第8話
遅くなってしまいました!ファンタジーで無視されがちな「あの法則」は、今作でもこじつけられて、無視されます!
第8話 魔王城の場所を探しまくれ!
船の甲板に佇むイケメンこと……俺はソーン・カラム。1船の船長だ。こう見えて、海賊船で一番偉いし、略奪対象に関係する人間や、俺の意に反する部下は皆殺しにして、人食いウルフの餌にする主義なのさ。どうだい?ギャップ萌えして惚れちまったかい?兎に角だ。俺はこれから略奪を行う!!
ソーン・カラム「野郎共!目標はトール・テュガーだ!!そこにすむゴキブリどもから奪え!奪え!奪え!奪え!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!虐めろ!虐めろ!虐めろ!虐めろ!燃やせ!燃やせ!燃やせ!燃やせ!破壊の限りをつくせえええぇぇえ!!!あっひゃはあっ!!はあっ!!!はあーーーーーーっ!!!!ゲホッ!ゴホエェエ!!!」
狂いまくる船長に
船員たち「お、おおーーーーー!!!(うわぁ……)」
ドン引きしながらも、何とか返事をする船員たちであった。と、その時
見張り「お頭!0時の方向から馬が突っ込んできます!」
ソーン・カラム「ああ!?てめぇ、アホなこといってんじゃねぇれ!!」
頭に来た俺は、銃弾を数発撃ってやった。
見張り「あぐっ!!……ですが、来て……います」
ソーン・カラム「んなわけ………………」
おいおい……馬って言うか…………
船員「お頭?やっぱりなんかありやしたか?」
ソーン・カラム「てめぇ!ありゃなんだ!?」
んだよありゃ!?馬の首から上にヤロウの上半身がついてやがる!?キモッ!!
船員「……ケンタウロス?ですかね」
ソーン・カラム「じゃあなんで女が3人も乗ってるんだ!!野郎共!!砲撃だ!!急g…」
刻蝋値「オラァ!!!聞こえるかあぁ!!!そこの海賊共ぉ!!さっさと船を退けなきゃ破壊するぞぉ!!!」
あろうことか、キモい奴はこの、、俺様に暴言を吐きやがった!!許さねぇぞぉぉぉおおおおおおっッッ!!!!!!!
ソーン・カラム「んだとぉ!?やれるもんならやってみろぉ!!撃ちまくれ!!ゴミゴキブリ共ぉ!!」
船員達「ヨーソロー!!」
そして、キモい奴…………刻蝋値と、彼の背に跨がる美女3人へと、砲弾が飛んでいった。
アメジスト「ハリケーン!」
アメジストは風の上級魔法で、砲弾を残らずお返しした。
船員「うわぁーー!お頭!奴等風魔法の使い手っすよーー!!」
ソーン・カラム「るせぇ!」
臆病者には銃弾だ!
船員「うわぁっ!?」
どいつもこいつもムカつく!こうなったら!
ソーン・カラム「俺が討って出るぜ!!エアカッター!」
俺は船から飛び降りて剣を振り、風を飛ばした。
ソーン・カラム「こいつは飛ぶ斬撃だ!!避けられまい!」
はい、勝ち確ぅ!!!
刻蝋値「ガーネット!」
ガーネット「余裕だ!」
何!?エアカッターが逸らされただと!?
刻蝋値「退けって!!」
ソーン・カラム「やべっ!!(反応が………)」
刻蝋値「言っただろぉ!!!」
ソーン・カラム「おぐぉ!?!?(なんという威力の拳…………!!!!)」
刻蝋値「オラオラオラオラァ!!!」
ソーン・カラム「がっ!ごっ!ごがごごがっ!?!?」(俺の船が!!イケメンフェイスが!!止めてくれっ!意識が……てか死ぬ…………)
刻蝋値「外出るぞ!」
ガーネット「おう!」
アメジスト「はい!」
マリン「ええ!」
刻蝋値「オラァ!!!」
叫びと共に、時速300km(同乗者に配慮して抑えてる)のタックルを船の壁にぶちかまし、再び海を走りだした。
マリン「うぷ……!!」
アメジスト「マリンちゃん大丈夫?」
マリン「な、なんとか……」
刻蝋値「んー、まだ慣れきらねぇか」
何がって?加速のことさ。さっき壁を壊すとき、気分的に速度を1.5倍位上げたんだが、やはり加速度が強いらしく、僧侶のマリンが吐き気を覚えたらしいんだ。
ガーネット「なぁ、ローチ。あたしとアメジストは乗り物酔いに強いらしいけど、マリンは弱いから、マリンが乗ってるときは配慮してあげな」
刻蝋値「そうだな。暫くは急な加速をしないようにするよ」
うん、今や俺は孤独なゴキブリじゃないんだ。可愛い仲間(元同種族)がいる、リア充ゴキなんだよ。集団行動中は他人に一定の気遣いは必要だよな。紹介が遅れた、俺の名は刻蝋値。……何?聞きあきただと?……あのナルシストに登場機会を奪われたから、挨拶したかったんだよ!!悪いか!!
