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十年前   葵 小学一年生になる直前

 その日は四月一日―エイプリルフールといううそをついても良い日であると知ったのは昨年のことだった―引っ越しの日だ。

 前に通っていた幼稚園でも周囲にそれほど馴染めず、仲の良い友達は遂にできなかった。

 だが、それでも、これから通うことになる小学校に知っている人が誰もいないのは心細かった。

 それが見えたのは、一旦新しい家に寄って最後に残った荷物を置き、これから通うことになる小学校に挨拶に行った帰りのことだった。

 お父さんが運転する車のうしろに座って、斜めにかかったシートベルトに頭を預けてうとうとしていた葵は、ふと窓の外を見た。

 

 するとよく晴れた空に、引っ越したばかりの十階建てのマンションよりも大きな風船のようなものが浮かんでいた。

 大きな目と口。鼻の代わりには、一本の長いつのが生えている。丁度良い水の量で溶かした絵の具で描いたときのような、鮮やかな黄色だった。

 あれは何だろう? 葵は少しぼやけていた目をこすった。

 しかし、次に空を見たときには、その物体は跡形もなく消えていた。気のせいだったのだろうか? きっと、夢だったのだろう。

 そのまま頭を起こすこともなく、葵は再び眠りに落ちていった。



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