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【完結】絶対に私は勇者パーティーに入りません!!~勇者パーティーに入ればバッドエンド確定の不遇なサブキャラに転生したOLの生き残りを賭けた戦いが、今ここに始まる  作者: 楊楊
第六章 勇者と魔王

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114 幕間 凡人王のすすめ 3

~フィリップ・ロトリア視点~


私はフィリップ・ロトリア。第111代ロトリア王国の国王だ。


どうしてだろうか?


最近、私に判断を求めらる案件が多すぎる。

幸い、「凡人王のすすめ」の巻末には決断を求められた際の回答集が載っている。20種類以上あるが、場面によって使い分けるのが難しい。最近は専ら、この回答集を暗記し、自分で様々なトラブルを想定し、いつでも的確な答えが選び出せるように訓練している。


まあ、想定以上の事態が起こってしまうのだが・・・・


★★★


旧転職神殿の開発事業も成功し、ダグラス達も使命であった四つのクリスタルをすべて集め、帰還していた。最近の情勢を考えると順調すぎるくらいだ。そうなると逆に怖くなる。小心者の私は特にそう思ってしまう。

そして、そんな嫌な予感は当たるものだ。立て続けに大事件が起こる。


ムリエル以下旧転職神殿復興プロジェクトのメンバーが、私にどうしても相談したいことがあるとアリレシア城にやって来た。私に相談したところで、どうなるものでもないのに・・・・。


えっと・・・・魔王ミザリーと先代魔王ピエールが・・・・平和的に解決したいだと!!


もうどうしていいか分からない。宰相なんかは変なことを口走ってパニック状態だ。


「えっ・・・魔王が攻めて来た?でも、戦う気はない?どうすればいいのだ?」


なんとか気持ちを落ち着かせ、状況を理解する。しかし、伝統がある以外、特に何もない中堅国の王にどうしろというんだ!!


「お父様、どうか良いお知恵をお貸しください。ミザリーさんもピエールさんも悪い人ではないと思うのです」


ムリエルにそう言われたが解決策なんて思い浮かばない。それにパニックで、あれだけ必死に暗記した回答集の答えもほとんど思い出せない。

仕方なく、回答集に一番最初に書いてあった回答を言うことにする。


「話は分かった。基本通り対応せよ」


何とか指示を出せたことで、回答集の解説を思い出した。解説にはこう書かれていた。


「これはどんな場面でも使える、本当に使い勝手のいい指示だ。法律や規則、慣例など、「基本」と言えるものは多くある。後は指示された奴が勝手に想像して対応するの見ていればいい。注意点を上げるなら、そればっかり言うと「また王様は基本、基本って言ってるよ」と言われることだ。まあ、半年に一回くらいなら問題ないだろう」


半年に一度どころか、1000年に一度の出来事だろう。


ただ、運よく、宰相が勝手に想像して対応してくれた。


「そ、そうか!!魔王というだけで、パニックになっていたが、これは国同士でいう戦争や紛争ということになる。そして、その相手国から講和の使者が来たと考えれば・・・・こうしてはおれん、すぐに国際会議の緊急開催をしなければ、それに教会に言って、新たなお告げがないかの確認も・・・。

国王陛下、つまりそういうことですよね?」


同意はしたが、国際会議を開かなくてはならないのか・・・・まあ、ランカシア帝国の皇帝もサンクランド魔法国の国王も来るだろうし、大国のトップに丸投げしてやろう。



★★★


「えっ!!国際会議の議長をしなければならないだと!!」


宰相が答える。


「それはそうですよ。発起人は我が国ですし、事が事ですからね」


「ランカシア帝かサンクランド王にやってもらえばいいではないか?」


「無理に決まっているじゃないですか!!また、どっちが議長をするかでもめて、会議どころではありませんぞ」


まあ、言われてみればそうだろう。


仕方なく、議長は引き受けることになった。当然のことながら「凡人王のすすめ」に正しい議長としての振る舞いなんかは記載されていない。そんな面倒事を押し付けられないようにすることが、この手記のコンセプトなのだからな。


ただ、面倒事を引き受けたときの一般的な対処法は記載されていた。


「無能なお前達でも、仮にも王なのだから、責任者になったり、面倒事を引き受けたりすることもあるだろう。そんなときは、生贄を用意するんだ。つまり、一緒に面倒事に取り組んでくれる者を集めるんだ。上手くいけば、それでいいし、失敗すれば、そいつらに責任を押し付けてやれ。

なあに、気にすることはない。無能なお前達と付き合いがあるくらいだから、生贄となる奴らも大した奴ではないのだから」


私はすぐにランカシア帝、サンクランド王、ビースタリア王に連絡を取り、国際会議の前に集合してもらって、事情を説明することにした。先代魔王ピエール殿と魔王ミザリー殿にも来てもらって事前に打ち合わせをした。流石の三人も当初は驚きで声も出なかった。

しかし、すぐに冷静さを取り戻した彼らは、次々と解決策を打ち出していく。結論から言うと和平を受け入れるが反発する国も多いという見方だったので、それをどう抑えるかが問題となった。

そこで一芝居を打つことにした。


魔族に滅ぼされた村についてはビースタリア王が烈火のごとく怒り、私がある程度のところで宥める。その後、サンクランド王とランカシア帝が協力して、黒幕であるエジルに立ち向かう流れに持っていく。昨今の情勢から、犬猿の仲のランカシア帝国とサンクランド魔法国が裏でつながっているなんて誰も思わないから、会議も上手く乗り越えることができた。


私としては特に何もしていないのだが、世間の評価は違っていた。魔族との平和協定を締結させ、更に長年争ってきたランカシア帝国とサンクランド魔法国を和解させた稀代の名君と言われるようになってしまった。

その所為か、様々な国際紛争を私の所に持ってくる輩が増えてしまった。


「凡人王のすすめ」のとおりに行動する無能な王には荷が重い。


ただ、魔族と平和協定を締結させたことで、少しは落ち着くと思っていた。しかし更なる問題も出て来た。

ダグラスのことだ・・・・


「父上、申し訳ありません。こちらのリンダと結婚しようと思っております。恥ずかしながら既にリンダのお腹には・・・・」


当然だが、「凡人王のすすめ」には息子が婚約者ではない女性を妊娠させた場合の対処法なんて記載されていない。


私はどうしたらいいのだろうか?

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 多分、凡人王さまはロトリア王を見ていたら「もうお前、凡人じゃないよ、本当に凄い王だよ」と想うのではないでしょうか(笑) 下手に自己評価が上がってしまうと失敗をしそうなので、ロトリア王は今の…
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