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エイプリルフール・トゥルーストーリー  作者: 日向満家
現在 葵 高校二年生になる直前
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Scene8

 ひどく急いだ様子でわたわた走っていった恭一を尻目に帰宅した葵は、ベッドの上で今日あった出来事を思い返していた。まるで遊園地で乗ったジェットコースターみたいに目まぐるしくて、整理が追いつかない。

 朝家を出た時はこんなつもりじゃなかったのになあ。そうだ、もともと恭一を一目見れないかと家を飛び出したんだった。それに関しては遊園地デートまでこぎつけたんだから成功と言うべきだろうか。

 でも、むこうにとってはそれどころじゃなくなったみたいだし、これからどうやって関係を発展させれば良いんだろうか?

 幼い頃から有り得ないことを見倒してきた葵にとっては、今日判明した数々の驚愕の事実についてはまだ受け入れやすかった。むしろようやく今まで見てきた幻覚の原因が分かってスッキリしたくらいだ。

 ん? そういえば私にも彼と同じ力を持ってる〝資質〟があると言ってたな。葵はニヤリと笑った。いける! 共通点! 次第に恋仲になっていく会社の同僚…… うん、いける! どうにかして彼のいる組織に入ることはできないだろうか。そう思い立った葵は、着の身着のまま部屋を飛び出した。

 恭一の不思議な力を目の当たりにしたあの不思議な空間に行けば何かわかるだろう。そう思った葵は、今日恭一と出会った路地裏に行ってみたが、そこはもう葵が最初に見たような塵一つないきれいな空間ではなかった。

 小汚く、虫やネズミが横行する普通の路地で、中世風の木製の扉も跡形もなくなっている。表の店にも顔を出してみたが、例の店員に殺されそうになったので、急いで退散した。

 どうすればその組織に接近できるのだろうか。普段歩いている街中をさまよいながら、葵はこのことについて考え込んでいた。彼らの仕事は、負のエネルギーの高まりによって生じる幻の具現化を、正のエネルギーを注入することで打ち消すことだ。

 今日聞いたことをまとめる限り、彼らの仕事は確かこんなイメージだった。だから現実ではありえないような出来事が起こっているところに、彼らは来るはずだ。

 恭一が来てくれたら万々歳だが、他の人でも、捕獲して尋問すれば良い。絶対に恭一までたどり着いてみせる。葵はそう心に誓った。

 エイプリルフールとはいっても、もう午後五時を回っている。最近はエイプリルフールで嘘をついても良いというのは午前中に限るという風潮があるから、この現象もだいぶ少なくなっているだろう。



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