ネズミゾンビ
魔王討伐に向かった勇者は、魔王の言葉に惑わされ、世界の半分を手にした。しかしその後勇者は行方不明に。
モブラの任務は消えた勇者を探し出し、もう一度魔王討伐に向かわせること。
モブラとナミラは荒野で前に進めない謎の異変に巻き込まれた。どうして前に進めないのか、この異変から抜け出せるのか、謎と不安が駆け巡る
「どうして俺たちは前に進めないんだ!?」
辺りは荒野で、人の気配もモンスターの姿もない。
しかし、今荒野の2人には異変が起きている。誰の仕業か、天変地異なのか。2人はあれこれ考えたが、結局何もわからないままだ。
「ったく、どうすりゃいいんだよ。こんなとこで死にたくはないぜモブラ。」
「そうだな。」
「お?あそこに落ちてんのは杯か?青銅で作られてるみてーだぞ」
ナミラは数歩先に落ちていた杯を拾って眺めた。
「ナミラ。その杯、いつからそこにあったんだ。」
「青銅だから売れやすいぞこりゃ、ん?なんだって?」
「その杯は、一体いつから落ちてたんだ?商人のお前が売れそうな杯を今まで気づかないなんてことあるのか。」
「た、たしかにそうだ!! 杯はさっきまでここに落ちていなかった!」
「そして今俺の座ってるところからナミラは歩いてその杯を取りに歩いた。前には進めないはずなのに、だ。」
そ、そうだな!気づかなかったぜ!座ってるナミラから俺は離れている!つまり確実に前に進んでいたってことだ!」
「その杯を一旦地面に戻せ。」
「わ、わかった。」
「走るぞ。」
「お、おう!」
2人は杯を置いて走り出した。遠くにあるサボテンと木箱の位置は一切変わらないが、
足元にいたはずの杯はどんどん後ろへ遠ざかっていく。
「俺の杯がぁ!!」
「俺らはどうやら動く地面の上を走らされているようだ。」
「ど、どういうことだよそれ!」
「俺たちが前に進むと、地面は後ろに下がる。走るとその分速く下がっていく。しかしあの杯や、座っていた俺は動いていないから、地面の動きに流されて後ろへ行くんだ。」
「あー、あー!!!わかったぞ!!でもどうすれば脱出できんだ?」
「動いているのは地面だ。つまり、、、」
バゴッ!
モブラがギターで地面を叩くと、地面の下に紫のなにかが埋まっている。
「ネズミゾンビだ。きっと俺たちの下に数千匹いるぞ。」
「ネズミ!?なるほど!こいつらが地面の下を走ることで、地面を後ろに動かしていたってわけだな!!」
「だが、辺り一面のネズミを潰す時間は無いぞ。」
「良い考えが俺にあるぜ」