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【完結】絶対に私は勇者パーティーに入りません!!~勇者パーティーに入ればバッドエンド確定の不遇なサブキャラに転生したOLの生き残りを賭けた戦いが、今ここに始まる  作者: 楊楊
第二章 クリスさんの異世界細腕繁盛記

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28 人手不足解消 3

「3日分の食料を持ってきました!!」


「そこに積荷は置いておけ!!それから騎士団の奴らに言っておけ、早くこちらの要求を呑めとな」


「分かりました。荷車から降ろすので、少し時間が掛かります!!」


私達は商人を装い(本当に商人なのだが)、食料の搬送と見せかけて正門に接近した。積荷を下す振りをして、ライラが新製品を設置していく。


「ライラ、「ブラストボム」はいけそう?」


「初めて実戦で使うからちょっと不安かな?多分大丈夫だと思うけど」


「ブラストボム」というのは、ダイナマイトのようなもので、トンネルの掘削に使うために開発したのだ。ライラは「錬金術師」に転職してから格段に作製できる物が増えた。今回の「ブラストボム」もその一つだ。この「ブラストボム」で正門ごと吹っ飛ばす予定なのだ。


「みんな離れて!!後5秒で爆発するよ!!」


ライラが叫び、皆が退避する。


ドガーン!!


大きな音とともに爆炎が上がる。確認すると正門の扉はおろか、周辺の壁が跡形もなく崩れ落ちていた。


「ちょっと、分量を間違えたかもしれないわね。改良が必要だわ」


ライラが悪びれもせず言う。


ここでサマリス王子が拡声の魔道具で勧告を行う。


「我はロトリア王国第2王子サマリス・ロトリアである!!囚人達に告ぐ!!大人しく降伏しろ!!」


これにドーラが応じる。


「王子が来たのか、野郎どもやっちまいな!!王子を人質にすれば大儲けだよ!!」


交渉は決裂のようだ。


なぜ、わざわざサマリス王子を前面に立たせたかというと囚人達を喰いつかせるためだ。あくまで正門の私達は陽動なのだ。

囚人達が大挙して出て来て、私達を取り囲む。


正門にいるのは、私とライラ、サマリス王子、それにアイリス、バーバラ、クリストフの6人だけだ。囚人達は数の力で押し切ろうと考えているのだろう。すぐに私達を取り囲んで攻撃して来た。


戦況だが、囚人の多くはサマリス王子を狙ってきた。しかし、レベルが20に達した勇者候補に勝てるはずもなく、あっという間に地面に転がっていく。

それにアイリスも破格の強さだった。ゲーム通りとにかく速い。まさに「疾風の切り裂き姫」だ。しかも、絶対にやるなと言われていたことをやっている。正面から敵に突っ込んで、次々と囚人達を打ち倒している。

戦闘が好きではないだけで、決して弱くはないのだ。


クリストフはアイリスの援護、バーバラは氷の監獄を即席に作って、騎士団に転がっている囚人達を収容するように指示している。バーバラの魔法の威力が凄まじいので、危険な状態に陥るまでは、魔法は使わないようにお願いしていた。


一方ライラは、様々な爆弾を投げ付け、刑務所内は地獄絵図となっている。


「普段は爆発音がうるさいって苦情が来て、実験できないからね。

せっかくの機会だからどんどんやるわ!!

燃えろ!!燃えろ!!すべて燃えつくせ!!」


ライラの闇を見たような気がした。


「ちょっとライラ!!落ち着いて!!刑務所は今後も必要だし、それに騎士団の人もドン引きしているわ」


何とか、ライラを落ち着かせた。

戦況を見つめていたドーラは言う。このままでは、拙いと思ったのだろう。


「そこまでにしな!!こっちには人質がいるんだ!!」



そろそろかな?

私がそう思っていると、東の塔から物凄い轟音が鳴り響き、閃光ほとばしる。これも新商品「スタングレネード」だ。光と音で相手を行動不能にする特殊閃光手榴弾だ。初見で戦闘経験のない一般人ならすぐに行動不能になる。

しばらくして、東の塔から青色の信号弾が上がった。青なら成功、赤なら失敗、予め決めていたことだ。


「みんな!!人質は救出できたよ。思いっきりやってOKだよ!!」


私は叫ぶ。みんなある程度抑え目で戦っていたのだが、人質が救出されたことでギアを上げ始めた。サマリス王子とアイリスは即席だが連携攻撃を始めた。サマリス王子も素早さは高いほうなので、アイリスの討ち漏らしを的確に処理している。息もピッタリだ。王子と王女だし、クリストフよりもお似合いかもしれない。

一方クリストフはというと、二人を鬼の形相で見つめていた。


修羅場とかやめてよね・・・



★★★


暴動はほぼ鎮圧した。今も抵抗を続けているのはドーラと数名の手下のみだった。

サマリス王子が言う。


「もう観念しろ。大人しく投降すれば、それなりの対応はする」


ドーラは言う。


「アタイは最後まで戦うよ!!どっからでもかかってこい!!」


ドーラは自慢の特大ハンマーを振り回し、威嚇してきた。


ちょっと逆に難しいかもしれない。取り囲んで一斉に攻撃してもいいが、周囲の目もある。それにドーラ一家の構成員達を作業員として雇用するとして、一番いい方法はドーラをこちら側に引き込んで、構成員達を監督してもらうことだ。敵だけどドーラの統率力は評価している。

それにあの狸宰相のことだから、この事件が終れば、何かと理由を付けて、ドーラ達を押し付けてくることは目に見えている。

何とか納得して、こちらに服従してもらうことはできないだろうか?


私はサマリス王子と人質救出作戦を終えて、合流したムリエル王女と協議することにした。

すると予想外なことにサマリス王子が自分が説得すると言い出した。


「ドーラ一家はヤマダ商会の従業員ではなく、「ファースト・ファンタジー株式会社」の従業員になるんだよね?だったらその代表である私が行くのが筋だろう。これでも女性の扱いには慣れてるんだ」


あれ?なんかコイツ勇者っぽい。


サマリス王子が説得に向かおうとしたところ、またまた、バーバラとクリストフが「姫様!!絶対になりませんぞ!!」と騒ぎ出したが、流石にアイリスも「この雰囲気はちょっと・・・」と言って辞退した。



「サマリス王子、本当に大丈夫でしょうか?」


「大丈夫だ。それに秘策もあるしね」


サマリス王子はそう言うと、武器も持たず、ドーラに歩み寄る。


「私はこの通り丸腰だ。少し私の話を聞いてくれないか?」


「うるせえ!!それ以上近付くとぶっ殺すぞ!!」


ドーラは特大ハンマーをサマリス王子に振り下ろす。私は思わず目を瞑る。最悪の光景を想像してしまったからだ。


しかし、バキーンという音がしただけでサマリス王子は平然と立っていた。

そして口元を見ると何やら呟いていた。


「プロテスト・・・プロテスト・・・・プロテスト・・・・」

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