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【完結】絶対に私は勇者パーティーに入りません!!~勇者パーティーに入ればバッドエンド確定の不遇なサブキャラに転生したOLの生き残りを賭けた戦いが、今ここに始まる  作者: 楊楊
第六章 勇者と魔王

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106 オーガスティン領開発計画 1

現在、アイリスと今後の方針について打ち合わせ中だ。


「これで、ネームドキャラ全員が集合してしまいましたね。それにしても四天王のドラゴンはイメージと全然違ってびっくりです。小さくてかわいいですしね」


「そうね。ゲームでは凶暴なドラゴンだったから、私もびっくりしてるわ。ドラゴンというよりは人懐っこい子犬みたいだしね。だから、エジルに騙されたのかもしれないけど」


「本当にそうですね。バーバラとベビタンとタツメで三大マスコットと呼ばれるくらいですからね。ところで今後はどうするんですか?」


「エジルの捜索は続けるとして、たちまちはオーガスティン領の開発かな・・・・」


オーガスティン領、それは魔族領の玄関口となる領地で、ギーガの父親が治めている。ああ見えてギーガはお坊ちゃまなのだ。

なぜ、オーガスティン領が魔族領の玄関口になるかというと、ゲームでは「勇者の町」から更に西に行ったところに祠があり、そこに四つのクリスタルを納めると山が崩れて魔族領に入れるようになるのだが、そのとき最初に勇者達が訪れるのがオーガスティン領となるのだ。


「勇者の町」は風のクリスタルを入手するイベントの他に対魔族戦線の前線基地となる町としてゲームでは発展していくが、もう魔王軍とは平和条約が締結されているので、交易を活発にしようという話が持ち上がった。現地で調査したところ、オーガスティン領はなんというか、一言でいうと交易に向いていない場所であった。

これは特産品がないとかいうレベルではなく、オーガ族が商売に無関心なのだ。領主であるオーガの父と面会したのだが、以前のギーガを酷くした感じの人だった。


「酒と棍棒と上手い飯さえあれば、後は特にいらない」


と言っていたのが印象的だった。

これは開発にかなり労力が必要だ。


「なるほど・・・ギーガさんの実家の領を開発するんですね。これはかなりしんどいですね」


「そうね。今のところ魔族領には物理的に行けないことになっているから、開発も少人数で行わないといけないしね。まあ、タツメとプーランの協力で上空から入ったことにできるのが不幸中の幸いかな」


「でも、私達は都市開発に成功した実績もありますからね」


「それはそうなんだけど、ちょっと事情が違うからね・・・・」


旧転職神殿の場合は、よくも悪くも無法地帯だった。なので、こちらの意向でなんとでもなった。しかし、オーガスティン領の場合は領主もいるし、その領主の元で暮らしてきた領民もいる。少し調査したが、圧政を敷いているわけではないので、大きな変革には反発が生まれるかもしれない。人間誰しも変革を嫌うものだからだ。


「そういうもんなんですね。じゃあ、とりあえずギーガさんのご両親に好印象を与えないと、ですね?」


「そっちはなぜか上手くいっているのよね」


開発計画が持ち上がったとき、ギーガの両親に挨拶に行った。これが思いのほか慕われてしまった。

リサーチしたところ、オーガ族やギガンテス族、トロル族は棍棒を送り合う風習がある。送った棍棒の質で、どれだけ相手に敬意を表しているか判断するのだ。

私は、ギーガの家族をリサーチした。父親はギガンテス族の血を引いているようだったので、トゲの数を減らして、その分大きく、強そうな棍棒を用意した。ギガンテス族はシンプルで大きな棍棒を好む傾向にあるからだ。一方母親はトロル族の血を引いているので、先端にトゲトゲの鉄球が付いた棍棒を用意した。トロル族はなぜか、トゲトゲの鉄球にこだわりがあり、棍棒の質よりも鉄球の方に重きを置いている。

そしてギーガの二人の妹、グーゴとゲーゴにはモーニングスターを用意した。若いので新しい物がいいかなと思ってだ。


挨拶と開発の必要性を説明するため、ギーガとともに訪問したのだが、最初は敵意剥き出しだった。


「人間が何用だ?魔王様の紹介状があるから会うだけは会ってやるが・・・まあ、こちらの風習を理解して、棍棒を手土産に持ってくるとはなかなか見所がある。しかし、人間が作った棍棒などあまり期待できんがな」


しかし、棍棒を手渡すと態度が一変した。


「このズッシリとした持ちごたえにこの強度・・・我が秘蔵の棍棒なんか比べ物にならん位の価値がある。これは普段使いにはもったいない。クリス殿、我が非礼を許してくれ」


領主に頭を下げられた。


「貴方!!私には私の好みを調べて、オーダーメイドの棍棒を送ってくれたわ。懐かしい作り。おばあちゃんを思い出すわ。クリスさんはなんて気遣いができるのでしょうか」


「お母様、私達の棍棒は斬新なデザインで素敵よ。威力も凄そうだから早く使ってみたいわ」

「これなら友達に自慢できるわね」


奥さんも妹達も大絶賛だった。


側近の部下達は羨ましそうに見ていた。そして、側近の一人が声を掛けてきた。


「私も棍棒が欲しいのだが、どうすればいいんだ?」


「こちらも商売ですので、製作費を頂ければオーダーメイドで作ることもできます。また、たちまち警備隊用に電撃魔法を付与して、殺傷力を抑えた「スタンクラブ」という棍棒も用意してますが・・・」


「すぐに欲しいが、予算が・・・」


「許可しよう。購入する個数などはこの後、その方らで決めよ。それよりも宴だ!!我は気分がいい。クリス殿を盛大にもてなすぞ!!」


そこからは大宴会に突入して、開発の説明は全く聞いてもらえなかった。まあ、気に入られたからよしとしておこう。



★★★


私がオーガスティン領に行くのはこれで3回目だ。前回も棍棒の話だけで終わってしまった。今回はキチンと話を聞いてもらわなければならない。と言うことで秘策を用意していた。今回同行するのは、アイリス、バーバラ、ベビタン、クリストフだ。ギーガは先にオーガスティン領に戻って準備をしてくれている。


このメンバーにしたのは、訳がある。

アイリスは、全体的な仕事を覚えさせるため、バーバラとベビタンは歌と踊りで棍棒以外にもエンタメがあることを知ってもらうためだ。クリストフだが、これは「姫様が行くのなら私も!!」と言い出したので、雑用係として連れて行くことにした。バーバラのステージのセッティングからギーガのお手伝いまで、幅広く仕事はあるからね。


オーガスティン領に着くとギーガとリルとリラが出迎えてくれた。


「準備はバッチリです」


「そうです。過去最高の出来です」

「これはムリエリアでも売れますね」


まあ、頼もしい。

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