133 最終決戦
最終決戦に備えて、私は自分のアイテムボックスに詰め込めるだけアイテムと物資を詰め込んだ。主に回復薬とブラストボムなどの爆弾だ。
私達、アイリス、リルとリラ、ギーガ、ドーラ、ミザリー、ピエールの8人は大聖堂の最奥にある大礼拝堂を目指す。多分そこにエジルが居るのだろう。
大礼拝堂に着くと祭壇の辺りに大きな穴が空いていた。まるでダンジョンの入口のようだ。
リルとリラが最初に確認に向かう。
「ダンジョンぽいですね」
「お宝がいっぱいかもしれません」
この二人は緊張感がない。私達は呑気にダンジョン攻略に来たのではないのだから。
「私って、これが初めてのダンジョン探索かもしれません。バーバラやクリストフと冒険しているときも経験がないので、ワクワクします」
ここにも緊張感のない奴がいた。緊張でガチガチになって動けなくなるよりはいいけどね。
ダンジョンは最短距離で攻略することにした。リルとリラが不満の声を上げる。
「お宝の匂いがプンプンするのに・・・」
「大金持ちへの夢が・・・・」
そうは言いつつも、「忍者」で斥候の技能は一級品の二人のお陰で、罠に引っ掛かることもなく、探索が進む。出現する魔物も「殲滅の鉄球」を持ったドーラとギーガがすべて薙ぎ払ってくれるので、全く無傷で最後の間までたどり着いた。
玉座のような物に座っている、おぞましい形状の生命が多分エジルなんだろう。もう原型は留めていないし、変なうめき声を上げている。
「みんな覚悟はいい?とりあえず、ライラ特製の身体強化薬を飲みましょう。リルとリラはブラストボムを預けておくから、機を見て投げてね。多分雑魚のアンデットを大量に出してくると思うからドーラとギーガで対処してね。ミザリーさんは、遠距離から隙を見て攻撃、アイリスは好きなようにやって。ピエールさんは・・・」
「我はサポートに徹しよう。自ら打ち倒したいが、まだ力が戻り切っていないからな」
「じゃあ、よろしくお願いします」
ゲームの記憶にあるエジルを想定して指示をした。少し怪しまれたけど、この際どうでもいい。ここで負けたらすべてが終わってしまうからだ。
★★★
近くで見るとかなり大きい。エジルと思われる者は全長は10メートルはありそうだ。6本の腕それぞれに剣を持っている。見た感じは大きな骸骨のような感じだ。
ピエールが語り掛ける。
「エジルか?そこまでして、お前は何がしたかったのだ?平和に次の世代に繋ぐ。それだけでよかったのではないのか?」
「俺は神に成りたかった。この苦しい輪廻の輪から抜け出すには、神に近い存在にならなければならない。そのためには大量の魂が・・・」
「だったら何をしてもいいというのか?」
「虫けらが何匹死のうが関係ない。まずはお前らを皆殺しにして、デーモンロードを召喚して、この世界を破滅に追いやってやる。そのエネルギーで俺は神に近い存在になるのだ!!」
「もう話しても無駄だな・・・クリス殿・・・」
「分かったわ!!戦闘開始よ!!」
遂に戦闘が始まった。予想通り、アンデットを大量召喚してきた。これはドーラとギーガ難なく撃退している。ピエールは後方に下がり、支援魔法を掛けてくれていた。クリストフの「マジックバリア」とサマリス王子の「プロテスト」を合わせたような性能だ。一人でこの能力ならコスパがいい。ヒモコンビは解雇だな・・・・冗談だけど。
メインはやっぱりアイリスだ。そこをリルとリラが攪乱して、的を絞らせない。遠距離からは機を見てミザリーが弓矢で牽制するので、かなり楽勝ムードが漂う。
あっという間にアイリスがエジルを滅多斬りにしてしまった。
「なんか呆気なかったですね。もったいぶってこれなら・・・」
「まだよアイリス!!油断しないで!!とりあえず間合いを切って!!」
指示されたアイリスはすぐにエジルから間合いを取った。するとエジルから光が溢れ、出来損ないの腐ったドラゴンの姿になった。
「毒ブレスが来るわ!!ピエールさん魔法障壁を!!」
間一髪でピエールの魔法障壁が展開され、ダメージは受けなかった。
エジルはゲームでは2回形態を変える。この姿はブレス攻撃がメインだ。ゲームでは基本的に防御を最優先で戦い持久戦に持ち込んだ記憶がある。
実際の戦闘では、空中を浮遊していて、物理攻撃は届かない。
なので、リルとリラにブラストボムを投げさせ、ミザリーの弓を中心に遠距離攻撃をメインで対応した。すると、ミザリーの矢が左目に突き刺さったことで、エジルは大きく体勢が崩れ、高度も下げた。
これなら届く。
私は「ミスリルの鞭」をエジルの左足に引っ掛け、鞭伝いに特大の電撃魔法を放った。エジルは麻痺したようで、地面に叩き付けることができた。私は逆の手に持った「女帝の鞭」で滅多撃ちにしながら言う。
「総攻撃よ!!一気に叩きましょう」
反応したギーガが「殲滅の棍棒」でエジルの頭を叩き潰し、アイリスが首を斬り落とした。
ギーガが言う。
「少し手こずりましたが、何とかなりましたね」
「まだよギーガ!!油断しないで」
するとエジルは又光に包まれた。
最終形態に変異するのだろう。
「よもやこの姿で戦うことになるとは・・・・この代償は大きいぞ!!絶望するがいい」
ゲームでもかなりしんどかったのを覚えている。
これから、本当の決戦が始まるのだ。
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