年齢確認
「年齢を確認できる身分証明書等はお持ちですか?」
この歳になって年齢確認されるとは思わなかった私は困惑した。もちろん免許証なり保険証なりを持ってはいるがアラサーの私を未成年に見違う目の前の相手に対して困惑していた。
とはいえ、見せろと言われているものを拒むのも面倒なので顔写真付きの免許証を差し出した。
「これでいですか?」
相手は受け取ると生年月日の所をじっくりと見た。
「ふむ、今年で28ですか・・・」
相手の品定めをするような口調に一抹の苛立ちを感じた私は自然と言葉にとげとげしさを孕んでいた。
「何か問題でも?」
「はい、ここはあなたが来るには早すぎたようです」
「は?」
三十手前に対し早すぎるというのはいったいどういう事だろうか。私の苛立ちは増すばかりだった。
「どういうことですか?」
「細かい年数は言えませんがあなたの最期はまだ先ですので」
相手の言葉に私の頭に上っていた血の気も引いた。