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私は普通を諦めない  作者: 星野桜
第四章
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魔法の法則

 クロス様に私のやりたい魔法について詳しく話し、改めて協力してくれることになった。もしかしたら、そんな魔法が過去にあったり……と、考える時間の短縮に望みをかけたが、そんなものはない、と一刀両断されてしまった。



 ということで、今私はその魔法について必死に考えていた。相変わらずクロス様は何のアイデアも出してくれないのて自分で考えなければいけない。



「そもそも、魔法と呪文の仕組みってどうなっているんでしょうか。授業では、基本的な魔法の呪文はクロス様が神託してくれた、と教わったのですが。」



「覚えがない。」



「基本の呪文ですよ。火の呪文は《アイ》、水は《ユラ》。風は《ハク》で、地は《バフ》、空は《ヨリ》。短くて分かりやすいんですど、魔法の発動と何か関連があるんですか?」



 授業で習ったこと以上に、魔法に何らかの法則があるなら、それに乗っ取って魔法を創らなきゃいけない。時間もないし、ある意味魔法の始祖ともいえるクロス様に相談するのが1番早い。そう考えた私は、初めて魔法を習った時から疑問に思っていたことを聞いてみることにした。

 ちなみに、この質問を先生にしてみたこともあったけど、信じられないものを見るような目で見られて終わった。シーくんにも聞いてみたけど、目を見開いた後に考えたこともなかった、と言っていた。この国の人たちにとって、クロス様の言葉は絶対でそこには何の疑問の余地もないのだろう。



「それならば覚えがある。」



「あ、思い出しましたか?」



「ああ。」



「何か、魔法の発動条件と関係があるんですか?」



 私は、こんな状況だけど魔法の秘密が紐解けるようで、わくわくしていた。



「意味はない。」



「え?」



「何か言えと言われた。故に言った。魔法との関連はない。魔法の発動に言葉は必要ない。」



……もっとよく考えるべきだった。だってこの神様は、人との違いが分からないからって適当に第一子を選ぶような存在だ。神託、と言われたって人が思ってるほど神様は何も考えてないし、深い意味はない。神様という存在は想像していたよりもずっといい加減だ。



「……ちなみに、火の呪文のはなんで《アイ》なんですか?」



「火の魔法に触れてあついと言った。」



「触れて……あつい、っていうか、あっちい!みたいな感じですか?だから《アイ》?」



「そうだ。」



……どうしよう、思った以上にそのままの理由すぎた。



「じゃあ、水の《ユラ》は?」



「池の水面がゆらめいていた。」



「……風は?」



「風魔法を使ったら目の前のこどもがくしゃみをした。」



「ハクション、の《ハク?》」



「そうだ。」



 神様とハクションのミスマッチが凄すぎて信じられないけど目の前のクロス様は大真面目だ。というか、ハクションて日本だけの表現じゃなかったっけ?この世界のくしゃみの擬音もハクションなんだろうか?あとでシーくんに聞いてみよう。



「……じゃあ、地と空は?」



「畑を耕すときに馬糞をつかっていた。空はその日の空模様だ。」



……馬糞の《バフ》と、どんよりの《ヨリ》ってことか。なんというか、知ってしまえばなんてことない話だった。というか、クロス様意外と決め方かわいいな。

 

 あと、勝手に魔法が授けられたのはもっと神話レベルに昔の話だと思ってたんだけど畑に馬糞を使ってたり擬音が使われてたりと、意外とそんな昔ではない?



「というか、もしかして魔法の発動に呪文って絶対条件じゃないんですか?」



「絶対ではない。」



……でも、この世界では属性、呪文は魔法の発動に必須の条件だ。



「もしかして……そう、信じてるから……いや、思い込んでるから、ですか?」



 私が対属性魔法の刑にされた時、私は月属性だけど昼間に魔法が使えた。それは、月が昼間も出ていると信じていたから。

 実際はどうか分からないけど、私は昼間も月はあると信じていて、魔法が使えた。この国の人たちは月は夜しか出ていないと信じて……いや、思い込んでいた。だから使えなかった。



 だって神託があったから。



 虹やプラネタリウムを出した時はとにかく必死でそこまで考えてなかったけど、割と習った魔法の法則は無視していたと思う。それでも私はできると信じていたし、出来ないわけがないという自信があったら。そして、実際に出来た。



「……もしかして魔法って、創造力と思い込みさえあれば何でも出来たりします?」



「与えたのは魔力のみ。あとは人の子が決めること。」



 帰ってきたのは、私の考えに対する肯定の返事だった。



……それなら、できる。









 だって、創造力を形にすることはアイドルを愛してきた私の得意分野だから。






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