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5-10

 金下を成敗した隠花とひがんは、物質世界で待っていた八坂と合流した後に闇寧喫茶店へと帰った。


「ただいま戻りました」

「ただいま」

「おい! お前ら無事か!」

 普段なら物静かに成果を聞いてくるはずの蝕美が、今日は何故か血相を変えて三人を出迎えた。


「えっ?」

「うん。どういう事?」

「そうか……」

 そして何事もなく無事に帰ってきた事を察した蝕美は、大きく息を吐いた。


「蝕さん、どうした?」

 そんな彼のただならぬ様子に、八坂は腕を組んで問いかけた。


「これを見ろ」

 八坂の言葉の直後、蝕美は自身が持っていたスマホを帰ってきた三人へ見せた。


 スマホの映された動画の内容。

 それは数十社の大手企業ロゴが並んである薄桃色のパネルを背景に、三人の少女と一人の中年男性が立っているものだ。


「春先プロデュース! 次世代魔法少女アイドルSheSTARS(シスターズ)のデビューです!」

「こ、これって……!」

 だがその映像を見た隠花は両手を口に当てて絶句し、ひがんは少しだけ目を見開き、八坂は顎に手を当てて言葉を失う。


 何故なら、映し出された中年男性は先ほど隠花やひがんと対峙した春先へであり、三人の少女はかつて成敗した紫陽花と魔女へ変身した隠花とひがんに瓜二つな少女だったからだ!


「あはっ、初めましてだよ☆」

 紫陽花はピースサインを目元に当てながらカメラに向かってそう告げた。


「ごきげんよう」

 ひがんにそっくりの少女は、淑やかに一言だけ挨拶をした。


「はぁ、はぁっ、あっ、あぅ、こ、こんにちはぁ……」

 隠花にそっくりの少女は、息遣いを荒くしながら少したどたどしい口調で、頬を赤らめながら挨拶をした。


「三人で、SheSTARS! 主に祈りを捧げる一等星の妹達です☆彡」

 そして三人は各々の自己紹介を終えると、両手を胸元に当てて祈っているポーズをとった直後、三人のブイサインを組み合わせて星の形を作ってそう宣言した。


 この時全員は、フリルをふんだんに使った白いボンデージを着用していた。

 ボンテージの細かな形状や装飾は三者三様ではあるものの、三人とも頭につけたベールをかぶっており、局部を隠す布地部分には十字架をモチーフにした刺繡が施されている事、首から同じデザインのネックレスをしている事、そして名前から、清楚で清廉な修道女をイメージしているようにも感じられる。


 だが、隠花やひがんや八坂の第一印象はその真逆。

 淫乱で、卑猥で、性欲的でそして官能的であり、三人とも瞳には眩い星の輝きを宿している事から、まるで精神世界のホーリネスのようでもあった。


「音楽プロデューサーの春先さん、満を持してデビューとの事ですが今のお気持ちはいかがでしょう?」

「自信過剰と言われるかもしれませんが……、今回は間違いないと思いますよ」

 春先は胸を張り、満足気な表情でインタビューに答えた。


 インタビューを一通り終えた後、三人の魔法少女アイドルは記者や春先の指示の下で写真撮影をした。

 この時、隠花やひがんが絶対にやらないきわどいポーズでの撮影や、数々のサービスカットを披露して記者会見の場を盛り上げていた。

 彼女らがポーズをとる度にカメラのフラッシュが眩く光る。

 惜しげもなく露わにした白い肌がそれらを反射し、記者会見場はまるでライブステージのようだった……。



「ど、どどどどういうことですかこれ!」

 そんな動画を一通りみた隠花は、ただ慌てふためいていた。


「俺が聞きたいんだが……」

「な、なんでこんなやらしい格好で! わ、私全然身に覚えありませんからっ!」

「そんなもん分かっている。モデルやってるひがんだってこんな仕事は受けないからな」

 隠花はひがんを見た。

 隠花と目が合ったひがんは、何も言わず首を横に振った。


「じゃ、じゃあどうして……」

「そのあたりは長くなるから置いとくが、金下はどうだ?」

「うん、やったよ」

「そうか」

 ひがんはいつも通り、無表情のままそう告げた。

 この時隠花は、まだ聞き足りない様子なのか、その場で足踏みをして落ち着かない様子だった。


「まあとりあえず今日はもう帰れ、そしてゆっくり休め。細かい事は後で必ず話す」

「分かりました……」

 だが蝕美の一言を聞いた隠花は、少しだけ肩を落としてバックヤードへ戻る。

 そして着替えなおして帰路へついた。

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