第85話
ここから2話はバトル回だよ~~
第85話 お前らの敗因は……地球を舐めたことだ。
俺の名は刻蝋値。ゴキブリだ。今、宇宙中の魔王をかき集めた盗賊団とチームバトルを繰り広げていて、1回戦は買ったが、2回戦に負けてしまった。ポイントとしては、俺らが2ポイント、奴等が1ポイントだ。戦闘によってポイントの高さが違い、これから行われる闘いでは3回戦と4回戦がそれぞれ1ポイント。大将戦の5回戦は4ポイントだ。一回でも負けたら大将戦に絶対勝たなければ負ける計算だから、これから闘いに行くラピスとスパークが負けようが、俺が勝てば問題ない。逆の結果だと奴等の勝ち。……だからこそ、2人には"生き延びる"事を最優先に考えてほしいと思っているのさ。さて、3回戦が始まる。
レフェリー「構えて……始め!」
ゼロ「貴様らを殺し、心臓を返してもらうぞ!!」
ラピス「焦熱砲!」
以前より格段にエネルギーの増した焦熱砲でゼロの胴体に風穴を開ける。
ラピス「…………」
~回想~
刻蝋値「2人とも、聞いてくれ。魔王ゼロはもしかすると脳が弱点かもしれない」
スパーク「……詳しく聞かせろ」
刻蝋値「根拠は2つだ。1つ目は、俺は宇宙で奴を1度バラバラに砕いたことがあったのだが、その時心臓ではなく脳から再生した。2つ目は脳と心臓を分離し、脳側だけ太陽に蹴り出したところ、遂に心臓は独立した」
ラピス「つまり……脳を丸ごと消し去るような攻撃を行えば、倒せる可能性があると言うことですね」
刻蝋値「そう言うことだ。スパーク、お前はそう言った攻撃手段が少ないから、多少辛いだろうが、ゼロと当たったら頼んだぞ」
スパーク「俺を見くびりすぎだ。魔王とて俺のターゲットになった以上、死から免れることはない」
~回想終了~
ラピス「俺が倒す役割を担ったからには!」
ゼロ「我は不死身! 何者も我を殺すことは不可能ぞ!」
インフィニティ「ま、それは中級魔王以下の常識に過ぎないが……さて、アイツはどうだろうか」
ゼロ「食らえ!」
マッハ36にも達する回避に難儀する速度のエネルギー弾を放ってきた。
ラピス「チャージ&ゲイン!」
そのエネルギーを吸収したとたん、ラピスが急加速!その勢いのままゼロの眼前で回転しながら跳躍!! つきだした腕で、みるみるとゼロの体をスライスにしていく。
ゼロ「小癪なぁ!!」
刻蝋値を何度も弾き飛ばした下腹へのエネルギー集約を行ったが……
ラピス「チャージ&コート!」
ゼロ「なっ!?」
吸い付くされた挙げ句、回転斬撃の切れ味強化に使われてしまった。
ラピス「はあっ!!」
水平方向に細切れにし終えたので、回転方向を変え、垂直方向に切断を行う。
ゼロ「細切れにしようとも……」
ラピス「神破剛脚!!」
デストロイブラスト直伝の、エネルギー波で超加速する蹴りを用い、器用に丈夫な頭蓋骨だけ蹴り飛ばした。
ゼロ「しまった!」
ラピス「神破光速砲!」
ゼロ距離で高密度のエネルギー弾を放ち、頭蓋に穴を開ける。
ゼロ「全エネルギーの放出で貴様を消し去ってくれるわ!!」
ラピスの最高出力の10倍以上はありそうなエネルギーの塊を撃ち出した!
ラピス「ならば、お前のエネルギーすら全てをつぎ込んだ一撃で滅するまで! 神滅焦熱砲!!!」
莫大なエネルギーを吸収しつつ、限りなくその全てと自身のエネルギーの全てを頭蓋に放ち続ける!!
ゼロ「うっ……グワアアアアアア!!!!!」
外の脳細胞を全て消滅させられたゼロは断末魔をあげ、地に伏せた。
ラピス「……ぅう…………やったのか」
吸収に限度があり、背面を焼かれながらもなんとかゼロを倒したラピスが立っていた。
レフェリー「勝者、刻蝋値チーム!」
刻蝋値「っしゃあああ!!!」
ラズリ「ラピス……本当に良くやったわ!」
ラピス「やりましたよ、刻蝋値さん……義姉……さん…………」
刻蝋値「緊張の糸が途切れやがったよ。マリンの元へつれてってくれるか?」
ラズリ「喜んで!」
~控え室~
閃影「兄者、ぜひ紅葉をお使いください」
閃影は自らの愛刀・滅魔の紅葉を兄に託した。
スパーク「かたじけない。閃影、お前の分まで俺が勝利をあげてやる。それと……」
閃影「何でしょう?」
スパーク「1回戦の活躍を見ていたぞ。腕を上げたな」
優しい笑顔で妹を褒めた。
閃影「兄者!」
褒められて満面の笑みを浮かべる。
スパーク「行ってくる。お前が応援してくれると、俺も全力を出せそうだ。頼んだぞ」
閃影「はい! 全力で応援します!!」
~闘技場~
レフェリー「構えて……始め…」
スパーク「絶技・紫電一閃!!」
レフェリーの合図と同時に、スパークはマッハ35で駆け出し、眼前の上級魔王を縦に一閃し、ミラーコートの壁に水平に着地した。
上級魔王「凄い一撃だな。よもやこのユニット様が反応できない速度で斬りつけてくるとは……」
スパーク「貴様の再生の原理は何だ?」
ユニット「俺?俺はな、100兆の細胞が集まって出来た群体だ。つまり、100兆回殺さないと死ぬことは無いのだよ。そしてパワーとスピードも当然……」
マッハ37で突進し、壁に立つスパークに殴りかかった!!
