第94話
明日から更に忙しくなり、投稿速度が更に落ちるかもです……変わりに近々刻蝋値の人馬形態を挿し絵にします。お楽しみに!
第94話 呪いごと消し去るまでだ!
マモン「ぐうっ!……ここは、カーススターの地表か。あまりに暗すぎて着地に失敗したか……」
マモンは地表にマッハ100でぶつかったらしい。
マモン「あやつもじきにやって来る。迎え撃つ対策を練らねばな……」
~カーススター・大気圏~
刻蝋値「……繋がらねぇな」
俺は自分の端末から、しっかり者のポイズンの端末へコールを送っているのだが、いっこうに応答する気配がない。
刻蝋値「プラズマ発生しとるとはいえ、プラズマの阻害を受けない電波を発しているから、問題ないはずなんだけどなぁ……」
この星には大気があるので、俺ぐらいアホみたいな速度で動くと、大規模なプラズマが発生してしまう。ただ、その対策をしているため、これに関しては問題が無い筈だ。
刻蝋値「あいつらに何かあったのか!?……いやいや」
山が崩れるくらいなら蜘蛛コンビが糸で支えるだろうし、インフィニティは埋まっても何か起きる訳じゃない。裏切り? したところで今の俺に敵わないことぐらいあいつも分かっている筈だ。オナラだって誰も居ないところでこいた。……とすると
刻蝋値「流石に身勝手すぎてあきれられたのかな。後で謝っとくか…………さーて、気持ちを切り替えて」
俺は真下を見据えた。ゴキブリは暗所でも物をはっきりと見ることが出来るので、趣味の悪い金色の体を持つマモンがくっきりと見える。
刻蝋値「メタンチャージ、獣形態になって回転……ドリルメテオ・ハイドレードストライク!!」
マモン「ゴアアッ!!!」
オナラをチャージし、流線型の獣形態に変身した後、水平方向に高速回転して大気による減速を最小限に抑える。そしてオナラをぶっぱなして超加速し、突撃ッ!!!
マッハ111のドリルアタックは奴の胴体を貫通し、大地を蒸発させながら地下深くまで潜ることとなった。
刻蝋値「やり過ぎたかっ、戻るぜ!」
俺は素早くマモンの元へと戻った。
マモン「ぐぅ、してやられたわ。この星には人の欲望が向くものが無いらしいな」
刻蝋値「だから趣味の悪い鎧を犠牲に体を再生せざるおえなかったと」
マモン「いかにも。だが、こうなった我は極めて速いよ。君についてこr…」
刻蝋値「Mt.B・クロー!」
奴が駄弁っているうちに、マッハ100で距離をつめて、ひっかいてやった。
マモン「小癪な!」
……確かに凄まじいラッシュだ。インフィニティだとだいたい食らってしまうだろうが、俺はかろうじて避けきれそうだ。
刻蝋値「Mt.B・キャットパンチ!」
一撃で小振りの山を粉砕するような猫パンチで奴を殴り飛ばし、三キロ程先の山に当てて、山を粉砕した。
刻蝋値「うげっ! 何だあの黒い靄は!……呪いか?」
飛ばした奴を追いながら、得体の知れないそれについても考えた。
刻蝋値「ってかこの星って核兵器で滅ぼされた筈だよな……あんまり居ない方が良さそうだな。オラァ! マモン!!」
マモン「クソッ! ゴールドキャノン!!」
インフィニティをマッハ70でぶっ飛ばした破壊光線だが、そんなものは最早当たらない。
刻蝋値「Mt.B・クローラッシュ!! ニャニャニャニャニャニャ!!!」
何となく猫っぽく鳴きながら、乱れ引っ掻きを繰り出し……
刻蝋値「Mt.B・キャットキック!!」
仕上げの蹴りで、五キロ先の山にぶつけてやった。
マモン「ゴフッ!!……回復せねば。ドレイングリード!」
