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第82話

回復能力さえあれば、僧侶なのか……??

第82話 僧侶になってみた!……おい、なんだよ? この回復方法は……


……新しい団員を雇用してから2週間。俺がテキトーに犯罪者を乱獲したせいで、団員達の仕事が減っちまった。やることが無かった俺は、あることを思い付き、実行に移した。


~大きめの無人島~


刻蝋値「おー……これが完成品か~」


団員「へい、遂に超高速キャノンが完成しやしたぜ! 理論的にゃ、マッハ30の砲撃ができやすぜ」


超高速キャノンと名付けられた兵器は、丸く大きなボディに細長い


刻蝋値「中々良いとこまで漕ぎ着けたじゃねーか。ま、鍛えられたゴキブリ星人相手だと、あまり効果がないかもしれないがな」


アリアドネ「受けれるかはさておき、避けるのは余裕ね。それにしても、面白いものだと聞いたから期待していたけど、遊びで作った兵器だったのね……私には何が面白いか解らないわ」


刻蝋値「まー、まー、見てなって、早速テストだ! 俺に撃ってくれ」


団員「ええ!? それはいくらなんでも無茶なんでは……?」


刻蝋値「平気だぜ、今の俺は強化なしの亜人形態でマッハ40の拳を放てる。質量も速度も砲弾より俺が上、つまり問題なーし!!」


団員「はぁ、1分後に発射するようセットしときやす。くれぐれも気をつけてくだせぇ」


刻蝋値「サンキュ、お前も早いところヘリで300m位飛んでおけよ」


団員「言われなくてもわかってやす!」


そう言って、彼は急いでヘリに駆け込んだ。


~1分後~


大砲から砲弾が発射された。音速を遥かに超えるマッハ30で向かってくるため、マッハコーンが1つできる前に俺にぶつかりそうな勢いだ。


刻蝋値(……ぉおおっ!!!)


俺は脱力した状態から下半身、腰、腹、下側の胸、上下の腕の間の胸、上右肩と筋肉を連動していき、今回はマッハ35の拳を放った。


アリアドネ(こんなの後からうるさくなるだけじゃないの……?)


拳と砲弾が重なった瞬間、砲弾の接点から最遠部までが一瞬で赤くなり、中央から気化することで拳が貫通し、遅れて拳が触れてない部分が気化した。当然砲弾の軌跡と拳の軌跡からは巨大なマッハコーンとプラズマが出現し、衝突し合った結果、俺の拳由来の発生物が勝利した。


アリアドネ「……あーあ、またあなたの足元がマグマになったわ。大砲も壊れたし、本当に何がしたいのかしら?」


刻蝋値「ロマンを求めているのさ。レベルも今ので丁度100になった! 次は転職だ!」


アリアドネ「戦士でも十分強いと思うけど……」


刻蝋値「たまには破壊じゃなくて、創造もしたくなった……僧侶になってみるぜ」


~転職後~


刻蝋値「ただいまー!」


アリアドネ「お帰り」


エマ「あー! 刻蝋値兄ちゃんお帰りー!」


刻蝋値「おう、エマ」


エマ「早速遊ぼーよ!」


刻蝋値「良いぜ、何したい?」


エマ「かけっこ教えてー!」


刻蝋値「任せろ!」


俺たちはグラウンドに行った。


ホネット「こんにちはー、あれ?刻蝋値隊長は居ないのですか?」


アリアドネ「エマとグラウンドに遊びにいったわ」


オリビア「ヤッホー! アース楽しかった~」


ホネット「……僕はノース王国で散々でしたけどね…………」


オリビア「そうそう、あの催しは絶対に刻蝋値君にも体験させないとダメだよねー!」


アリアドネ「フフ、彼が戻ってくるまで私にその話を聞かせてくれるかしら?」


オリビア「もっちろん! ホネットがねー」


ホネット「やめて! オリビアさん!!」


~グラウンド~


刻蝋値「大分遊んだな~」


エマ「はぁ……はぁ……疲れたー!」


刻蝋値「ありゃ、エマ、膝を擦りむいてるじゃん」


エマ「あ、本当だ。気づかなかった」


刻蝋値「よーし、モンクコックローチ……僧侶ならではの力を見せてやるぜ!」


エマ「あ!なおしてくれるの!?」


刻蝋値「ヒール!」


初級魔法を放った。


エマ「傷口がふさがっ……半分塞がってないよ」


刻蝋値「……もう一度、ヒール!」


エマ「やったぁ! 塞がった!」


よし、回復量がクソなのは想像ついていたから治せなかったらどうしようかと思ったが、2回放って治せたから良かったぜ。


エマ「お兄ちゃんありがと。それじゃあ戻ろっか」


刻蝋値「おう!……ん?」


あれ?なんかクラクラする……


エマ「わっ!……う~ん、重いよぉ……‼」


エマちゃん……支えてくれたのか…………


刻蝋値「わ、悪ぃ……今起きるぜ……」


なんとか起きれたが、こりゃあ低レベルの職に転職した時の能力低下だけじゃねぇな。考えられる理由は1つ


~医務室~


マリン「ずばり言いますと、魔力切れです」


刻蝋値「はー、やっぱりな!」


マリン「お言葉ですが、刻様は僧侶という感じのお方じゃありませんし、武道家などになってはいかがでしょうか?」


刻蝋値「マリンの言いたいことは俺自身わかっているんだ。だけど、せっかくこんな恵まれた環境に居るんだから、強くなりてぇ。それに、エマのためにも限界突破できないことでつまづいてられねぇ!」


