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7-1

 時は戻り、隠花とひがんが魔女として活躍している中。


「今日も無事に終わったね」

「うん」

 今日もまた、隠花とひがんはホーリネスと戦いそして成敗した。

 二人はお互いの無事と勝利を分かち、讃えあっていた。


「あ、あぁ……」

 そんな中、消滅寸前のホーリネスが突然口を開きだすと……。


「テレビ……、あ、アニメ……。光……、ま、魔法しょ、しょう……」

 ホーリネスはそう言い残して消滅し、世界は色のある状態へと戻ってしまう。


「ね、ねえ今のって……?」

 隠花は戸惑っていた。

 ホーリネスが消滅する直前、未練じみた言葉や自身を倒した魔女に対する憎悪の念を吐露する場面はあった。

 だが今回はそれらとも全く違う、まるでダイイングメッセージを残すような感じだったからだ。


 隠花とひがんはすぐさま闇寧喫茶店へと戻った。

 そして、その事を蝕美に報告した。


「奴らそんな事まで出来るとはな」

 蝕美は腕を組んで眉間にしわを寄せながらそう言った。


「蝕さん、その話に出てた魔法少女ってSheSTARSだよな? アニメって彼女らをモチーフにしたってあれだよな?」

 その場に居合わせていた八坂は、足を組みなおしてそう確認する。


「ああ、そうだな。間違いなくな」

「ちょうど今やってる最中だ。見てみよう」

「そうだな」

 蝕美は表情を変えないまま、テレビのリモコンをもって電源のボタンを押した。


 テレビの画面はすぐさま光ると、そこにはSheSTARSが声優を演じている魔法少女モノのアニメが流れていた。


「いよいよ追い詰めたわよ! 魔女め!」

「馬鹿な子ら、この星空が見える場所がお前達の墓場になるんだよ」

「このホテル星天は、みんなの願いが込められた場所……! 絶対に負けないっ」

 どうやらアニメは魔法少女と魔女の戦いの最中のようだ。

 だが見ていた魔女陣営の人々は、その場面を見ると全員が各々と視線を合わせ……。


「俺には、ホテル星天に来いとしか聞こえないんだが?」

「同感だ」

「同じく」

 蝕美、八坂、そしてひがん。

 全員が真顔でそう告げたのだ。


「でもマスター、これってどう見ても罠ですよね……?」

「ああそうだ、隠花の言うとおりだ」

 隠花は指をもじもじさせながら、少し遠慮がちにそう言うと、蝕美は隠花の方を向いてそう告げた。


「なあ八坂、魔法少女や春先に関する情報は何かあるか?」

 蝕美はため息を一つつき、八坂へ問いかけた。


「あるよ。ずっと前からな」

「本当か! ならどうして今まで言わなかった?」

 飄々と答えた八坂に対し、蝕美はわずかに怒声を混じらせながら答えた。


「意味がないんだよ」

「どういう……事だ?」

「春先の権力は絶対だ。いかなるスキャンダルも全て揉み消してしまう。スポンサーや同業者は全員味方だし、ネットからの拡散も効果が無い。どこから攻めても駄目だな」

 そして八坂から、春先の圧倒的な影響力と権力を聞かされると、蝕美は彼から目線を逸らして絶句した。


 喫茶店内にはテレビから聞こえる音しか聞こえない。

 アニメはどうやら魔女を倒してめでたい雰囲気だが、隠花達が居る現実はとても重く暗かった。


「なら、この誘いに乗るしかない」

 そんな中、今まで黙っていたひがんがそう一言漏らす。


「さっき罠って言っただろう? ここでお前達を失うわけにはいかないんだ」

「それでも、今まで手掛かり一つなかった。今は違う」

「……でもな!」

「ここで春先とホーリネスのアイドルを成敗すれば、全てが解決する」

「それが出来ればなあ!」

「お願い」

 蝕美は歯を食いしばり、拳を強く握っていた。


 今までひがんや隠花を魔女として現場へ送り出していた蝕美には、一つ決めごとを自分に課していた。

 それは、二人が確実に無事に帰ってくる事、勝ち負けの分からない戦いには投じさせない事だ。


 もちろん不測の事態はあった。

 だがそれも、探偵の八坂と協力し情報収集して対策をとって、可能な限り安全な状態で送り出してきた。


 蝕美は、今回の戦いは”余程の事がなければ”勝てないと思っていた。

 だからひがんの意見を拒否し続けた。


「…………」

 それでもひがんは諦めず、じっと蝕美を見つめた。


「お、お願いします! 私もひがんちゃんを全力で守りますから!」

 隠花もひがんと同じく、蝕美をじっと見つけてそう強く訴えた。


「……分かったよ。ただ相手は一等星だ。無理だと思ったらすぐに引けよ」

「うん」

「俺も本部に掛け合ってみる。相手が相手だからこのままだんまりなんて事はないはずだ」

「わかった」

「蝕さん、新しい情報探してくるよ」

「頼む」

 こうして各々は、春先と光のアイドル魔法少女打倒に向けて動く事となった。

 隠花は大きく息を吸い、表情を強張らせる。

 その様子を見たひがんは隠花の手をとって握ると、隠花は顔を赤くしながらその手を握り返した。

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