その辺の人間や物質に宿る欲望を吸収して傷を癒す技なのだが、いっこうに傷が癒えない。
マモン「……無い!」
刻蝋値「これのことか?」
口を開け、舌の上に丸い玉を乗っけた。
マモン「いつの間にブベッ!?」
刻蝋値「乱れ引っ掻きしたときに盗んだのさ。猫の盗賊だけに、ネコババってな!」
マモン「くっ!」
マモンは俺の舌に乗せた玉からエネルギーを吸収しようとしたので
刻蝋値「プッ!!!」
最高速度でマモンを通過した瞬間に、全力で吐き出して宇宙の彼方へと飛ばした。
マモン「かくなるうえは!!」
跳躍の姿勢を取ったので、すかさず真上に移動し
刻蝋値「Mt.B・スタンプ!!」
マモン「うがあっ!!」
人馬形態に変身し、前足の蹄で山をも踏み砕く一撃をお見舞い!……のみならず
刻蝋値「Mt.B・レッグ!!」
マモン「ガッ!!」
踏み付けの反作用でバック宙的な超高速回転を行いながら、亜人形態に変身し、そのまま全力で斜め下に蹴り飛ばした。
マモン「ぬうううううっ!!!」
斜め下に蹴り飛ばしたことで、奴は地面を気化させながらマッハ90で飛んでいき、また1つ呪われた山を粉砕して大減速した。
刻蝋値「まだまだぁ! Mt.B・ストライク!!」
そして俺が追い付き、追撃で別の山にぶち当てて呪いを粉砕するというルーティーンが完成した。
~1分後~
刻蝋値「うおおおっ!」
俺は仕上げとばかりに突進を繰り出す。
マモン「小癪なぁ!!」
おおっ!蹴りを食らっちまったか。だが、奴は疲弊しまくっているからか、気にするほどのダメージじゃねぇ。
刻蝋値「……そうだな。最後くらい全力で決めてやるぜ!」
俺はせめてもの礼儀として、フルドーピング状態で奴に敗北を与えることに決めた。
マモン「ゼェ……ゼェ………………え?……うっそだろおい!? まだ余力あんのかよ!!?」
対するマモンは、まさか刻蝋値がまだ力を隠していたという事実にただただ動揺するしかなかった。
刻蝋値「アルティメット・デストロイチャンネル!! 行くぜっ!!」
ATP合成、ステロイド合成……ありとあらゆる身体強化を施し、瞬時に最高速度、マッハ140まで達した。
刻蝋値「キネティック・ストライク!!!」
マモン「!!!!!!!!」
正真正銘最強の一撃はマモンの意識を瞬時に吹き飛ばし、その体も特大の呪い山に吹き飛んでいった。
刻蝋値「!、一撃で壊れねぇなら……」
それでもあのサイズの山は全てが壊れなかったので
刻蝋値「壊れるまで何億回でもぶつかってやらぁ!! オラオラオラオラオラオラオラオラァ!!!」
…………ここまで派手に動いて宇宙に放り出されなかったのは奇跡としか言いようが無いが、どうにか山を完全に破壊した。
刻蝋値「ハアッ!……ハアッ!……何とか……壊したぜ!」
そう言い終えたとたん、靄になって漂っていた呪いが1つの点に集まりだした。
刻蝋値「おっと、……何が起こるんだ?」
吸い込まれかけていたマモンを片足で押さえつつ、一点に集まる呪いを注視した。呪いの形は次第に人形になっていき…………
呪い「…………億年程たったか。我を復活させたものは誰ぞ?」
刻蝋値「多分俺だ! その辺のあんたみたいなオーラを纏った山を全部ぶっ壊してやったぜ!! そしてあんたは何者だ?」
呪い「ほぅ、貴様は魔王でも無いのに、最上級魔王に劣らない強さを持っているらしいな。名前くらい教えてやろう、我が名は邪神・アポフィス。ラーと呼ばれるクソ神に理不尽な言いがかりをつけられ、この星に封印された」
刻蝋値「……差し支えなければ、聞かせていただけますか?」