マリン「フフフ、刻様らしいですわ。こうなったら私も全力でサポートいたします!」


刻蝋値「おお! ありがてぇ。よろしく頼むぜ!」


マリン「ええ」


それからは、都市のごろつきやモンスターの襲撃で怪我をした団員が出たら即、彼らの元へ向かい、ヒール……スーパーヒール……ハイパーヒールを放って回復を行った。しかし……


刻蝋値「レベルアップで多少は魔力量が増えたが……ハイパーヒールは1発が限界かぁ……」


マリン「回数をこなすことで消費魔力を抑えての結果ですからね。しかも……回復量が技由来の最低限しか無いのが悲しいですね……」


……マリン


刻蝋値「それは言わないでおくれよぉ……」


悲しみが溢れて来やがるぜ……


刻蝋値「気分転換にプアビレッジのバクハツトマトが上手く育っているか見てくるわ」


マリン「お気をつけて~」


~プアビレッジ~


子供達「あ! コックローチ!」


刻蝋値「よ! 元気にしてたか?」


子供達「うん! あっ」


1人の子供がこけて膝を擦りむいた。


刻蝋値「ちょいと見せてみな、ヒール!」


回復魔法で擦りむきを治してあげた。


子供達「ありがとう! すごーい! マリンお姉ちゃんみたーい!」


刻蝋値「へっへっへー、お前らだって、僧侶になれれば誰かの傷を癒せるんだぞ~」


男の子「ねえ、あのキラキラキレイだね」


刻蝋値「これか?」


ヒールの準備を行い、手のひらを薄青緑の光で包んだ。


男の子「その状態で正拳突きしてみてよー。カッコ良さそう!」


刻蝋値「おるぅあ! あっ……」


衝撃波を抑えるため、時速100km程の素人目に早く映るが、達人基準で低速な拳を放った。


子供達「飛んでったー!」


ここで1つ誤算が。ヒールが飛んでいってしまった!