アメジスト「そっか!蝋値様は目立ちたい年頃なんだね!」
刻蝋値「え、ちょっ…何で独白聞こえてるんだよ?」
マリン「いえいえ、誰にでもあることですよ。お気になさらずに」
刻蝋値「だからなんで聞こえて…」
ガーネット「すげぇガタイで、それ相応以上の強さを持ってるって言っても、中身はガキだもんなぁ~!仕方ないよな!」
アメジスト「ねー!」
マリン「ええ!」
刻蝋値「くそーー!お前ら何かバカにしやがってー!……マジで何でこの独白聞こえてたのか?」
マリン「実は以前のものも……」
アメジスト「マリンちゃん、シー」ヒソヒソ
ガーネット「ハハハハッ!」
刻蝋値「……聞こえてるぞ。恥ずかしくて、お前らのこと海に捨てたくなってきたぜ…………」
いやー、思ってるだけのつもりでも、聞こえるものなんだな……この独白だって……うん、恥ずかしいわ。
こうして俺らは大自然豊かなジャングルヘ、到達した。
刻蝋値「新しいメタモルフォーゼを見せてやるよ。メタモルフォーゼ・マンキー!」
ゴキブリの六本足が、全て腕の形へと変化していく。
ガーネット「おお?小さくなった…………か」
あん?何で言い淀んだんだ?
マリン「う~ん……これは…………」
ガーネット「あっはは!変な格好!」
刻蝋値「何ぃ!?」
あんにゃろう、腹押さえて笑いやがった!!
アメジスト「シンプルにキモーイ!」
ガーーーン!何てこと言いやがるんだ!お前らぁ…………
刻蝋値「ビーストの時はあんなに誉めてくれたのに、何で今回は酷評なんだよ!!」
マリン「スピード遅そう」
ガーネット「チビ、後フル○ンさらけ出しすぎ」
アメジスト「見た目がキモーイ!」
ああ…………そうですか…………だったら。
俺は六本腕で、ジャンピングプッシュアップを行い、一瞬でヤシの木の上に登った。そして、葉っぱとヤシの木の実をむしりとり、降りてきた。
刻蝋値「マンキー用の服を作ればいいんだろ?この形態のウリは、器用さと多くの武器を持てるところだからな。見せてやるよ」
そう言って、一瞬で雑だが、中々丈夫そうな葉っぱの服を造り上げた。
刻蝋値「どうよ!初めての裁縫にしては良くないか?何か裁縫スキル開花したし…………」
この世界だと、剣を振れば剣術、魔法の炎を撃てば炎魔法、全速力ダッシュをすれば加速術や最速維持術等、対応するスキルが開花したりレベルアップしたりして、自らの実力になる。努力が報われやすいのだ!
ガーネット「あっはははは!これはこれで面白れー格好だなぁ!!」
アメジスト「一周回って可愛ーーーい!!」
マリン「裁縫なら言ってくだされば、私が基礎を教えてあげましたのに……」
マリンは兎も角、他2人…………だんだん腹立ってきたぞ…………よぅし、それならそれで考えがあるぜ。
刻蝋値「マリン、背中にしがみついてくれるか?」
マリン「え、ええ。こんな感じでよろしくて?」
刻蝋値「上出来だ」
ガーネット「何だ?チビすぎて1人しかおぶれないのか?」
アメジスト「ゴキブリ式の交尾するにしても……体位が逆なんじゃない?」
刻蝋値「お前らは歩きだ!!」
マリン「速いぃい!?」
そう言って、跳躍!木を伝って時速80㎞程のスピードを出して、進み始めた。
ガーネット「ローチ!?」
アメジスト「待ってよーー!」
ガーネット「あんたをバカにしたのは謝るからーーー!!」
無視だ無視。どうせ痕跡が残るから、3時間くらい進んだところで夜営の準備をすれば、夜には合流できるだろ。
夕方
アメジスト「あ!見つけた!」
ガーネット「マリン!ローチはどこだ?」
マリン「あら、お帰り。蝋値様はテントで裁縫の練習中よ」
ガーネット「そ、そうか。サンキュ」
アメジスト「私たちそんなに酷いこと言ったのかなぁ?」
ガーネット「…………ローチはあれでも年頃らしいからな。複雑なんだろ」
刻蝋値「聞こえてるぞ、お前ら。ったく、もっと長距離走らせりゃ良かったぜ。お前らもそこそこやること忘れてた…………」
ガーネット「ローチ、ごめんな…………流石に悪質だったよな」
アメジスト「もう、その…………個性を否定しないよ!それに私は刻様に恩があるのに、恩知らずだったね…………」
刻蝋値「まぁ、今日のことはいいよ。俺もフル○ンだったことは悪かったし…………うん」
これに関しては俺が悪いよな。ってか、ゴキブリになってから、素っ裸になることに抵抗が無くなったな。…………文化の違いか?
