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【完結】絶対に私は勇者パーティーに入りません!!~勇者パーティーに入ればバッドエンド確定の不遇なサブキャラに転生したOLの生き残りを賭けた戦いが、今ここに始まる  作者: 楊楊
第五章 旧転職神殿復興プロジェクト

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65 そうだ!!温泉へ行こう

アイリスが言う。


「サンクランドから船に乗って、ポートシティに着いたとき、バーバラとクリストフが騒ぎ出したんです。ヤマダラーメンの新メニューを食べたくて無視したんですけど、その温泉地に魔物が巣くっていて大変、みたいなことを言ってました」


「うーん、ゲームでそんなイベントあったかなあ・・・・とりあえず行ってみる?」


「はい、だったらみんなで行きましょうよ。視察ってことにして経費で落とす方向で、それに各国からの援助金もありますし・・・・」


「そうね。とりあえずヤマダ商会で立て替えておくわ」



★★★


詳しい場所はバーバラとクリストフに聞いても分からなかった。なので、ポートシティに行って情報を集めることにした。なんかちょっと、RPGぽくてワクワクした。酒場で話を聞いたら分かった。旧転職神殿から少し北に行ったあたりで、山道を1日歩いたら到着するそうだ。

知る人ぞ知る秘湯で効能はいいのだが、やはり魔物が巣くっており、事実上閉鎖状態らしい。


情報を得られたので、一端バーバリアに戻り、旧転職神殿経由で温泉地に向かうことにした。


メンバーは、私、ライラ、アイリス、ムリエル王女、バーバラと「謎の盗賊団」のドーラ、リルとリラ、サマリス王子、クリストフだ。

女子会メンバーで行こうとしたのだが、魔物が出るということで、是非とも「謎の盗賊団」として討伐したいとリルとリラ、サマリス王子が言ってきたからだ。


温泉地は山間の寂れた村だった。


あっ!!

ここはゲームで出て来た村だ。名前もない村だったし、立ち寄っても特に何もない。村人に話を聞くと「ここに旅のお姫様御一行が来て、魔物をやっつけて村を復興させてくれた。あのような方々こそ、勇者ではないだろうか?」という話が聞ける。

プレイヤーにとっては「ここにアイリス達が来たんだ。ふーん」くらいの場所だった。


凄い武器や防具を売っているわけでもないし、温泉に入ったとて、体力が少し回復するくらいだし・・・・って、それってかなり凄いことじゃないか!!


私の様子を見てアイリスが声を掛けてくる。私が説明するとアイリスも興奮する。


「それって凄いじゃないですか!!ゲームでは関係ないでしょうけど、体力が回復して怪我が治るなら、かなり集客が見込めますよ」


「そうね。温泉だけで町おこしは厳しいかもしれないけど、それでも大きな資源の一つにはなるわ」



★★★


村人に聞いたところ、魔物のせいで温泉施設はガタガタで営業もできず、このままでは廃村になるかもしれない状態になっているという。


「アンタ達も早く逃げたほうがいい!!もうすぐ、恐ろしい猿の魔物が大量にやってくる。それにボス猿はかなり強力なんだ。冒険者に依頼しても、いつも返り討ちだ。もう希望も何もない」


村人の話だと、被害を少しでも防ぐため。餌となる食料を広場に置いて、いなくなるのをじっと待つそうだ。猿達はそこそこ知能が高いらしく、餌目当てに定期的にやってくるようだった。


ここでサマリス王子、リルとリラが討伐を申し出る。


「こんなときこそ、我々「謎の盗賊団」にお任せください」


「そうですよ。ボコボコにしてやります」

「正義のために謎を呼ぶ、それが「謎の盗賊団」です」


リラの言っている意味は全く分からなかったが、やる気があることだけは伝わってくる。


しばらくして、魔物達がやって来た。バイオレンスモンキーの集団で、親玉はグレートコングだった。

正直、拍子抜けした。だって、グレートコングは「恐怖の2マス」で群れで出て来るし、このメンバーは

レベル50推奨の「無慈悲の3マス」も経験しているのだ。


拍子抜けしていたのは私だけではなかった。全員が戸惑っていると村人が言う。


「だから言わんこっちゃない!!こんな恐ろしい魔物なんて、見たことないだろ?」


勘違いしているようだった。


私は周囲を見回すと露骨に落胆しているリルとリラに指示する。


「私達にとっては大したことのない魔物だけど、村人達にとったら、凄く強い魔物よ。だから、「謎の盗賊団」がカッコよく倒せばいいんじゃない?」


「分かりました!!じゃあ、雑魚をお願いします。ボスは私達が倒します」

「これでもカッコいい倒し方を考えてきたんですから」


ということで、他のメンバーは雑魚を倒すことにした。まあ、雑魚のバイオレンスモンキーはレベル15が推奨レベルなので、適当にやっても倒せる。ただ、数が多いので私も少し討伐していく。

リルとリラはというと、カッコよくポーズを決め、多分練習してきたであろう台詞じみた言葉をグレートコングに投げかける。


「村のみんなを苦しめた凶悪な猿め!!観念しろ」

「そうだ、我ら「謎の盗賊団」が来たからには・・・・」


グシャ!!


