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【完結】絶対に私は勇者パーティーに入りません!!~勇者パーティーに入ればバッドエンド確定の不遇なサブキャラに転生したOLの生き残りを賭けた戦いが、今ここに始まる  作者: 楊楊
第四章 転職神殿はじめました

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49 転職神殿をぶっ潰す 1

ムリエル王女に報告し、次の日にはムリエリアの主要メンバーを集めて対策会議をすることになった。


会議までの間、ヤマダ商会の会長として、商会内の意見を取りまとめたり、情報を精査しないといけない。ムリエル王女やサマリス王子もそれぞれの立場でやらなければならないこともあるので、全体会議は次の日になったのだ。多分、今頃ケルビンあたりが王都アリレシアに報告に向かっているのだろう。


「まず、転職神殿が今後使用できない場合の損失見積りはできてる?」


マルチナが答える。


「まず、スパイスや米の供給が滞ります。別ルートを確保できなければ、カレーなどの一部の商品は販売できなくなります。また、当商会の売りでもあります転職によるスタッフの育成も頓挫するものと思われます。こちらの方はすぐに損失が出る類のものではありません。しかし、将来的には計り知れない損失になるでしょう」


資料を見るとかなり厳しいが、新たな交易ルートの確保は可能だろう。すでに、流通のプロであるシャーロック商会は別ルートを確保しつつある。ただ、転職については絶望的だ。


「交易ルートはシャーロック商会と協力して確保するとして、一応確保できなかったことを考慮して対策を打ちましょう。問題は転職関係ね。リルとリラには「忍者」になってもらいたいし・・」


ここでアイリスが発言する。


「前の神殿長だったデブリスさんが言うには、なんかここでも転職させられるらしんですけど」


「何ですって!!それじゃあ話がまるっきり変わってくるじゃない。会議は中断するから各自、対策案を作成してください。アイリス、リルとリラを連れてデブラスさんのところに行くわよ」



★★★


「ああ、できますよ。ぶっちゃけて言いますと転職に必要なのは「転職神官」のジョブとこちらの魔道具「転職の水晶玉」だけなのです。それに「転職条件の書」があれば完璧ですね。こちらにいるクルエラも「転職神官」のジョブを持っていますので、そろそろ「転職神官」としての仕事をさせようと思っていたのです」


「じゃあ、やってもらっていいでしょうか?」


「それは構いませんけど・・・・」


「どうしたんですか?道具がないとかですか?」


「いえ、必要な道具はこっそり持ち出したので問題ありませんが、マリシア神聖国の許可なく転職業務を行えばかなり厳しい処罰が待っています。場合によっては終身刑もありえます。私は構わないのですが、こちらのクルエラにそんなリスクを背負わせたくありません。クルエラを保護していただけるなら、今までどおり転職はさせてもらいます」


多分、ムリエル王女に言えば保護はしてくれると思う。後は本当に転職させられるかどうかだ。


「試しに私を転職させてくれませんか?」


「いいですよ。じゃあこちらの水晶に手を置いてください。はい、できました。今日から貴方は「忍者」です」


あれ?もうできたの。それに私が「忍者」?


これにはリルとリラが怒る。


「会長酷いです。私達より先に「忍者」になるなんて!!」

「そうですよ。それにしてもなんで会長がなれるんですか?」


これにデブラスが答える。


「クリスさんは「レンジャー」をレベル20まで上げているので、転職条件を満たしているんですよ。普段は、もっと儀式めいたことをするんですけどね。だってこんなに簡単にできると思われたら、「金返せ」とか言われそうじゃないですか。