これを克服するには、早着替え術的なのを取得すればよさげだな!
次の日以降は4人仲良くジャングルを探索しまくった。三日後、奥地でボスとの戦闘になったが、これまた呆気なくガーネットとアメジストが瞬殺してしまった。……魔王が弱くないことを祈るばかりだ。
~北海の上~
刻蝋値「そうそう、ゴキブリを巨大化しただけの姿をした、メタモルフォーゼがあるんだけど、次の島の探索にも役に立ちそうだから、見せてやるよ」
マリン「ぜ、是非…………」
ガーネット「遂にほ乳類要素ゼロになるのか…………」
アメジスト「私、驚いて漏らしちゃったらどうしよう…………」
流石に3人とも引いている。けど、これについては想定済みだ。
刻蝋値「心配するな、微弱な性フェロモンを出してやるから、直ぐに受け入れられるさ」
そうこうしているうちに、巨大な氷河が見えてきた。
刻蝋値「っしゃあ!!速度あげてくぞー!!」
速度を上げれば、空気抵抗も大きくなり、大きな空気抵抗の中、羽を広げれば、空気抵抗が揚力へと変わって、空を飛べるのだ。
刻蝋値「ちょっと飛ばすぞ」
ガーネット「わっ!?」
アメジスト「ヒャッ!?」
マリン「キャッ!?」
変身してからも3人を乗せて進むため、敢えて宙へ放り投げた。
刻蝋値「メタモルフォーゼ・ギガバグ!(それと、微弱性フェロモン放出!声帯人化!)」
俺は巨大ゴキブリになり、少し羽ばたいて3人をうまく乗せた。
刻蝋値「3人とも、俺の姿が怖かったりするか?」
聞いてみたら、平気だと返ってきた。良かった。
刻蝋値「よし、それじゃあ氷上を滑走し始めたことだし、あれも試してみるか。エンチャント・アーマー!」
俺は外骨格を巨大化させ、鎧のようにした。その姿はデュビア等の、アーマー系のゴキブリそっくりだ。
ガーネット「……なぁ?何で重量級に変身したんだ?」
刻蝋値「空気抵抗とかで無駄に減速しないためだ」
アメジスト「ええ?重かったら遅そうなイメージがあるけど……」
刻蝋値「重いと、確かに速くなるまでに時間がかかるけど、逆に遅くなるまでにも時間がかかるんだ」
マリン「あ、だから軽いうちに加速して、速くなったら重くなったんですね!」
刻蝋値「ビンゴだ。こうすりゃエネルギーのロスも抑えられる。いくらガーネットが居るとはいえ、お前達だけの重さだけじゃすぐにスピードが落ちそうだったからな!あっはっは!」
ガーネット「いくらあたしが筋肉ありきの戦士だからって、それは失礼だぞ」
刻蝋値「それもそうだな。だけどお前も、俺のアレばかり見ようとしているから、人のことは言えないだろ?」
ガーネット「うっ……!否定できない」
マリン「ええ、確かにそれは女性として、相応しくないと思ってi…」
ガーネット「マリン!それ以上止めろ!何か惨めになってくる!」
刻蝋値「ああ、それと質量保存の法則については問題ないぞ。空気中に溢れる魔力の力を用いてあれこれしてるからな!」
アメジスト「しつりょうほぞんのほーそく?何それ??」
刻蝋値「……何でもねぇさ。さて、あの氷山を登りきれば、魔王城の位置を示した文献がある屋敷につくはずだぜ」
やはり異世界だと、魔法で巨大化するくらいだから、質量保存の法則なんて見つけなくても問題ないのだろうなと思った。
アメジスト「キャーー!高ーーーい!!」
マリン「落ちたら私たちも只ではすみませんね……」
ガーネット「でもこのスピードなら、頂上まで一直線で行けそうだな!」
刻蝋値「だが、万一ということがある。その時はメタモルフォー…」
とか言ってたら、突如俺たちが滑っていた氷山の一部分が崩れやがったじゃねぇか!!しょうがない!