アポフィス「そうだな……貴様は我の封印を解いたし、この程度はよかろう。発端はとある娘を神々の実験に使うかどうかの議論だったな。我は純粋に1つの魂に負荷をかけすぎることは良くないという思想の元、その実験には反対したのだが、上司のラーは我の制止を押しきって実験を押し進め始めた。我もこうなった以上は素直に命令通り動いたのだが、その時の反対行為がよほど気に入らなかったのか、反逆罪でこの星に縛り付けおったわ。邪神と言えど、特に知的生命体に害を為そうとは思わん」
刻蝋値「オーラは完全に様になってますけどね……なんか、俺が保護した女の子の境遇と、話に出てきた女の子の境遇がどうも似てますね」
アポフィス「……む、それは恐らく同一人物だな」
刻蝋値「!!、だったら話は早ぇ! アポフィスさん、封印を解いたお礼に力をください! 俺はその子と強くなって、理不尽なクソ神々をぶっ殺しまくるって約束したんだ!!」
アポフィス「……他の知的生命体と比べて強いと言っても、貴様ごときでは目視する間もなく消滅させられるわ。それに、封印を解いたお礼は既にしたぞ」
刻蝋値「……まさかさっきの身の上話ですか……?」
アポフィス「そうだ。ここまで神と話せていること自体、一生分の幸運を使ったとも言える。お話もこれまでだ」
刻蝋値「今はクソザコだろうけど、筋トレで強くなってあんたの悲願を叶えますよ! だから!!」
アポフィス「さらばだ。悪質な神に見つからないことを祈ろう」
刻蝋値「だったらあんたを殺してでも強くなってやらぁ!! オラァ!!」
圧倒的強者のプレッシャーがいい意味で働き、自分でも出せると思っていなかった速度、マッハ200の突進を食らわせてやった。
刻蝋値「ぐああっ!!」
ダメージを負ったのは俺だけだった。全身複雑骨折だ。早く修復を……
アポフィス「面白い。我が力のカケラ以下のカスを見せてやろう」
対するアポフィスは、マッハ400で拳を振るい、俺を地面に叩きつけて潰れたトマトみたいにした。
アポフィス「む? 超再生型の不死身生物ではない筈だが……」
……俺にもわかんねぇよ。だけど体が再生しやがる。そして、なんとしても10ステージ以上上がらねぇとダメだとも分かるんだ!!
刻蝋値「うがあっ!!」
今度はマッハ300で突進!! 頭から胴体……ついにはケツまで潰れ、体長3センチ、縦と横が三メートル程の円盤になっちまったが、すぐに元のサイズに戻っちまった。
刻蝋値「まだまだああうん!!……動…けええええええ!!!」
アポフィスに何かされ、今度は体が動かなくなった。
アポフィス「驚いた。これはわずかばかり期待を持てるな。貴様、名は何と言う?」
刻蝋値「刻…蝋値だ! 試合はまだ終わっちゃいねえッスよ!!」
アポフィス「いや、引き分けで終わらせ、互いの望みを叶え合おう」
刻蝋値「…………と言いますと?」
アポフィス「まず貴様が欲する力だが……我が直接与えることは出来ないが、最大効率の助言なら出来る」
刻蝋値「してくれるなら願っても無いことですけど……」
アポフィス「次は我の望みだ。先程貴様がいったラーの抹殺、これが望みだ。さて、貴様がこの交換条件を飲むつもりなら、貴様にかけた束縛を解き、強くなるヒントも教えてやる。どうする?」
刻蝋値「乗った!!!」
アポフィス「交渉成立だ。今後の成長に期待しよう!」
こうして俺は邪神と契約を結んだ。やっぱり俺は王道って柄じゃねぇな!
第95話 宇宙を"蹴"って移動できるだと!?に続く。




