3話 織田家の朝
申し訳ございません。途中保存していたつもりが、間違って投稿していました、、、
改めて、本前書き記載の内容が清書した話になります。
先に読んで困惑された方は大変失礼いたしました。
大和が目にした光景は、先ほどまでいた視聴覚室ではなく、見覚えのない部屋であった。
見渡すと一見その部屋は、大和自身の部屋と似たような広さであり、勉強机等の家具を見る限り誰かの個室ようだった。
ただ、大和の部屋とはもちろん異なり、ぱっと目に付くものとして野球用具が部屋の角にまとめられていたり、本棚には知らない本や多くのトロフィがいくつか置いてあったりとしていた。
(ほかの皆はどこだろう?)
大和は見る限り、この部屋で男5人が隠れるにはあまりにも狭いと思いつつもきょろきょろ部屋を見渡す。
そんな部屋の中で大和は唯一自分以外にも人がいることを感じた。
部屋を大きく占めているベッドに目を向けると誰かが寝ていた。
(あそこに寝てる人は…、けど、そうなるとこれってまさか…)
突然な出来事と知らない場所にいることに対して困惑していた大和だが、ある一つの仮説が頭をよぎる。
それは常識範疇外であり、非常にでたらめであると分かっていても。
大和がひとりでそのような考えに耽っていると、聞き覚えのあるアラーム音が鳴り響く。
そのアラーム音は大和自身も世話になっているスマートホンのアラームだった。
数秒鳴り響いてもアラーム音は止まず、一段階音を大きくなった段階でスマホに手が伸び、手も持ち主である織田の顔も布団の中から出てきてアラームを止めた。
(やっぱり、ここは織田先輩の部屋なのか?)
大和はふと身を隠そうとするが、隠れそうなところがなく慌てふためく。
大和はもうどうしもうないと悟り、織田に怒鳴られることに身構えた。
そして、身体を起こした織田と目が合った…と思ったが、織田は大和を気にせず部屋から出る。
そうすると、大和自身も気付けば、部屋から出ており、織田に付き従うよう一緒に行動するよう自分自身も動いていた。
(本当になんなんだ、この状況は?)
寝起きの織田は近くにいるはずの大和のことを特に気にせず、洗面所に向かった。
洗顔や歯磨きと一通りやるべきことをした織田は織田家のリビングに向かう。
リビングには母親らしき人物、小さな少年と妹の織田香の姿もあった。
しかし、父親らしき人物はいなかった。
「お兄ちゃん、おはよう!」
その末っ子の少年が織田に向かい元気よくあいさつをする。
少年は状況的に織田家の末っ子なのだろう。ランドセルがソファの上に置いてあるため、今は小学生と見受けられる。
「ああ、おはよう、有次」
どうやら、少年の名前は有次というらしい。
その挨拶を皮切りに、織田家の各々は軽い朝の挨拶を交える。
もちろん、織田以外の家族も同じ空間にいるはずの大和のことは気にせずにいる。
初めから大和のことを認識などしておらず気付いていないようであった。
(この人たちに俺のことは見えていないのか)
どうやら織田をはじめ、織田家から大和の姿は見えていないようだった。
(―どうやら、俺は今 織田家の朝に出くわしているようだ。いったい何のために?)
(―いや、これが『声』が言っていたゲームということなんだろう。)
大和は自問自答をしつつ、現状を整理してこれからすべきことを考える。
(どういった原理でこんな状況になっているか分からないままだけど、この状況下で『声』が言っていた織田先輩の好きな人を見つけろってことなんだろうな)
(ほかの皆がどうなっているか心配ではあるけど、今は目の前のことに集中しよう。おそらくほかの皆も俺と似たような状況になっていると信じて)
そう決心した大和はそのまま織田家を観察することに徹する。
―それから、織田家は家族4人で朝の朝食を済ましていた。
なお、母親の真正面の席には食べ終えた食器があったため、父親はいち早く朝食を済ました後、仕事に向かったのだろうと窺える。
その間、織田のことが好きであるだろう対象候補である妹の香と織田の間で目立ったやり取りはなかった。
朝食を終えた織田は一度自分の部屋に戻り制服に着替えて学校に行く準備をする。
途中、末っ子の有次が「いってきまーす!」と大きな声と母親の「いってらっしゃい」のやり取りが聞こえた。
末っ子の有次は先に学校に向かったようだ。
しかし、妹の香の「いってきます」が聞こえない。
大和は謎の力により、織田の傍から離れられないという行動制限があるため、確証はないが香の方はまだ家で支度中だろうと考える。
織田が登校の準備が終わると、そのまま玄関に向かい学校へ向かおうとしていた。
その時、後ろから香の声が待ったを掛ける。
「ああ、お兄ちゃん、ちょい待って!」
「ああ、なんだよ?」
「いやいや、一緒に登校しよ、登校。ほんと何も言わないとすぐに行っちゃうから」
「お前と一緒に登校するといつもギリギリだし、それにたまに周りから変な目線飛ぶからいい加減嫌なんだが」
「別に遅刻している訳じゃないからいいじゃん。それに周りの目線も別に兄妹で登校しているだけだから、気にする必要もないっしょ」
「…わかったから、早く支度を済ませてくれ。5分経っても準備終わらなかったら俺は行くからな」
「はいはーい」
(さっきの説明では仲の良さは普通って言ってたけど、わざわざ兄妹で一緒に登校するのはかなり仲良すぎるのでは?)
先の織田の説明に疑問を浮かべると同時に、妹の香に対しても懸念する。
(織田さんも意外にもお兄ちゃんっ子てことっぽいけど行き過ぎな感じがする)
それから約束の5分近くが経つと、香は身支度を整え終わって玄関に向かう。
玄関に着いた香を大和はまじまじと見つめる。
身長は160㎝ないくらいで女子としては普通くらいだ。
茶髪に染めたであろう髪はハーフアップにしており、首元が見える見えないくらいの長さでまとめていた。
控えめに言って可愛いな思う大和。
(この子が、もしかしたらとあまり思いたくないなあ)
兄である織田と一緒に登校し始めた。
「んじゃ、行きましょ」
「ああ」
それからは、他愛もない会話をしながら織田兄妹は登校を続ける。
どうやら、織田家からは徒歩で学園に行ける距離らしい。
20分近く歩き続けていると我が学園が見えてくる。
そんな時に香から兄の彼女である浅井深雪の話題が切り出される。
「そいえば、深雪さんとは最近どうなの?」
「なんだいきなり?別にいつも通りだが」
「ふーん。そう。いつも通りね」
「ただ、強いて言うなら、偶に曇りのある顔をすることがあるな。けど、どうしたかと訊ねてみても何もないと言っているから、それ以上は踏み込まないようにしているくらいか」
「なにそれ、倦怠期真っ最中じゃん」
「うるせえ。別に倦怠期でもねえよ」
「お兄ちゃんがそう思っていても向こうは違うかもしれないよ」
香がそう言うと、織田が不機嫌な表情になっていく。
「…深雪から何か連絡でもあったのか」
「…いや別に。深雪さんからは何もないよ」
「なら、どうしていきなり深雪の話し始めたんだよ」
「偶々だよ」
そこで会話が終わると、香は別の方向に顔を向ける。
「あ、友達見つけたら私そっち行くね。んじゃねお兄ちゃん」
「…ああ」
そのまま、香は兄と別れて友達の元へ向かって行った。
(今のやり取りはすごい重要そうだ。もしかしたら織田さんが兄である先輩のことが好きなのかも)
大和は兄妹の最後のやり取りを聞いて香がそうなのかと考えるのであった。