走るサボテンと木箱
魔王討伐に向かった勇者は、魔王の言葉に惑わされ、世界の半分を手にした。しかしその後勇者は行方不明に。
モブラの任務は消えた勇者を探し出し、もう一度魔王討伐に向かわせること。
モブラは新たにナミラと旅を始めたが、ワラギの里に向かう途中でハプニング!?
「ところでよぉモブラ、旅って言っても一体どこに向かってんだ?」
「街だ。」
「このご時世に観光てなわけか?それともそのギターで弾き語りして稼ごうってな算段か?」
「勇者を探す。」
「あ?ユウシャ?何言ってんだ?ユウシャってそもそもなんなんだよ、あ牛舎のことか?たしかに街にならあるかもな」
「違う勇者だ。勇者だった人を探す。」
「えーとユウシャってのは役人とか称号みたいなもんか?」
「ああ。」
「へー俺のしらねぇもんがまだまだあるもんだな」
「そういや行く街ってのはどこだ?俺はタイキョウの国からはるばるきたんだけど、まさかタイキョウか?」
「まずはワラギの里だ。」
「あのちっちぇとこか。セイテマの城に行く途中通ったぞ」
「つーかセイテマ城の周りは音楽で賑わってるって聞いたんだけどよ、その辺どうなんだ?」
「昔は賑わっていた。今は違う。」
「やっぱり黒い雨の影響か?」
「ああ。あのあとからだ。」
「なんであんなん起きちまったんだろーな」
「それを知るためにも勇者を探す。」
「はいよ。勇者ってのがどんなんか知らねーけど、そいつ見つけたら俺は商人に戻るかんな」
「それでいい。」
「にしてもワラギまで結構歩くな。そろそろ着いててもおかしくねぇはずだけどな」
「…そうだな。」
「だよな、明らかに遠いよな」
「!?」
「モブラどうした?」
「周りを見てみろ。」
「なにぃぃ!お、俺も気づいたぜモブラ!」
「どうなってるんだ?これは。」
「俺にもわかんねぇ!」
「どうして景色が一切変わってねぇのか!たしかに俺らは歩いてるってのによぉ!」
モブラたちは走り出したが、少し離れたサボテンと壊れた木箱はずっと同じ距離のままだ。
さらに速く走っても、サボテンと木箱はついてくる。
そのまま走っていても、やつらも走っておいかけてきている。
「サボテンと木箱が走るわけがねぇ!つまり俺らはさっきから同じところを走ってんだ!ずっと進んでねぇんだ!」
「どうやらそうみたいだ。」
「なぁんで冷静でいられんだよぉ!」
「…」
「どうすんだよぉ!!このまま走ってても解決しねぇぞぉ!」