壮大な
私の存在が、様々な人の人生を変えてしまった。罪悪感に押しつぶされそうになる。このまま落ちていきそうな思考を、深呼吸することでなんとか押し留める。
……よく考えたら、私そこまで悪くないよね?悪いのは、私を殺したユージン陛下と、その他諸々やらかした神様たちじゃない?私はただ、よく分からないままユージン陛下に気に入られちゃっただけだよね?
……私の美しさが罪なのね。
なんて、くだらないこと考えたら少し思考が落ち着いた。そもそも私は、一目惚れされるほどの美形じゃないし。ユージン陛下が私のどこを気に入ったのか知らないけど、本当に良い迷惑だ。
この世界でのお父さんとお母さんには、これからめいっぱい親孝行をする。助けてくれたガラク村の人たちのためにも、たくさん働く。人生を変えてしまった償いだってする。
でも、私よりも償いをするべき人が他にいる。まずは、それの方を付ける。あれもこれも考えたって、どうにもならないものはどうにもならないんだから、今はそれだけを考えろ。
改めて、敵であるオーケノア様の情報をスマ本で調べる。あくまでも神を偶像とした私の世界での知識だから、いろいろ想像も混ざっているのかもしれないけど、調べて損はないはずだ。
「……クロス様って、オーケノア様の弟なんですか?」
色々見たけど、神話なんて自分と関わりなさすぎてよく頭に入ってこない中、唯一目に留まった情報について確認すると、相変わらず表情が全く変わらないながらも、少しだけクロス様の空気が変わったのを感じた。
「人間の理とは異なる。」
「じゃあ、人間の理に当てはめたら?」
「差異はない。」
分かりにくい答えだな。つまりは、弟という認識でも間違いではないってことだろう。
……まって。ということは、ある意味これは兄弟喧嘩?規模デカすぎるけど。
とりあえず、それについては深く考えないことにして、これからやるべきことを再び整理しよう。
「まず、リオを助ける方法を教えてください。リオの命を握られているままじゃ、私は何もできません。」
いろいろあっていっぱいいっぱいだけど、大前提として今私は人質を取られている状態だ。最初は前の世界の人を助け出す術なんてなかったけど、クロス様が味方に……?味方?まぁ、とりあえずこっちに来てくれたのならきっと救える術はある。
「世界を渡る術は与える。」
「はい、お願いします。」
「………」
「………え?それだけですか?」
「他に何を望む。」
「リオは今意識不明の重体らしいんです。原因不明の奇病としか情報はないけど、奇病なんて書かれ方をしてるってことは、前世の世界の医学では説明できない状況だと思います。だから、リオが元気になって、なおかつ安全が確保されない限り私は安心して動けません。」
だってリオは、国民的トップアイドルなのだから。リオの存在は、もうリオだけのものではない。数えきれないぐらいの人達の人生に、大きく関わってくる。
でも、だからといって今生きているこの世界を捨てるつもりも毛頭ない。
「リオの安全が確保されたら、この国との戦争を回避するために動きます。」
「おや。随分と強気だね。すでに方法を考えついているかのようだ。」
足を組みながらそう言ったウィルド様に、私は笑顔で答えた。
「それをこれから考えるんですよ。一緒に、頑張りましょう。……もちろん、クロス様も一緒にね。」
だってこれは、私だけの戦いではないのだから。
壮大な兄弟喧嘩に巻き込まれたからには、きっちり協力してもらうからね!