刻蝋値「レジストアーマー!メタモルフォーゼ・マンキー!アーマーカット!ギガ・ウイング!!捕まれ!」
俺は最も軽い形態である、猿型に変身し、更に外骨格を薄くして軽量化、羽を大きくして揚力をあげ、女達の両手をつかんで飛び始めた。
刻蝋値「ふー、危なかった。重いと、地盤を崩してしまう危険があったな。気を付けようか」
まぁ、それと無関係に、氷山の年季が入りすぎて崩落した可能性もあるがな。
マリン「あ、ありがとうございます」
ガーネット「おおー!お猿さんは軽いから飛びやすいんだな!見直したぜ!」
見直してくれるのはありがたいが、少し不都合なことに気付いた。重たいガーネットを後ろの腕で、支えてしまったことだ。これじゃあ重心が安定しねぇじゃねぇか……
アメジスト「蝋値様、寒さとか大丈夫?お腹空いてない?」
刻蝋値「ん?平気だぜ。さっさと屋敷にいこうか。てか寒そうなのはガーネットだろ、何か毛皮羽織っとけ」
ビキニアーマー系列の装備で氷河地帯に来るとか、控えめに言ってアタオカだ。けど、肌がわりと暖かかったから、無意識に筋収縮熱変換していたのかもな。
そしてコイツらは何だかんだ人を気遣える良い奴等だよな、とか考えているうちに、屋敷についた。
刻蝋値「メタモルフォーゼ・ヒューマン!お、ズボンサンキュ!はーっきし!!」
マリン「刻様!上着を着てください!」
刻蝋値「ああ、済まねぇ。3人も寒いだろうし、中に入るぞ」
ガーネット「やっぱ動き辛ぇ、毛皮お返しするぜ」
俺たちは部屋の中に入って、まずは屋敷にいる人間を探したが、ゾンビやスケルトンしか居なかったので、悪即斬の要領でぶっ飛ばしていくことにした。
~書庫~
刻蝋値「ガーネット、門番宜しく!」
ガーネット「任せとけ!」
剣ではなく、現在集中訓練中の両手斧を頭上で回しながら答えてくれた。
アメジスト「私達に読める文字だと良いねー!」
マリン「ええ、館の主の思いを叶えましょう!」
探索中に分かったことなのだが、館の主の先祖の勇者と魔王の間に因縁があったらしく、彼は次世代の勇者に魔王討伐をしてもらいたいらしい。
刻蝋値「そうだな。無念を晴らしてやろうぜ。例え俺らが勇者パーティで無くともな。お?これか!」
1つの金庫があった。
アメジスト「解錠めんどくさそうだね。蝋値様、開けちゃってよ!」
刻蝋値「やろうか。2人とも離れてて」
俺は2人が十分に離れたのを確認後、思いきり金庫の隙間に指を突っ込み、力任せにこじ開けた。
刻蝋値「力で解決できたら気持ちいいなぁ!」
マリン「ええ、使い方さえ間違えなければ、これ以上爽快な方法はありませんね!」
麗しの僧侶が笑顔でこんなことを言うようになるんて…………俺は結構罪人なのかもな。まぁ、今の発言が間違ってるとも思えねぇが。
刻蝋値「ええと…………やっぱり読めねぇ。2人とも頼む」
寝る前に女達にこの世界の読み書きを教えて貰っているが、生憎国語が大嫌いなので、覚えが悪い。
マリン「お任せを!えっと、砂漠の中央にある火口の最奥、魔界の門が開かれてあり…………」
アメジスト「う~ん、ヘルデザート中心部のデモンボルケーノの中かなぁ?」
刻蝋値「地図的にも間違い無さそうだ。今日はお化け屋敷に泊まって明日の早朝に出発だな」
地理は少し苦手だったが、地図は座標変換だの、数学的に読めるので問題ない。
アメジスト「怖いよー!一緒に寝よ!抱き締めて!!」
刻蝋値「お、おう……」
久々の悩殺フェイスが来たぜ…………。
ガーネット「何だ?ここで寝るのか」
刻蝋値「そういうことになった。魔物共は大丈夫そうか?」
ガーネット「ああ、何かここには来ねぇみたいだ」
刻蝋値「そりゃ好都合だ。さっさと飯食って寝るぞー。明日は早い」
主の怨霊にでもビビってるのかなと思った。
マリン「刻様、私も腕に掴まって寝てよろしいですか?」
ガーネット「あたしもそうするぜ!触りまくっても良いからさ!」
刻蝋値「…………お前らさては幽霊が怖いな?」
3人「ばれたか」
4人仲良く、毛皮の毛布を被って寝た。
翌日・火口の前
刻蝋値「4人とも、特にダイア、覚悟は良いか?」
4人「勿論!!」
刻蝋値「それじゃ……待ってろおお!!魔王!!!!!」
俺は片手に一人ずつ抱えて火口へダイブした!!
第9話 魔王城の入り方を見せてやる。に続く。