一緒に
シーくんのお兄さんと連絡が取れたため、私とシーくんはお城に向かうことになった。混乱を極める学校をこのまま放置するわけにはいかないということで、ルイス様はこのまま学校に残るそうだ。
「時間がない。魔法で行くぞ。」
「了解です!」
シーくんはともかく、私が王宮へ入るとなるといろいろと面倒なことになるから、魔法でこっそり入ることになった。
シーくんが杖を出して、軽く振ると、いつの間にか豪華な部屋の前にいた。この魔法便利だな。前世で遅刻しそうな時何度欲しいと思ったことか……。
「失礼いたします、シェイドです。ルナ・ハリスを連れて参りました。」
シーくんがとても豪華な扉をノックする。その瞬間、私の体に緊張が走った。第一王子様について、私が知っているのは人伝に聞いた評判だけだ。
曰く、シーくんが王太子に選ばれるまでは誰もがウィルド様が次期国王だと疑わなかったほど優秀な人格者だったそうだ。
そもそもこの国は、生まれた順番を何よりも重要視している。建国した当初、神クロス様は王家だけではなく全ての貴族の次期当主を信託によって決めていた。そして、そこで必ず第一子が選ばれていたことから、第一子こそ神に選ばれた存在だという考え方が広まった……ということらしい。
そんな考えが根底にある国で、第五子であり、第二王子であるシーくんが信託によって選ばれたことはかなり衝撃的なニュースだった。今でこそ、シーくんをおいて他にこの国の次期国王になる人はいない、との評価を受けているシーくんだけど、信託直後の周囲の反応はかなり厳しいものがあったのだろうと、当時の記録やルイス様の話から想像がつく。
それでも、王太子として認められるために持てる才能の全てを活かし、あらゆる努力をしてきたシーくんは本当にすごいと思う。
一方で、自分が選ばれなかったウィルド様は一体何を思っていたんだろう。シーくんの反応を見るかぎりでは、口を聞きたくないほど険悪という感じでは無さそうだけど……。
それに、どうして私の前世の名前を知っているのかも分からない。自分のことなのに、分からないことだらけで不安と恐怖ばかりが大きくなっていく。
……これだけ考えても分からないことは、もうどうしたって分からない。答えを知るためには、知っている人に聞くしかない。この不安と恐怖をどうにかするには、自ら渦中に飛び込んでいくしかないのだ。
「ルナ。」
「……うん。」
それでも、シーくんは一緒に飛び込んでくれる。だから大丈夫だと深呼吸をして、ゆっくりと開いていく扉の向こうを見つめた。
「やあやあよく来たね、シェイド。やっと私の実験に協力する気になったんだね。嬉しいよ。ああ、先程提供してくれた魔力はきちんと有効活用するから安心したまえ。」
「……協力はしません。」
………ん?