スパーク「……ッ……!!」
ユニット「強いのさ」
間一髪避けられたが、当たっていたら間違いなく死んでいただろう。
スパーク「フッ、成る程な。貴様は不死身じゃなく、攻撃も力任せ。いい情報を得れたぞ」
ユニット「いきがるな!」
やはり攻撃時に隙が生まれるため、予測して回避が出来る。
スパーク「絶技・百列貫き!!」
ざっと3000回は突いたと思われる。
ユニット「だからその程度で俺を殺せるわけが無いんだよ」
全力の手刀を最小限の動きで回避し、今度は細切れになるように切り刻んでいく。
ユニット「諦めが悪いなぁ~、はい終わりー」
虚をついて、蹴りを炸裂させた。
スパーク「フン!」
ユニット「何だ!?!!」
が、この衝撃を発勁に利用され、カウンターを食らった。今ので1兆は細胞が死んでしまった。
スパーク「便利なものだな。修行も実戦も、誰かとやる方が効率良く強くなれる」
そう言いながら、何度も発勁を繰り出していく。圧倒的速度を産み出す脚力から伝わる衝撃の数々は、奴の細胞すら容易く殺せている。
ユニット「これ以上は調子に乗らせない! 外皮爆散!!」
外側の1万程の細胞を爆発させ、スパークを消し飛ばそうとした。
スパーク「絶技・魔滅衝!!」
ユニット「またしても1兆……! ってか何故爆発を生き延びている!?」
スパーク「この程度のエネルギー、斬るのは容易い」
ユニット「ならば殴るまで!ッグゥ……」
スパーク「かといってその雑な一撃を打てば、手痛いカウンターを食らうだけだ。なにもしなければ発勁で全ての細胞を死滅させるだろう。どうする?」
言いながらも発勁を止めることはなかった。
ユニット「うぬぬ……これならどうだぁ!!」
鋭い手刀を繰り出した。
スパーク「紫電一閃!!」
腕を切り落とすことで、手刀の勢いを保ったままの腕が壁や地面を跳ね回る。そしてスパークの眼前に来た瞬間、
スパーク「絶技・超・雷連斬!!」
閃影の得意技、雷連斬を超強化したような無数の斬撃で、腕に内蔵されている細胞を全て死滅させた。
ユニット「クソッ!5兆を失ったのは痛いな!」
腕を再生しながら悔やんだ。
ユニット「だが……」
素早くスパークに接近する。
ユニット「久々に張り合いがある相手だぁ!ッグハァ!!」
楽しげに拳を振るうも、カウンターの蹴りで壁に叩きつけられた。
スパーク「やはり、か」
ユニット「何っ!? オラッ!!」
めげずに殴りかかるも、今度は上半身と下半身を分断され、意識が乗ってない下半身を粉微塵にされ、20兆の細胞を死滅された。
ユニット「何故……見切れる(残り70……落ち着け)!」
スパーク「知れたこと、細胞が出力ならば、細胞を殺せば出力が低下すると考えたまで」
ユニット「し、しまっ」
スパーク「絶技・超・雷連斬!!」
ユニット「グワアアアアアア!!!!!」
どうにか抜け出したが、更に30超の細胞をかきけされた。
ユニット「クソッ!」
最早戦意喪失しており、逃げ出したが、既に身体能力はスパークの方が上。直ぐに追い付かれ、連続蹴りを食らわされて壁に飛ばされた。
ユニット「がふぅ……」
スパーク「止めだ。絶技・紫電百閃・超・雷連斬!!」
最高速度で眼前まで迫り、筋力にその勢いを加えた連続斬りで、ユニットを完全死滅させた。
スパーク「討ち取ったぞ」
レフェリー「あ、勝者、刻蝋値チーム!」
閃影「兄者! 流石です!」
アリアドネ「彼、以前より更にキレが増してるわね」
刻蝋値「アイツの向上心は俺に通ずるものがあるぜ」
よし、2人とも無事だ。ならば最後に俺が勝つだけだ!
~決勝戦~
インフィニティ「お前たちは想像以上に強いらしいな。見直したぞ」
刻蝋値「……お前ら上級魔王共の敗因を教えてやるよ。お前らの敗因は……地球を舐めたからだ」
インフィニティ「フン、本当に警戒すべきはフレイムスターじゃなくてチキュウ、アースと言うわけか」
刻蝋値「ま、フレイムスターの戦力も運が悪くなけりゃ、スパークやラピスと同列に強い。そして俺は更に強いぞ」
インフィニティ「そのセリフ、そっくり返してやろう。俺をクソザコゼロとクソザコユニットと同じに考えるな。秒殺されるぞ」
刻蝋値「地球出身のゴキブリの実力、とくと味わうが良い!!」
レフェリー「構えて……始め!」
第86話 ああ!? 誰が正義の魔王だと!!に続く。




