14 睡眠
消灯は22時。しかし、実際はそれぞれのベッドに入った後喋りながら寝るので、実際に睡眠に落ちるのはだいたい23~24時くらいのようだ。彼らは、「寝たい人は妨げない」というポリシーのもとでしゃべっているらしい。
正直、僕はこの世界に来ても眠気はあるし、寝ないと疲れる。しかし、1人の男子は「この世界に来てから眠気がない。寝れないわけじゃないけど、寝なくても大丈夫」という人がいた。
彼は、自分を向坂大翔っていいます、徳島県のほうから来ていますと自己紹介した。身長は僕より少し高いくらいだから、だいたい180cm弱だろう。彼は「川で泳いでいるところで溺れて、気が付いたらここにいた」と話していた。
年齢を聞いてみたら、高1だといっていた。僕と同い年のようだ。僕は、ここにいるみんなに年齢を聞いてみた。結果わかったことは、どうやら、だいたい高1で、大村くんだけ中3だ、ということだ。似たような年齢の人を集めているからだろう。
僕は、年齢がちかい子が多くて安心した。彼らも僕をのけ者にしているような感じはしない。どうしてかわからないが、すぐに打ち明けられた気がした。
向坂くんは、徳島からきましたといっているが、話し方には方言のようなものは感じ取れない。標準語だ。僕は、彼に元居た世界で何をしていたか聞いてみた。
「俺は吹奏楽部でフルートを吹いてました」
僕は帰宅部で、特に何をしていたとかはない。少し、彼がうらやましくなった。そういえば、この世界の音楽ってどんな感じなんだろう。僕はそれについて聞いてみた。
「たまに街の中で流れてますけど、日本の歌と同じ感じ、言葉は違いますけどね」
僕は、なるほど、としか言うことができなかった。特に何もすることがなかった・何もできそうになかったので、まだ部屋は明るいが、僕はもう眠りにつくことにした。
「僕のベッドってどれなんですか?」
部屋には二段ベッドが7個ある。
「渡辺のは左から2番目の上の段だよ」
僕は、ありがとう、といってそのベッドに横になった。自分の頭あたりの横に窓があり、そこから外が見える。見た感じだが、空は晴れているようだ。夜空は満点の星で埋め尽くされているが、地球から見えるものと同じなのかは、ぼくにはわからなかった。
消灯前、まだ20時だが、もう疲れていた僕は眠りについた。布団の材質や枕の反発は、元居た世界のものとあまり変わりない。不安もあったが、疲れていた僕は何も疑うことなく眠りについた。
「起きて、朝だよ!」
向坂くんが起こしてくれた。良く寝た。時計を見ると、6時になっている。日は完全にのぼっているようで外は明るい。城壁があるといってもそこまで高いわけではないので、太陽が視認できた。
僕は、軽く運動としてストレッチを行った。