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エイプリルフール・トゥルーストーリー  作者: 日向満家
現在 南波  葵の戦線復帰後
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Scene37

 南波はしばらく、葵の戦いっぷりを見ていた。風船オバケの形はすぐ元に戻り、最も熾烈な攻撃を、葵に加えていた。

 しかし、葵はそれら全てを、難なく避けている。彼女の能力は、完全に覚醒したと言って良いだろう。

 いくら風船オバケがすぐに回復したとはいえ、今まで恭一と南波だけでは、あの怪物の形を変えることすらできなかったのだ。彼女のあの一撃は、一筋の光明だった。

 あれなら…… 僕にもできるかもしれないな。南波は、葵の戦闘を見て、何となく感覚を掴もうとしていた。

 確かに難しい。しかし、実際にそれが出来ている人間があそこにいるのだ。ならば自分にも、できないことはないだろう。

 南波にも、今まで天才という言葉に甘んじることなく、存分に能力を磨いてきた自負があった。

 南波は目を閉じ、葵の身体を覆っているアーマーと同様なものをイメージした。頭の中で、あのアーマーがどのようなメカニズムで可動しているのか、頭の中で細部までしっかりと設計する。

 南波が目を開けたとき、南波の全身は葵と同じような鈍く光る鎧に包まれていた。南波のアーマーは葵のとは違い、露出が格段に少ない。青とも緑ともつかない、微妙な色の光沢がついている。

「うわ、なにこれカナブンみたい」

 色合い的に、葵のものよりカナブンみが強かった。まあいい。これで僕も戦ってみよう。

 南波はとてつもない速さで風船オバケのもとへ飛んだ。そのまま南波も拳を叩き込む。アーマー全体を、南波の拳の威力を上げる方向に動かす。

 その結果、南波の攻撃も、風船オバケの身体を凹ませることに成功した! しかし、やはりこれだけ繊細な動きをし続けさせるのは、とても神経を使った。

「あー、南波くん、私の真似してる!」

 南波に気付いた葵が、南波を指さす。

「葵ちゃん、よくこんなの動かしてるね。難しいでしょ?」

 南波は苦笑いしながらそう言った。

「そうなの? よくわかんない」

 葵はキョトンとしている。

 これだけのことを感覚でやってるのか…… 南波は改めて身震いした。葵の能力は、やはり規格外だ。

「ていうか、さっき恭一を助けた時に、なんかいつの間にか身体についてたんだけどこれ」

 葵が自分の身体をキョロキョロ見ながらそう言う。

「君にそんな意識がないってことは、彼の趣味かもね。君の周りに波打つ負のエネルギーが彼の思念を具現化させたんだろう」

「恭一ってこんな趣味してんの?」

「彼はドルヲタとアニヲタを兼務してる希少人種だからね。おまけに映画マニアだし。何か頭の中でグチャグチャになってたんじゃない?」

「ふーん」

 葵はどこまでも、このデザインに興味がわかないようだ。

「とにかく、あれだけの強敵相手に、ようやく活路が開けたんだ。何とかしてあいつを倒そう」

「そうだね!」

 葵は横でガッツポーズした。

「で、どうやるの?」

 葵が急に真顔になる。南波はガクっと脱力した。だが、すぐに気を取り直して、考えを巡らせる。

「とりあえず、あいつに効くほどの威力を出すには、この状態で、僕たちの渾身の打撃を食らわせるしかない。でも、さっきまでみたいに、一人ずつ一方向だけから攻撃していても、受け流されて終わりだ。だから、二人で挟み撃ちする。衝撃を逃がさないようにして、あの風船を破裂させてやろう」

「分かった!」

 葵が再び、ガッツポーズをする。

 大丈夫かなあ…… 南波の心の中で、不安が少し増大した。




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