第83話
ゴキブリが魔法を極めようとすると、こうなるのさ
第83話 もうこれ、魔法使いじゃなくて、魔法拳闘士だよね……?に続く。
刻蝋値「って訳で、僧侶としても腕を上げてきましたぜ!」
神官「ウワサのリキガクとやらを応用した回復術か。くれぐれも今後モンスターを増やさぬようにしておくれよ」
刻蝋値「わーってますぜ。さ、今回は魔法使いになりたいんだ。転職させてください!」
神官「うむ……モンクコックローチからマージコックローチの転職を望むのじゃな?」
刻蝋値「はい」
神官「ではいくぞ。神よ!この物にマージコックローチとしての道を歩ませたまえ!」
刻蝋値「おおお! 魔力量がまーたカスレベルまで落ちたぜ!」
神官「元々あって無いようなモノじゃ。しかし、ちゃんと職業スキルを鍛えておるのじゃな。本来のお主じゃと冗談抜きで魔力0になっとるところ、極僅じゃが魔力を感じる」
刻蝋値「へへ、お陰さまで筋トレするだけ以上に強くなれてますよ」
神官「精進することじゃ。お主は他とは違うやり方で磨く、これが伸びる秘訣じゃろう」
刻蝋値「ご教授ありがとうございまーす!……とはいえ、魔法使いの場合はどうしようか? まずは……」
アメジスト「キャー! 遂に魔法使いになったのねー! 蝋値様!」
刻蝋値「おう!ってなわけで、魔法学を教えてくれ! ウワサじゃこれを知らねば初級魔法すらマトモに撃てねぇそうじゃねぇか」
アメジスト「任せて! まずは蝋値様の筋肉を黒光りさせる光魔法、アークを撃つわよ。見てて!」
アーク!とアメジストが唱えると、強力な光が発生し、サンドバッグに丸い穴を開けた。
刻蝋値「おおー、小さいながら完全消滅してるな。アメジストの魔力あっての威力だな」
アメジスト「やだぁ~、そんなこと言われたら照れちゃう~~!」
刻蝋値「やれやれ、それじゃあ俺も真似してみるか。アーク!」
さっきのアメジストと似た動きで唱えてみた。
アメジスト「……かわいい」
刻蝋値「……やっぱショボいな」
一瞬ホタルの光が見えただけだった。
アメジスト「う~ん……私の勉強本貸してあげるから、ちょっと勉強して!」
刻蝋値「そうだな。公式集なんかあると助かるぜ」
アメジスト「えーー!?あんな難しいのいきなりやるのーー!?!?」
刻蝋値「お、おう。数学のノリで公式を暗記して実践しようかと思って……」
アメジスト「今更だけど……蝋値様って変だね…………」
刻蝋値「ああ……今更過ぎだぜ」
取り合えず貸してもらった魔法の本は、やはり数学の公式を覚えるノリでスムーズに読みとくことが出来た。そして俺は、重大な事実を知り、大魔法使い以上になることに成功した…………
刻蝋値「例えば……周りが燃えているときにファイアのような炎魔法を撃つと、それら理の力を借りることができ、消費魔力の低下と威力向上が見込める……ってことはだぞ」
アメジスト「あ、蝋値様、まさかもう本を読み終えたの?」
刻蝋値「おうよ!みてろよー……」
俺はマッハ3の手刀を左上腕で放ったと同時に、右下腕で指差しながら、"ウィンド!"と風の初級魔法を唱えた。
刻蝋値「よっしゃ!これこそ俺の魔法だぜ!!」
その威力足るや、サンドバッグの貫通は勿論、壁も切り裂いて1kmは飛んでいった。
刻蝋値「どうだ! アメジスト」
アメジスト「…………わざわざウィンド唱えなくても良いよね、絶対」
刻蝋値「……確かに、これじゃあ拳闘士だな。ま、細かいことは気にせずレベルを上げてくぜ」
俺は1週間ほど休暇を取り、アースのイースト国へ向かった。
刻蝋値「……」
~回想~
スパーク「絶技・紫電一閃!!」
最高速度で駆けてくるスパークの刀は発生したプラズマを吸収し、雷刀となって魔王ダークネビュラの力の核を切った。
魔王「!!?」
~回想終了~
刻蝋値「アイツのあれと俺の魔法も仕組みは同じだったんだな」
スパーク「フッ、来たか」
金髪を風になびかせながら、アイツは俺に話しかけてきた。
刻蝋値「将軍自らお出迎えとは心が暖まるぜ」
スパーク「どんな身分だろうが、友を出迎えるのは当然だろう」
刻蝋値「ごもっともだ。今日は折り入って頼みがあってな。お前と手合わせがしたい」
スパーク「……良いだろう。弱体化したお前を倒したところで意味はないが、お前にとっては俺から学ぶことがあるらしい」
刻蝋値「ああ、どちらにせよ飯を奢るつもりだ」
スパーク「俺に負けたら10食奢ってもらうぞ」
~土俵~
刻蝋値「……相撲じゃねぇんだぞ」
