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私は普通を諦めない  作者: 星野桜
第四章
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それぞれの進捗

 後日、作戦会議のためにウィルド様の部屋に集まったのはウィルド様、シーくん、ルイス様、ティア、クロス様。ルイス様は前もってシーくんから説明を受けていたみたいだけど、実際にウィルド様の部屋入ってクロス様を見たらキャパオーバーだったのか、しばらく気を失っていた。ティアなんて集まった人たちを見てフリーズした後、部屋の隅でしばらく震えていた。……なんか、本当に巻き込んでしまって申し訳ない。必死に謝ったが、ティアは謝ることじゃないよ、と笑ってくれた。表情筋は上手く動いてなかったけど。

 その2人が落ち着くのを待ってから、それぞれの進捗状況を話した。



「……と、いうわけで。私はこの方法で行きたいと思います!」



 私が話したのは、作戦……とも言えないような単純なものだ。創った魔法と共にみんなに話すと、クロス様以外の全員が絶句していた。……ウィルド様は楽しそうだったけど。



「思いついても普通やろうとは思わないだろ。その後のことは考えているのか?失敗すれば間違いなく不敬罪で処刑だぞ。」



 シーくんは、呆然としながらそう言った。もちろん、そんなことは私も分かってる。



「でも、他に思いつかなかったの。ユージン陛下は佐藤瑠奈(わたし)を殺している。その罪を法律で裁くことはできない。ならせめて、これぐらいはやったって許されるでしょ。それに、この作戦が上手くいけば戦争は確実に回避できる。

少なくとも……ユージン陛下がシュバイツオーケノア王国の国王でいる限りは。」



「だが!それでお前に何かあったらどうするんだ!俺は、お前がいるからここまできたんだ!お前がいなければ何の意味もない!!その作戦なら、俺が、」



「それは駄目。」



 シーくんが、必死にそう訴えてくる。私を心配してくれているのも分かる。でも、これは私がやるから意味があるし、今の私は何の力もないただの平民だならこそリスクも少ない。王太子がこの作戦を実行した、となれば、成功しても失敗しても、とてつもない国際問題になる。



「……大丈夫。」



 だから、私にやらせてほしい。私は、真っ直ぐにシーくんを見つめる。



「私は、2度も殺される気はない。」



「……っ!」



「それに、これ以上ユージン陛下に人を殺させるつもりもない。」



 私がそう言うと、シーくんは顔を歪ませて両手を強く握った。



「さあシェイド、どうする。国王は全てをお前に一任している。ルナ嬢の意見に乗るか、他の案を考えるか。お前が決めろ。」



「……分かった。それでいこう。」



「ありがとう。絶対成功させるよ。」



 シーくんに安心して欲しくて笑ったけど、シーくんの表情は暗いままだった。











 私の作戦の決行許可をもらった後、他の人の状況を教えてもらった。



「あ、あの、私は、あの、魔法汚染を治療する、治療薬の、試作はできました。あとは、あの、細かい調整をすれば、その、か、完成いたし、ます。」



「本当に!?」



 ティアの言葉に、私は思わず泣きそうになってしまった。

 あれから、こまめにスマ本から得られるリオの情報を追っていた。まだ命は尽きてはいないけれど、リオは相変わらず意識は戻っていないらしい。状態は深刻だと報道されていて、厳しい状態だということは分かった。しかも、実際にリオを診察することは出来ず、報道されている情報しか得ることができない。

 それを治すわけだから、ティアには本当に大変なことを任せてしまった、あんな頼み方をしたら断れないのに無茶なことお願いてしまった、と本当に申し訳なく思った。ティアには、無理なら断ってもいい、と伝えようと思ったけどティアはあれからシーくんが用意した研究室にこもって研究に打ち込んでくれていたみたいで会うことができなかった。



「ティア、本当にありがとう……!」



 でも、ティアはやってくれた。それも、こんなすぐに。本当に、感謝してもしきれない。



「そんな、いいの!私、完成まで頑張るね!」



「ありがとう……!!」



 いい子すぎて、私はティアのためなら何でもしよう、と決めた瞬間だった。










 「シュバイツオーケノア王国との交渉の結果、10日後に再びユージン陛下がエリュシオン王立魔法学校に来ることとなった。そこで、こちらは和平条約の継続を求めるつもりだ。

そして、向こうは条件としてルナの同席を求めてきた。」



「10日後……。」



 また、あの琥珀色の瞳と目を合わせなければいけないと考えると心臓が痛くなる。でも、あの時とは違って私はこの痛みの理由を知っている。



「それから、もうひとつ条件を提示されたんだが……やってくれるか?ルナ。」



「もちろん、私が出来ることなら、何でもするよ。出来ないことでも、全力を尽くす。」



 ユージン陛下がここまでするのは、私の存在が原因だと分かった。私が原因なのに、みんなここまでしてくれた。私はそれ以上に頑張れないと、私は自分を許せない。

 それに、無茶な作戦を決行する許可ももらった。どんなことでも、出来るようにする覚悟はあった。



 でも、そんな私の決意とは裏腹に、告げられたのは全く予想もしていなかったことだった。














「ユージン陛下は、ルナのライブを見たいそうだ。」



………いや、なんでそうなった。












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