第96話
謎に腹が減る刻蝋値少年が向かう星は…………
第96話 腹が減って仕方ねぇ! だったら暴食の星に行くまでだぜ!
刻蝋値「……腹へったぁーーー!!!」
俺の名は刻蝋値! ゴキブリだ。最近の悩みは……食っても食っても腹が減る事だ。何故か腹減りが止まらないんだ。1週間前に封印したオナラも妙にたまって、そろそろ限界だし…………
ルビー「刻蝋値様、その……いい加減食べるのを止めていただけますか……」
ニクス「グァオオオオーーーー!!!」
食料管理部のルビーと俺のせいでありったけの肉に食らいつけないニクスが怒っているようだ。
刻蝋値「ニクスすまん、直ぐにモンスター狩ってくるから期限直して!」
ニクス「ガウッ!」
俺は10秒で手頃な獲物を持ち帰ってきた。
ニクス「ゴロゴロゴロ……」
猫科特有の安心時にならす喉の音を立てながら、モンスターを食らい始めた。
刻蝋値「すまんなぁ、俺も何でこんなに腹が減るのかわかんねぇんだよ」
ルビー「……冗談抜きで手を打たなければ飢饉に陥りますよ」
2人してニクスを撫でながら悩んだ。
インフィニティ「ハッ!お前ごときのドカ食いなんざ、ベルゼブブ様に比べりゃ可愛いもんだぜ!」
刻蝋値「お? 最上級魔王か?」
インフィニティ「ああ、あまりの暴食ぶりに、アホみてぇに肥沃な星に軟禁されているぜ!!」
刻蝋値「よし!! その星に行くぞ!!!」
インフィニティ「いきなりだな!?」
ルビー「フフ、こういう方です」
刻蝋値「よし、今回のメンツはルビー、ニクスに加え、筋肉育てたい連中全てを連れてくか」
俺はそう言って、おもむろに端末を取り出した。
刻蝋値「……あー、もしもし! 刻蝋値だ。……おう、お前の仲間のサムとフォールを貸して欲しいんだけど…………増量にぴったしな星が見つかってな!」
ま、そんなこんなでメンツを揃えてみたぜ!
ガーネット「えらくむさ苦しくなったな。けど……」
視線の先には刻蝋値を凌ぐガタイを持つバレットがいた。
バレット「な、何だ? 服なら後ろ前あってるぞ?」
明らかに戸惑っているようだ。
ガーネット「いーや、何でもねぇ!」
ダイア「出たよ。ろうち以上の筋肉量だもんね。仕方ないか」
フォール「ふん、まるで攻撃しか考えていねぇ人選だな」
サム「増量しやすいのは有り難いが、暑苦しくてかなわんな」
ルビー「私達だけ場違いですね……」
エマ「そうだよね~。押し潰されちゃいそう!」
刻蝋値「確かにな~。エミ、平気か?」
エマ「エマだよ! うん、大丈夫。刻蝋値兄ちゃんがいれば、押し潰されることはないもん!」
刻蝋値「そっか。それじゃ、行くぜ!!」
ラビとライトが共同でバージョンアップした宇宙船に乗り、宇宙1肥沃な星、サタデースターに出発だ!!
~サタデースター~
刻蝋値「いやー、こんなに早く10万光年先につくなんてな!」
ほぼ一瞬でサタデースターに到着したのだ。
ガーネット「ローチ!」
刻蝋値「ん? どうした」
ガーネット「どうやったらバレットに触れるんだ? あいつ、あたしのこと羽虫みたいに避けやがるんだよ!」
刻蝋値「あー……アイツはあれでキレイ好きだからなぁ…………殴り合い以外で他人と触れるのは嫌いなんだよ」
ガーネット「だけど……最近のローチもだけど、何でこう……人間を見る目がどこか犬や猫を見るような目になってるんだ?」
刻蝋値「バレットは兎も角として……(少し困ったなぁ)」
そう、最近気づき始めたことだが、俺は人間の容姿に対してあまり感情を抱けなくなったのだ。正確には、スーパーモデルクラスの美女が裸で目の前に居ようとも、欲情しなくなったのだ。以前は人間だった頃の記憶が鮮明だったからか、人間の美女を見るたび鼻の下を伸ばしていたのだが、今じゃあ「あ、可愛いな」位の感想しか浮かばなくなってやがる…………所詮は異種族同士という訳だ。
バレット「そりゃそうだろ。異種族とむやみに触れあったら、変な風邪とかひいちまうだろ」
ガーネット「こんな立派な筋肉を持ってるやつが風邪なんか引くかよ!」
フォール「サムはしょっちゅう体調崩すがな!」
サム「おいっ…」
ガーネット「そうそう! 手合わせでウィントに凍りつかされて、風邪引いて……移動中に情けなくあたしの肩を借りてたなぁ!」
サム「てめぇ……覚えてろよ」
刻蝋値「お前らも色々楽しくやってたんだなぁ。傭兵団長として隊員を楽しませてくれた事には感謝の念しかねぇぜ! 帰ったらウィントに伝えてくれよな」
フォール「おう、任せろ」
バレット「お、早速モンスターのお出ましだぜ」
バレットが指差した方向には、体高10mはある猪が今にも突進してきそうなオーラを発していた。
刻蝋値「よし、飯一号だな。ルビー、今からメニューを考えといてくれ」
ルビー「はい!」
猪が突進してきた! と、同時に横から現れた何かに丸飲みされた。
ダイア「あれ……? 確か古代の魔物でこんなのが」
刻蝋値「Tレックスだな」
体高50mはあるTレックス……ならぬ、GTレックスが俺たちを見ながらヨダレを垂らしていた。
サム「手応えがありそうだ」
フォール「ガーネット、お前も手伝え!」
ガーネット「おう、さっさと食肉にしてやろうぜ!」
ダイア「武術は通じないけど……最大火力の攻撃は効くかも……」
それぞれが身構えた……が
バレット「グングニール!!」
バレットの拳1発でGTレックスは沈んでしまった。
ダイア「あらら、終わったね。ん?」
ガーネット「…………スゲェ。バレット! 頼むから抱きつかせろよーー!!」
バレット「よ、よせ! 近づくな!」
謎のおいかけっこが始まった。
刻蝋値「何度も言うが、アイツは潔癖症なんだ。たとえば、俺がフレイムスターで倒しまくった黒ゴキの糞を触った手で、バレットの武器を使っただけで」
皆「それはお前が不潔なだけだ」
刻蝋値「…………そうか」
屁の事といい、最近の俺はどうもおかしい。今のGTレックスだって……
ルビー「……全部食べないでくださいよぉ。料理出来なくなっちゃいましたよ…………」
残すと決めた分まで食っちまったのだ。
刻蝋値「う~ん、こんなのがたくさんあるから、また狩れば良いよ」
第97話 ハンティングアーンドイーティング!!に続く。




