22 授業終わり後
そういえば、日付を確認していなかったことを僕は思い出した。僕は、今日の日付を先生に聞いてみた。
「今日は2309年5月20日ですよ」
日本の5月に比べて、少しばかり涼しい気がする。地形の関係で、1年通してそこまで温度が変わらない(といっても、夏場は30度弱、冬場は15度程度には変わるらしい)と話してくれた。日付のシステムも日本と若干違うことはあるが、そこまで大きく変わるということもなく、無事に過ごすことができるようではあった。
今日は、授業と言っても特に授業らしいことはしなかった。色々と質問をしてしまったが、先生は特に困惑する様子もなく答えてくれた。今は16時。先生は言語について、様々な雑談を交えながら教えていくスタイルのようだった。
色々先生からの話を聞いて分かったことは、住み心地としては日本とあまり変わらなさそうだということだ。魚介類こそないものの納豆も米も味噌汁もみかんもある。贅沢をしなければ、それなりに満たされることは可能そうではあった。
僕は泊まる部屋へと戻っていった。予定通り、僕は相川と街を散策することに決めた。
時計は持っていないが、公園には時計があり、時間を知ることができる。18時半までに戻ってくればOKなので、あと2時間半ほどは散策をすることができる。僕は、施設を出て周りを歩き始めた。
遠くに城壁が見えることを除けば、本当に町並みは日本とあまり変わらない。7階建てのマンションもあるし、一軒家もある。レストランのような施設や、ゲームセンターを内包するショッピングモールもあるようだ。
僕たちは1時間余りあたりを探索したあと、元の施設に戻ってきた。僕たちはそれぞれ自分の部屋へと戻った。
部屋にいる9人はそれぞれ本を読んだり、オセロのようなボードゲームやトランプなどで時間をつぶしている。僕は、本を読んでいる子(向坂くん)に、その本をどこで入手したのか聞いてみた。
彼は、1階にある図書室のような場所で借りれるよ、と教えてくれた。僕はそこに行ってみた。
図書室は決して広くはないが狭くもない。本がたくさんあり、時間をつぶせそうなものもある。多くの書籍は城平語で記されており、立ち読みしてみた感じだと「何について書かれている本なのかはわかるが、内容は分からない」といったものが多い印象だ。
図書室を散策していると、ひらがなが用いられているタイトルの本を発見した。題名は「海島の図帳」。表紙には先ほど先生に見せてもらった「ワンダトゥスィシマ」の全貌が書かれている。どうやら、海島と書いて「ワンダトゥスィマ」と読むようだ。
となると、スィマは島に対応するのだろう。そして、海と書いて「ワンダトゥ」と読むようだ、ということが分かった。
僕はそれを手に取って、軽く立ち読みしてみた。
見た感じ、地図帳のようだ。少しばかり独特な地名があるが、全体的に日本にあってもおかしくないような地名で構成されていることが確認できた。
日本でいう本州にあたりそうな、細長くて折れ曲がった形状をしている島は「幹州」、そして北海道にあたる地名は「北辰道」、九州にあたりそうな島(孫偉半島から最も近い島)は「仙州」。四国にあたる(と言っていいのか不明だが、湾の内部にある)島を湾州、そして日本には対応する島がなさそうな、右下にある島を寧州というようだ。
読みは不明だが、地図をぼーっと見てみた感じ「日本語では使われないひらがな・漢字」の類のものはなさそうだ。「尾上スカイパレット」という駅があるようだが、これは日本語としても何となく意味が想像つく。基本的には発音が違うのみで、そこまで文法が変わっていそうな印象は受けなかった。
僕は、将来はそこに行きたいなという何となくレベルの思いが、少しずつ願望へと変わっていくのを感じた。




