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私は普通を諦めない  作者: 星野桜
第一章
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改めまして

「黙って聞いてればなんなの!?私は!あなたが倒れたまま動かなかったからここに連れてきてあげたの!

もう暗くなってたから、このままだと虫とか動物とかに襲われちゃうかなって思って、大変な思いしてここまで運んできたの!!

それなのにありがとうの一言もなく、人のこと奴隷だ人攫いだって!!

それに!!この子たちは奴隷じゃない!!アイドルっていう、世界中で最も尊い存在なの!!

失礼なこと言わないで!!

ほんっとに!あんた何様のつもりよ!!」



「何様って……俺のこと、知らないのか?」



「知らないわよあんたなんか!!」



「……そうか。」



 それ以降、目の前のこいつは黙り込んだ。

 言いたいことを言った私も、黙り込む。



……そういえば、こんなに怒鳴ったのははこの世界に来てから初めてかもしれない。

かなりスッキリした。

スッキリしたらお腹が空いた。お腹はいつもペコペコだけど、怒鳴ると体力消費が激しい。生き残るためにも、今後は気をつけよう。



 さて、尊い尊いアイドルたちにあんな発言したのは許せないが、これがこの世界の常識だというのなら、ちょっと私も大人気なかったかもしれない。



「で、あなたはなんでこんな所にいるの?迷子?」



「迷子じゃない。」



「そう。このままここに泊まっても大丈夫なの?そんな綺麗な服着てるってことは、この辺の村の人じゃないでしょう?あなたのこと、心配して探してるんじゃない?

気絶してたんだし、ここにはちゃんとした医療を受けられるような場所もない。今日はしょうがないとしても、明日には帰ったほうがいいんじゃない?」



この綺麗な身なりといい、不遜な態度といい、自分のことを知っているであろうという傲りといい、明らかにいい所のお家のお坊ちゃんだ。

絶対、いなくなったら心配される立場にいる人間だと思う。



「体調は問題ない。お前こそ、なんでこんな所にいる。この森がどんな場所か知らないのか?」



「この森?知らない。私が魔法具召喚の儀でのこの耳飾りを召喚しちゃって、村の外にバレてしまったら大変だからって、村長さんが子供の頃に見つけたこの小屋に来ることになったの。

ここに来て、もう3ヶ月になるかな?」



「……この森は、王族を処刑する処刑場だぞ。」



「へぇ……処刑場……え゛?」



 衝撃の事実。

え、大丈夫だよね?この世界って、魔法はあるけど幽霊はでたりしないよね?一気にここにいるのが怖くなったじゃん!



「まさか、森の物食べたりしてないだろうな?」



「してないよ。毒だもん。」



「へぇ、知識はあるんだな。しかも、よく3ヶ月も持ったな。まだ子供なのに。」



 ……子供に子供と言われた。



「なんで、この森が処刑場なの?小屋まであるし……ま、まさか、この小屋で処刑が行われていた……とか?」



「いや、ここは罪を犯した王族が送られる場所なんだ。

処刑は本来魔法によって行われるが、この国の魔法は全てクロス様からいただいたお力だ。クロス様の御加護を受けている王族を、魔法で処刑することは神に背く行いだ。

だから、この森に送られる。何も持たずにこの森に送られた王族は、やがて空腹に耐えかねてこの森のものを食べ、毒によって天に召される。

そのために、この森には毒のあるものしかないんだよ。」



 なんてこった。

 本当に呪われた(物理)土地だった。

 私これ、スマ本がなかったら今ごろあの世行きだったよね。



「ん?ということは、あなたも王族?何が悪いことでもしたの?」



「……違う。ここなら誰も来ないと思って逃げてきたんだよ。」



「何から?」



「………」



 その質問に、目の前の彼は黙り込んでしまった。

聞かれたくないことだったのかもしれない。

私は、前世も今世も一般階級の人間だから、彼のような上流階級の人間の事情はよくわからない。

いろいろあるのだろう。聞きすぎるのもプライバシーの侵害になりかねない。



「ごめんね、踏み込みすぎた?言いたくないならいいよ。」



「……とにかく、俺はしばらくここにいる。お前もここにいることを許そう。」



……後から来たくせに偉そうだな。



 まぁ、今の話が本当なら、この小屋はガラク村のものじゃないし、よそ者はこっちだ。



「うん、ありがとう。あ、でもしばらく一緒にいるなら名前だけでも教えてよ。本名が嫌なら偽名でもいいからさ。

改めて、こんにちは。私の名前はルナ・ハリス。ガラク村の出身で、今は6歳。あなたは?」



「シーだ。……年は10歳。」



……なんてこった。もっと上だと思ってた。

この国の人たちは日本人から見たらかなり上に見える。



「……あの、さっきは怒鳴ってごめんね、シーくん。」



「は……?」



10歳の子に対して、私本当に大人気なかったかったです。反省。








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