リルとリラが言いかけたところで、ドーラの「殲滅の鉄球」がグレートコングの頭にヒットし、グレートコングは潰された。

討伐には成功したのだが、周囲は微妙な空気になった。

ドーラが言う。


「ご、ごめん、悪かった。「殲滅の鉄球」は細かい取り回しが難しくて・・・」


どうやら誤爆だったようだ。


魔物が討伐され、村人達が大喜びしてくれたので、良しとしておこう。



★★★


村の人達の御厚意で自慢の露天風呂に入らせてもらった。露天風呂ではガールズトークで盛り上がる。


「どうライラ、この温泉の効能は?」


「これは凄いわよ。浸かっているだけでも効果があるけど、色んなレシピを思い付いたわ。早く帰って魔法薬を作りたいわ!!」


「もう、ライラさんも仕事人間ですね。少しはゆっくりしましょうよ」


「そうですよ。それにしても凄い効能ですね。擦り傷程度ならすぐに治ってしまいます」


偶然とはいえ、本当に良い温泉を発見した。


アイリスが言う。


「これで、旧転職神殿の復興問題も解決ですね!!」


「それはちょっと早計かな。大国であるランカシア帝国の皇子とサンクランド魔法国の王女が携わって、温泉施設を作っただけじゃ、ちょっとね・・・」


ムリエル王女も話に加わる。


「そうですよね。ロトリア王国の国内向けにアピールするだけならそれでいいとは思うんですけど。大国が揃ってやってそれだけか、とか言われたら国際問題ですからね」


ムリエル王女にはあれから丁寧に復興関係についてレクチャーしたので、ある程度事情が分かってくれている。本当に優秀だと思う。


「でも、当面は旧転職神殿からこの村までの街道を整備したり、宿泊施設を建設したりすれば、人は集まるし、冒険者にこの付近の魔物討伐なんかを依頼しておけば、冒険者も集まるんで、一時的には景気も良くなるだろうね」


「集まった人達をなるべく逃がさないように次の手を打たなければいけないんですね。うーん・・・それはそうと、ライアットは何で来なかったんですか?せっかくなんで私達と一緒に来ればよかったのに」


これにはムリエル王女が答える。


「私も誘ったんだけど、ライアットが言うには国際情勢を考えてのことらしいわ。ライアットまで参加したら、新しくやってくる獣人国ビースタリアの王女様が阻害感を感じても良くないって言ってたわ。人間至上主義に対抗して、獣人達の中には人間に敵意を剥き出しにしてくる人もいるみたいだし」


「そうか・・・私も公式の場では言動に注意しないとね」


アイリスも王女としての自覚が出てきたのだろう。そんなとき、バーバラが突然話始めた。


「ライアットで思い出したが、ムリエル王女。ミレーユが最近、様子がおかしいのじゃ!!今回の遠征もわらわの秘書なんじゃから一緒に来るように指示したのに『それよりもライアット皇子の元で皇子を支えることのほうが重要です』とか言い出して断りよったのだぞ。ちょっと指導せねばならんかのう・・・」


「そうだ!!そのことで話したいことがあったのよ。バーバリアの防衛戦のとき、ミレーユはライアットと一緒になるように夜間のシフトばっかり組んでいたし、私がちょっとライアットと話をしていたら急に間に入って来て文句を言ったりしてくるのよ。ちょっと女子会に呼んで詳しく聞いてみない?」


「それは面白いかも?ライアットは誰が好きなのかしらね?ムリエルだったらどうする?」


「うーん・・・ミレーユに恨まれることだけは確かね」


「そうじゃのう。アヤツは真面目で融通が効かんところがあるからのう。女版クリストフといった感じじゃろうな。姫様もあまり刺激してはなりませんぞ」


「ハーイ」


最後のほうは恋バナに近い内容だったけど。獣人国ビースタリアの王女って誰が来るんだろうか?


ゲームでも登場するアイツじゃなければいいんだけど。


まあ、そんなことは置いておいて、今日はゆっくりしよう。

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