スパーク「そのつもりだ。俺もまわしではなく、仕事用の服を着ているだろう?」
刻蝋値「そっか、それじゃあ……オラッ!!」
俺の現在の最高速度はマッハ25! スパークには遠く及ばない。
スパーク「瞬技・白霧の舞い!」
スパークに拳を振るいまくるも、白いマントを上手く用い、霧のように回避してくる。
スパーク「受けてみよ、絶技……」
刻蝋値「この瞬間を待っていた!」
視角に居る奴が必殺技を撃ってくることを勘で悟った。
スパーク「紫電一閃!!」
刻蝋値「ギガボルト!!」
俺は周囲のプラズマの力を借り、普通に撃ったらギリギリ魔力が足りない上級魔法を魔力消費殆ど無しで放った。
スパーク「む!?」
奴の帯電した刀と俺の魔法による雷が反発し合い、その作用で暴れだした刀によって、スパークの姿勢が崩れ、速度がガクッと落ちた。
刻蝋値「オラァ!」
俺は瞬間的に拳をマッハ25まで加速させて、スパークに放った。
スパーク「お前らしくない雑な拳……」
そう言いかけたとたん、奴の顔面は激しく発火し、黒焦げになった。
刻蝋値「だーっはっはっは! フレイムが決まったぜ! 空力加熱と炎魔法の相性はマジで最高だぜ!!」
スパーク「…………貴様、恥をかかせたことを後悔させてやる……絶技……」
…………これは本気だ。下手すりゃ死ぬな。
~暫くして~
スパーク「……不本意だが、俺の勝ちとは言えないな」
刻蝋値「何言ってやがる、俺なんて危うく死にかけたんだぞ」
……実際上半身と下半身を真っ二つにされた。とっさに重力魔法 (全身に力を入れ、その力を変換した)をかけたお陰でくっついて事なきを得たが、出血多量で死んでいた可能性もあったのだ。
スパーク「しかし、これでお前のレベルは一気に上がり、俺は現状維持に留まった。次はバレット達と組んで訓練をしてやろう」
刻蝋値「お、それは助かるぜ!」
と、その時
閃影「兄者! それに闇影まで!」
刻蝋値「おー、閃影!」
スパーク「来たか…ムグッ!?」
刻蝋値「早々にディープキスか……相変わらずのブラコンだな」
閃影「……プアッ、闇影も!」
刻蝋値「おう……ん」
……この娘に旦那ができる日は来るのだろうか……?
閃影「どちらかだけなんて不公平だからな」
刻蝋値「まぁな、しかしスパーク、お前も鼻血を出さなくなったか! 友として成長を祝ってやるぜ!」
スパーク「……余計なお世話だ。俺はこないだの縁談相手と喧嘩をして別れたばかりだ」
刻蝋値「ありゃりゃ、……一応聞くけど、殺したりして」
スパーク「するか、あんな奴ごときに」
閃影「……確かに彼女は、失礼ながら、外も中も醜悪でしたよね……」
刻蝋値(……それは縁談破棄になって喜ぶべきでは?)
スパーク「何あれ、今日の俺と閃影の夜飯を奢ってくれるのだな?」
刻蝋値「おう、ついでに棟梁も誘おうぜ。話したいことも沢山あるし」
閃影「それは名案だ! 私も久々にお前と忍の仕事をしたいと思っていた!」
刻蝋値「本音を言うと、閃影の忍び装束を見たいんだよなぁ~~」
スパーク「……やはりお前に妹をやろうか?」
刻蝋値「う~ん、俺と居てもまともな家庭は築けないからなぁ……」
種族の壁……良くも悪くも仲間達との壁だよなぁ…………
それから1週間はすぐに過ぎ去り、俺はマージコックローチを極めたので、チキュウに帰り、ウォリアーコックローチに転職、たまたま殆どの刻蝋値隊やスパーク等のクソ強い人間が揃っていたため、たった4日でレベル100になれた。
刻蝋値「う~ん、やっぱり俺ってステゴロが性にあってるなぁ」
エマ「なんか刻蝋値兄ちゃん、格闘家を初めてからすごくイキイキしてる!」
刻蝋値「やっぱわかるかぁ~~」
アリアドネ「また私達と差がついてしまったわね」
閃影「兄者が霞んで見えるなんて早々ないことだぞ」
刻蝋値「へへっ、まだまだ伸び代はありまくりだぜ!」
ゴキブリ1美女と人間1美女(俺基準)に挟まれて嬉しくなっていると、空を覆い尽くすほどの巨大なUFOが現れた。
スパーク「俺が霞むだと……聞き捨て」
刻蝋値「上見ろ!」
スパーク「んん……な!?」
エマ「私達……どうなっちゃうの……?」
刻蝋値「俺たちが居る限り危害は加えさせねぇ」
アリアドネ「攻めてくるなら殺すまでよ」
スパーク「チキュウ、アース、フレイムスター……この三つの星に被害をもたらせることは、俺が断じて許さん」
UFOのハッチが開き、宇宙人らしき人影が現れた。
第84話 宇宙戦争の幕開け……だと…………?に続く。




