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7-2

 その日の夜中、闇寧喫茶店から数駅先の港町。

 そこにはドーム型のイベント会場があり、周囲には無数のホテルが立ち並んでいる。


 そんな中、隠花とひがんは綺麗に舗装された道路の上を歩いていく。


 今日の二人の格好は普段の学生服でも、遊びに行くときのロリータ服でもない。

 二人とも黒髪ストレートヘアーのウィッグをつけ、目元のアイシャドウは黒く厚く塗り、所々に金属の鎖や革のベルト飾りがついた黒いフリルのドレスを身にまとっている。

 そんなゴシックパンクな雰囲気から、そういうイベントに来た少女らの印象が強い。


「ね、ねえひがんちゃん」

「なぁに?」

「な、なんか人気無いし……、ちょっと怖いね」

 今はめぼしいイベントがやっていないせいか、人通りは限りなく無いに等しい。

 イベント期間中以外は閉店しているのか、本来なら明かりが灯るはずのホテルからは緑色の非常灯の光が漏れる程度だった。

 そのせいか、隠花は普段以上に怯えてしまい、ひがんの腕に抱きつくように歩いていた。


「大丈夫だよ。怖くない」

「す、すごいね。頼もしい」

「だって、隠花ちゃんが一緒だから」

 ひがんがそう言うと、今まで怯えていた隠花の歩みがピタリと止まり、真顔でひがんの方を向き……。


「わ、わたしそんな頼りになるかなあ!」

「うん」

「そんな即答なんて、恥ずかしいなあ……」

 隠花は顔を真っ赤にさせつつ、両手を振った。

 この時、普段は無表情なひがんの口角が少しだけ上がっていたことは、誰も気づかなかった。


 そんなやり取りをしつつ、駅からしばらく歩いていき……。


「ここだよ」

「ひえー、すごい……」

 隠花の前には数十階はあるであろうとても高いビルがあった。

 入り口には”ホテル星天”と書かれた金属製の看板が掲げられている事から、ここがアニメで言われていた場所である事は間違いなかった。


 他のホテルと同じく中は薄暗く、必要最低限の明かりしか灯っていない。

 だが、入口の自動ドアが半分だけ開いている事から、魔女達誘っている事は明らかだ。


 それでもひがんは何も言わず、表情一つ変えずに中へ入っていく。

 隠花はひがんの様子を見て戸惑いつつも後を追っていく。


「これって!」

 建物の中へ入った瞬間。

 唐突に世界は色を失い、隠花とひがんは魔女の格好になってしまった。


「何もしてないのに精神世界に入ってしまったよ……」

「うん。一等星ならではだよ」

「そ、そうなんだね」

 ホーリネス一等星とものなれば、精神世界へ行く事も相手を連れ込む事も出来る。

 その事を身をもって知った隠花は、杖を抱えながら大きく息を吸ってひがんの後ろについていった。


 精神世界は静止された世界で、現実の物には一切干渉は出来ない。

 故に閉まった扉は開ける事が出来ないし、電化製品は一切の動きを止めているため、扉が開いている方へ奥にだんだん進んでいき……。


 おそらくは宴会用のホールだろうか、それともスイートルームか。

 ひと際広い場所にたどり着いた二人を、春先が待ち構えていた。


「よく来たねえ!」

「春先!」

 春先は余裕かつ得意げな笑みを見せながら、手を叩いて魔女の来訪を喜んだ。


「しかし、僕がわざわざ出向いてちゃんと警告したのに無視しちゃって……。君ら何がそうさせるわけ?」

 半笑いの春先は、隠花とひがんの方を交互に見ながらそう質問する。


「私はリコリスちゃんを守りたい!」

 真っ先に答えたの隠花だった。

 内気な隠花に珍しく、はっきりと大声でそう言い放った。


「ふーん、で、そのリコリスちゃんは何で頑張っちゃうの?」

 それを聞いた春先は次にひがんへぎらついた眼差しを向けながらそう問いかけた。


「……あなたには関係ない」

 その問いかけに対し、ひがんは無味乾燥な返答しかしなかった。


「やがてみんなホーリネスになる。遅かれ早かれ決定事項なんだよ? 子供、大人、男、女、貧乏人、金持ち、非力な者、力ある者……。一部の例外も無くね」

「そんな事はさせない!」

 パチンッ。

 隠花がそう叫んだ瞬間、春先は得意げな表情をしながら指を鳴らす。


 すると、春先の両脇に突然SheSTARSの三人が現れた!


「うわあ」

 何の前触れもなく唐突に現れたせいか、隠花は驚いて声を出してしまう。


「…………」

「…………」

「…………」

 そんな隠花の反応に対して三人は、アイドル活動をしている時の卑猥な格好のまま、瞳に大きな星の輝きを宿して笑顔で隠花とひがんの方を黙ったまま見つめている。


「君らもホーリネスになれば、キラキラ出来て最高の気分になれるよ? 魔女なんかより楽しいと思うんだけどねぇ」

「他人を犠牲にしてキラキラしたってなんの意味もない!」

「ふーん。ま、君らの青臭い主張なんて僕はどうでもいいけど。ところで魔女のお二人さん。どうして僕がこのアイドルを君らそっくりに作ったか分かるかい?」

「し、知らないよそんなの!」

「そうかそうか、でも安心して。すぐに分かるから」

「行くよカイカちゃん」

「うん!」

 二人は春先や光の魔法少女達へ迫ろうとした瞬間。

 予想だにしなかった異変が起きる!

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