見せてやりたいくらいだ」


レナードが絶賛されている。

ゲームではほとんど評価されなかったのに・・・・。

あっ!!でも従弟はレナードのことを好きだったな。「文句を言わずに喋らないところがいい。クリスとは大違いだ」とか言っていたなあ・・・


会場は大盛り上がりだ。

しかし、レナードは微妙な表情を浮かべている。


「それでは、これから宿泊施設にご案内します。そして、ゆっくりと温泉を堪能いただきまして、その後は食事会となっています」



★★★


~キアラ・ビースタリア視点~


「これはなんだ!!口の中でとろけたぞ!!」

「これがステーキだと・・・・是非何の肉か教えてほしいものだ」


各国の要人達が絶賛している。

クリス会長が説明する。


「申し訳ありません。こちらの目玉商品なのものでして、入手経路は秘密にさせていただきます」


「秘密と言われれば余計知りたくなるものだ。そう思わんか?キアラ」


お父様にいきなり話を振られた。


「お父様、知らないほうがいいこともありますよ」


「それはどういう意味だ?」


「その通りの意味です。下手すると国が亡びることになるかもしれません」


これは嘘ではない。本当に国が亡びるかもしれない。私もこのステーキ肉の入手に携わったのだが、あれは今でも信じられない。


★★★


話は少し遡るが、ムリエリアで定期的に開かれる女子会のときに私もこの肉を食べた。もちろん絶賛した。そして、調子に乗って言ってしまった。


「こんなステーキ肉を食べるのは初めてです。是非とも今度説明会で来るお父様にも食べていただきたいと思います。是非とも討伐に連れて行ってください。最近ではグレートボアも普通に討伐できるようになりましたので」


このとき私は勘違いをしていた。グレートボアやグレートコングを討伐できるようになって調子に乗っていたのだ。レナード先輩がいつも言っている「常に謙虚に」という教えを守れていなかった。

クリス会長は言う。


「そうですね。少し早いかもしれませんが、一緒に討伐に行きましょう。どうせならレナードさんも誘ってください」


私は嬉しかった。最近の討伐訓練は余裕が出てきたので、レナード先輩との会話を楽しむことがメインになってきていた。このことをレナード先輩に伝えたら、普段冷静なレナード先輩が狼狽え始めた。


「き、キアラさん・・・ま、まさか・・・何の肉か知らずに行くことを決めたのですか?ああ・・・・とりあえず、これからいい鎧を買いに行きましょう・・・」


「どうしたんですか?そんなに慌てて・・・」



討伐ポイントに着いて理解した。

なぜ、アースドラゴンが?それにサイクロプスだと・・・・


レナード先輩も流石のアイリス王女もドーラも余裕がなさそうだ。レナード先輩は言う。


「キアラさん、今日は君を守ってあげられないかもしれません。とにかく生き延びてください」


何度、死を覚悟したか分からない。自分は強くなったと勘違いしていた。ここに比べれば、私が必死で討伐していたグレートボアの生息地なんて、のどかな牧場でしかない。


そんな中、クリスさんは凄かった。流石に一撃とはいかなかったが、アースドラゴンを両手に持った鞭で滅多打ちにして討伐していた。

クリスさんが笑顔で言う。


「キアラ王女、このアースドラゴンの肉が絶品なんですよ。ただし、危険ですから絶対にここにアースドラゴンがいることは、誰にも言わないでくださいね」


言うわけないでしょう・・・・・

それに笑顔が怖すぎる。


★★★


私とお父様が話しているところにクリスさんがやって来た。


「実はこのステーキ肉はキアラ王女がどうしてもビースタリア王に食べてほしくて苦労して手に入れたものなんですよ。希少なだけに各国で戦争になってもいけませんからね」


「ハハハハ、戦争になってもおかしくない味だが、我らもそれで戦争を起こすほど馬鹿ではないぞ。それよりもキアラが我のためにわざわざ用意してくれたか・・・・親としては嬉しいかぎりだ。

まあ、これ以上は聞かん。これからもキアラを頼む」


「もちろんですよ」


私には、クリスさんの言葉が「秘密を知ったからには絶対に逃がさない」というニュアンスに聞こえた。

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!


今回で第五章は終了になります。第六章からは、勇者と魔王の物語が始まります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] クリスさん、キアラさんに滅茶苦茶恐れられていて面白いです。 絶対に裏の意味なんてないんでしょうけれど、深読みして怯えているのが可愛かったです。 そしてレナードさん、地味だけどそれだけに渋…
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