女性「キャアアア!!」


刻蝋値「うわっ! 怪我してなけりゃ良いが……」


俺はヒールが飛んでいき、悲鳴が聞こえた雑木林方面に向かって遅く走った。……これも衝撃波の対策だ。


刻蝋値「大丈夫ですか!」


女性「え、ええ……刻蝋値さん、さっきの緑色の光は刻蝋値さんが放ったのですか?」


刻蝋値「あ、ああ。驚かせてすまな」


女性「素晴らしいです!この木、枯れかけていたのにさっきの光を浴びたら元気になったのですよ!」


刻蝋値「……マジで?」


女性「マジです!」


刻蝋値「う~ん、さっきのはマリンがよく使うヒールなんだけど、基本は回復しかしないぞ。加えて……」


別の木に大量の切り傷をつけてからヒールをかけた。


刻蝋値「俺の回復魔力があまりにも少ないせいで、回復量も少ないはずだ」


女性「確かに……ですが、さっきの木もこのくらいの切り傷から回復した上で若返りましたよ」


刻蝋値「う~ん……あ、そうか。少し遠くに行ってください」


女性「え、ええ……」


女性が安全な場所に行ったのを見計らい、ヒールの準備をする。そして


刻蝋値「ヒールバズーカ!」


一般のバズーカ砲並みの速度で拳を放ち、ヒールを木にぶつけた。


女性「これです! さっきの木よりも元気になってますよ!」


木の傷が瞬時に消え、若返った! のみならず、少し成長もした。


刻蝋値「成る程、速い速度で射出するほど回復量と若返り効果、そして成長作用が増すのか」


女性「あの……お金を払いますので私を少し若返」


刻蝋値「ハイハイ、金も要りませんよ。ヒールバズーカ!」


女性「ありがとうございます!」


少し肌の艶が増した女性は嬉しそうに帰っていった。


刻蝋値「やれやれ、これは幹部達にもせがまれそうだな」


俺も立ち去ろうとしたが、ふと思った。


刻蝋値「そうだ。直接殴ったらどうなるんだ?」


1つの枯れ木に狙いをすませた。


刻蝋値「ヒールナックル!」


対象実験のため、速度をヒールバズーカの時と同じにした。


木「キョエエエエエエエエ!!!」


刻蝋値「うっわ!? 治るどころかモンスターに変貌しやがった!」


木「キョキョキョキョ!!」


刻蝋値「種マシンガンか。今日のおやつにさせてもらうぜ!」


そう言って、普通の回し蹴りで胴体を切断した。


刻蝋値「ふぅ、一応経験値は入るのか。……てことはだぞ」


村で上手く作物が育っているかを見た後、俺は人気の無いところに移動した。


刻蝋値「この木が良さげだな。ヒールラッシュ! おらおらおらおらぁ!!」


ヒールを纏った拳で何回も木を殴り続けた。


木「ギョォ~~~~……ギョッ!!」


モンスターと化した木は、マッハ5で根っこを叩きつけてきた。


刻蝋値「良いね。だけどもうちょい!」


更に1000発程ヒールナックルをかましてやった。


木「ギョエアオウアオウアーーーーー!!!」


マッハ30の一撃!!


刻蝋値「ヤベェ!! このままじゃあマグマ地帯になっちまう! うおおお!!!」


けっこう本気で殴り合いを行い、奴を打ち倒した。


刻蝋値「はぁ……はぁ……中々いいバトルだったぜ。お前の経験値、そして血肉は1滴たりとも無駄にはしねぇぜ」


木「ギョーーーー!」


刻蝋値「うお!?復活した!」


木「ギーーー?」


木が仲間にして欲しそうに見ている。


刻蝋値「………………何だろう? ま、良いか。ついてこい!」


木「ギョエーーー!!」


無数の(ねっこ)を動かし、俺についてきている。海も強靭な脚力で歩くことができるし、試しに飛んでみたら、足を広げてブーメランのように回転して浮遊し始めた。中々スゲェヤツかも知れねぇ


刻蝋値「そうだな……お前の名前はユグドラシルだ! よろしく!!」


ユグドラシル「ギョーーーゥ!!」


そんな俺らを見ていた奴が居たのさ。記憶の彼方に葬り去っていたけど、以前マリンとアメジスト (それとカーボン)にひどいことをしていた奴!


レックズ「…………あのあり得ない衝撃波と熱風と雷……間違いない、クソゴキブリ野郎だ…………去年大岩が大量に落ちてから、この森から出られなくなったが、あれもこれも全てアイツの策略……‼ アイツだけは、俺の一生をかけてぶっ殺してやる!!」


以前ヒュージシティで魔王ダークネビュラに憑依されていた国王からもらった強い武器を失い、ステゴロでどうにか生き延びていた勇者レックズが震えながら刻蝋値達を見ていたのだ。彼は今後、表舞台に上がれるのだろうか?


~傭兵団アジト~


ホネット「刻蝋値隊長ーー! 助けてくださーーーい!!」


ホネットがユグドラシルになつかれ、ねっこでがんじがらめにされている。


刻蝋値「なつかれてるだけだぜー! 暫くそのままでいれば、放してくれるだろーー!」


ホネット「そんなぁ……」


ユグドラシル「ギョエーーー!!」


オリビア「う~ん、アタイにはこの子が何を言っているのかさっぱりだなー」


アリアドネ「気づいたら僧侶のレベルもカンストしたのね」


刻蝋値「ああ、面白い回復手段も手に入れたんだぜ。効果としては回復しつつ、若返らせれる。お前も若返りたくなったらいつでも俺に言えよ」


アリアドネ「今はもう少し大人になりたいかな? 髪色からして、老けるときは一気に老けそうなのが怖いけれどね」


アリアドネの髪は、完全に色素が抜けているため、老人の白髪とは雰囲気がまるで違う。しかし、本人の体が老人のようになれば、当然ただの白髪とかわりなくなるだろう。


刻蝋値「お、その極大剣は確か……」


極大剣から巨大なムカデゲジゲジの姿を思い浮かべた。


アリアドネ「ええ、セネピードの遺産よ。彼のことも一生忘れたくないもの……」


刻蝋値「1度話してみたかったなぁ。俺が理数科目を教えて、かわりに彼に文系科目を教えてもらって……」


ああ、俺もそうしたかった……


刻蝋値「…………」


アリアドネ「……どうしたの?」


刻蝋値「あ、いや……気のせい(じゃないよね……)だ。なんか、その彼の声が聞こえた気がして……」


アリアドネ「僧侶のレベルが100になったら幽霊でも見えるの? 私も僧侶に転職してみようかしら? なんてね。それじゃ」


刻蝋値「おう、夜飯つくって待っとるぞー!…………」


…………アリアドネを…………頼んだぞ。


刻蝋値「……言われずとも、お前の分まで俺が幸せにする。そうじゃねぇと、俺のエゴは満足しねぇからよ」


次は魔法使いでもやってみるか!


第83話 もうこれ、魔法使いじゃなくて、魔法拳闘士だよね……?に続く。

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