それに苦労してレベルを上げて、お金を貯めて転職神殿に来ている人がほとんどなので、そういった雰囲気づくりも必要かと思います」


「それは分かります。じゃあアイリス、リルとリラのための転職式を始めるよ。いつものメンバーを集めて来てくれる?私はムリエル王女とサマリス王子に声を掛けて来るから」



★★★


すぐにメンバーは集まった。

ムリエル王女、ライラ、アイリス、バーバラ、クリストフ、ミレーヌ、ライアット、マルチナ、ドーラ、アントニオさん、ポーシャさんが出席してくれることになった。

残念ながらサマリス王子とケルビンはすでに王都にいるため、不参加だ。


せっかく頑張ったんだから、ちゃんとみんなでお祝いをしてあげたいからね。


厳かな雰囲気の中、デブラスは言う。


「リルとリラよ。よくここまで頑張りました。「忍者」となっても奢らず、初心を忘れず、精進を続けなさい。できますね?」


「「はい」」


「それでは水晶に手を置いてください。それではいきます。「忍者」となる二人に幸多からんことを!!」



どうやら転職に成功したようだ。

周囲から歓声が上がり、リルとリラに祝福の言葉が掛けられる。そして、プレゼントが送られた。


「うわ!!クナイと手裏剣だ!!「忍者」だ、「忍者」ぽい」

「この黒装束と鎖帷子はマジで「忍者」だ。みんなありがとうございます」


喜んでもらえて本当によかった。

リルとリラがみんなから愛されていることがよく分かった。


「本当はこの後食事会とかしたいけど、いつ戦闘になってもおかしくないからレベル上げに行くよ。目標はとりあえず20ね」


「もちろんです」

「それこそ、「忍者」の務め」


流石に文句は言わなかった。成長したのだろう。

この後、仕事がないメンバー全員でレベル上げに向かった。夜通し頑張ったのでレベルは20まで到達した。リルとリラは新しい装備を確かめるように積極的に魔物を倒していた。



★★★


一夜明けて、午後から全体会議となった。


ここで予想外の人物が出席することになった。あの狸宰相だ。


また、悪だくみをしてにきたのか?


会議が始まると狸宰相は気にせず話始めた。


「私にいい考えがあります。まず、ムリエリアの対岸の町ですが、どちらの領地でしょうか?」


多分、勢いで作ったからどの国も領有権を主張していない。権利があるとすればロトリア王国か転職神殿を管轄するマリシア神聖国だろうか?

それとも同じ大陸にある港湾都市ポートシティのような自治都市になるのだろうか?


「今のところただの開拓村程度の扱いですが、ここで正式にどこの所属かを明らかにします。当然、我が国が領有権を主張すればマリシア神聖国ともめるでしょう。なのでここはサンクランド魔法国にお願いすることにしました。この町の発展はひとえに「氷結の魔女」たるバーバラ様のお陰でもあります。よってこの町を「バーバリア」と名付け、サンクランド魔法国の直轄領とします。サンクランド魔法国とバーバリアはかなり距離が離れているので、実質は自治都市と同じようなものと思います」


これは上手いやり方だ。名目上はサンクランド魔法国の領地なので、発展は見込めるとはいっても大国であるマリシア神聖国がサンクランド魔法国と全面戦争をしてまで、手に入れる価値はないだろう。


バーバラが言う。


わらわの名は貸してやる。ただ、それ以上のことはせんからそのつもりでな」


「バーバラ様ありがとうございます。続きましてデブラス神官とクルエラ神官見習いの扱いについてですが、こちらはランカシア帝国にお願いいたします。同じ神を信仰していますが、ランカシア帝国では、聖母教会ではなく、ランカシア聖教会に国民のほとんどが所属しております。聖母教会と教義などは同じなのですが、教会のトップが皇帝陛下なのです。

そこで、第三皇子でもあるライアット様に神殿長になっていただきます。正式にはランカシア聖教会バーバリア転職神殿となります」


ライアットが言う。


「僕にできることはするよ。でもいきなり神殿長なんてできるかな・・・・」


「それは大丈夫です。基本的な業務はデブラス神官が行い、式典などの際は、クリストフ殿が側にいて、逐次指示を出すので、乗り切れるでしょう」


「分かりました。頑張ります」


「私の案はこんなところです。皆さんからの意見を聞かせてください」


この狸宰相はこういうことにかけては天下一品だ。あっという間に三大国の三竦み状態を作り出した。

この案よりもいい案は今のところないだろう。


私としてはリルとリラを傷付けた転職神殿に仕返ししてやりたいのだが。

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